【この動画の概要】
精神科医のお悩み相談クリニックです。
今日は丸山ゴンザレスさんとのコラボ動画に合わせて、
同じテーマについて私が語っていこうと思います。
今日は札幌すすきのホテル殺人事件について
精神科医目線で解説していこうと思います。
この事件を取り上げる理由は、
ゴシップや流行りのニュースを追いたいわけではなく、
引きこもりのお子さんを抱える
家族の病理について深く考えるためです。
引きこもりは非常に難しい問題であり、
ご家族とクローズな関係が悪い方向に行くとこうした
事件が起こり得るため、救いの手を差し伸べるために
この動画を作成しました。
事件の概要として、昨年7月に
札幌のすすきので30歳の田村ルナさんが
60歳代の男性を殺害しました。この事件は特別ではなく、
個人の感情や怨恨で殺害が行われた可能性が高いです。
しかし特筆すべきは、田村さんが
その男性の死体を自宅に持ち帰り、
両親がその行為を容認し、
死体を弄んだり動画を撮ったりすることに
協力していたという点です。 これは非常に異常な行為であり、
世間を驚愕させました。ネットのニュースやコメント欄を見ると、
恐怖や不安を感じた人が多かったようです。
そしてこの恐怖に対処するために、
一部の人々は田村さん一家を異常者と見なし、
その背景に精神科医である父親の存在もありました。
私自身、訪問診療で引きこもりの家庭を訪れることがあり、
そこで見られる家族の病理には非常に共通点があります。
例えば、ある20歳代の女性が引きこもり、
売春で生活を成り立たせている家庭がありました。
このような家庭では、
家族が異常なほど平然としていることが多く、
非常に病的なグループになっていることがあります。
ウィルフレッド・ビオンという心理学者が、
病理的なグループの特徴を3つに分類しています。
一つは間違ったリーダーに従うグループ、
二つ目は共通の敵に対抗するグループ、
三つ目は救世主を待ち望むグループです。
田村さんの家庭は、田村さんをリーダーとした
病的なグループになっていた可能性が高いです。
このような病的なグループを解体するためには、
他者の目を入れることが重要です。
支援者が粘り強く関わり、
異常なグループダイナミクスを正常化する努力が必要です。
拒否されても、関係性を維持しながら介入を続けることが大切です。
今回の事件から学ぶべきことは、引きこもりや不登校、
そして不適切な人間関係が非常に危険な状況を生み出す
可能性があるということです。
支援者として、今後も粘り強く関わり、
家族が病的なグループにならないように
サポートしていくことが求められます。
これからも精神科医として、
こういった問題に立ち向かい続けていきますので、
どうぞよろしくお願いします。
今日は札幌すすきのホテル殺人事件を通じて
家族の病理についてお話しました。
ご視聴ありがとうございました。
【精神科医のお悩み相談クリニックとは】
胡散臭くない、営利目的でない、
本当に実際の診療を通して得た学びを
皆さんと共有したくて始めている動画です。
日々の生活で少しでもお役に立てるとうれしいです。