よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

2015年10月11日 | 日記
スーパー歌舞伎は、三代目市川猿之助(猿翁)の時代によく観に行った。
ヤマトタケル、オオクニヌシ、オグリ、カグヤ、新三国志などを観たことを思い出す。

「ワンピース」はニコ・ロビンが仲間入りするあたりまでは読んでいたのだが、途中でリタイアした。

畢竟、中途半端に「歌舞伎」「原作」に知識がある状態での観劇ということになる。

スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」





新橋演舞場の周りで、写真を撮る人多数。私も混じって撮ってみる。



四代目市川猿之助の演技を初めて観る。
「今、歌舞伎界で最も舞がうまいんじゃないかしら」と聞いていたので、踊りを楽しみにしていたのだが、目立つ舞はなかった気がする。

原作を読んでいないことで、ファンの不興を蒙ったようだが、原作愛好者ばかりで作ると偏向するので、敢て読まない選択肢もアリだと思う。


殺陣の技に息を飲む。
あの幅の狭い花道で、何度も側転するとか、舞台の上で連続ばく転するとか、もはや神業。

印象的だったのが、坂東巳之助。
ロロノア・ゾロのときは声が低音過ぎて、やや聞き取れない感じがしたのだが、おかまのボン・クレーはもう漫画から抜け出てきたような突き抜けぶりで、その芸達者ぶりに圧倒された。

見せ場のひとつに、舞台を埋め尽くすほどのひな壇から放水し、その中で殺陣を行うシーンがあった。
坂東巳之助(ボン・クレー)と中村隼人(イナズマ)が自ら滝行のように水に打たれながら、敵を倒す場面は圧巻。



この中村隼人(サンジ役も担当)が相当のイケメンで、出てきただけで目を奪われるような華を感じた。
しかし、私は美形と芸達者が並んだ場合、芸達者のほうを目で追う習性があるため、巳之助のおかま所作に完全にノックアウトされていたのだが。
あと、黒ひげ・ジンベエの市川猿弥、イワンコフの浅野和之がいい味を出していて印象に残った。

スーパー歌舞伎を観るのは久しぶりだが、だいぶ斬新になった気がする。
歌舞伎というより、現代劇に近くなったようだ。

台詞回しも、間の取り方も早い(時々聞き取れない箇所もあった)。

エース役の福士誠治は「必殺仕事人」しか見たことがないが、あの頃より随分いい男になっていた。
原作以上にイケメンだったので、女性客の食いつきはいいと思う。

(私は「顔より演技力重視」だが、容姿端麗ならそれに越したことはない。
「風と共に去りぬ」もスカーレットは原作では美人設定ではないが、映画は超絶美女のビビアン・リーが演じたからヒットしたのだと信じている)

猿之助は空を斜めに飛び、巨大鯨の模型がそれに追随し、ブリザードのシーンでは紙吹雪が舞い、水芸では前方の客がビニールを被るほどに水が激しく散り…これ、一日2回公演を行うのだが、ずぶ濡れになったかつらや衣装は、どうやって乾かすのだろう、何着揃えているのだろう、片付けが大変だなと途中からしみじみチンケな感慨に浸ってしまった。


最初に書いたとおり、ワンピの熱烈なファンでもなければ歌舞伎の熱愛者でもないので、ひとつのエンターティメントとしてすごく楽しめた。
(ルフィの仲間では、ナミ(市川春猿)だけがちょっと違う感じがしたが、後はしっくりきた)

1等席16,500円は決して安いとはいえないが、観る価値は十分あると思う。



ワンピースの頂上編(51~60巻)を読んでみたくなった。

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