薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス
たんぱく質摂取は「量」より「質」が大切
脳科学的栄養学 No.32
たんぱく質摂取は「量」より「質」が大切
人間は1日体重の1/1000のたんぱくを摂取することが
必要であることは古典栄養学でも現代でも同じ。
しかし従来の栄養学はたんぱく質の「量」だけを問題にし、
「質」を問われてこなかった。
量だけを問題にするなら、たとえば体重50kgのひとは、
単純に50gのたんぱく質を含んだ食品を食べればよい。
仮に、牛肉の塊の50%がタンパク質だとすれば、
それを100g食べればよいということになる。
この程度の量を食べるだけならそうは難しいと思わない。
誰でも日常的に食べていける。
だから、これまでの栄養学はたんぱく質の摂取量について
「たんぱく質を摂りましょう」とは叫んでこなかった。
しかし、どれだけタンパク質を摂取しても、
その「質」が低ければ決して十分とはいえない。
つまり、人間は1日に体重の1/1000の“良質”たんぱく質を
摂取する必要があるということである。
では、何がタンパク質の「質」を左右するのか、
たんぱく質は20種類のアミノ酸を
さまざまな順序で並べたものである。
その並べ方でたんぱく質の「質」が違ってくる。
食品から摂取したタンパク質が、
そのまま体の部品になるわけではない。
摂取したタンパク質に含まれるアミノ酸が、
体内で必要な形に並べ替えられたものである。
そのアミノ酸の並べ方を指示するのが、DNA。
人間のからだは20種類のアミノ酸が必要。
そのうち9種類のアミノ酸が必須アミノ酸で、
自前でつくることができないので食事で摂るしかない。
なにが“良質たんぱく質”か、もうお分かりかと思うが、
つまり、人体に必要な9種類の不可欠なアミノ酸を
人体が求めるものと同じ比率で含んでいるのが
“良質タンパク質”である。
たんぱく質の良質度は
プロテインスコアで示され100点が満点となる。
ちなみに、スコア100の食品は、主に肉類や魚介類などの
「動物性タンパク質」に多く含まれる。
対して、米や穀物類など「植物性タンパク質」の含有量は少ない。
代表的な食材のプロテインスコアーは表に示すとおり。