jurgen's Heurige Blog (ゆるげんのブログ)

I will, I will いっぱい足りないの切なくて
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英雄三国志 一~六/柴田 錬三郎

2008年01月22日 | 読書
三国志を読むにはどうしても切なさがともなう。
劉備、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮らのヒーローがいずれも志半ばでこの世を去ってしまうのをすでに知っているので。
これまで吉川英治、横山光輝、陳舜臣、本宮ひろ志の三国志を読んだことがある。
今回読んだ柴田版で個人的には5作目の読破になる。
いづれは北方謙三版も読んでみたいと思っている。

柴田三国志は三国志演義を元に書かれているので、
劉備陣営を中心に物語が展開する。
しかし、彼らにとって初期の重要なエピソードである「桃園の誓い」が大胆にもスルーされていて面食らう。
柴田がもっとも書きたかった人物は諸葛亮孔明である。
それゆえに、孔明に関係のないサイドストーリーは意図的に触れられなかったのかもしれない。
余分な贅肉を落としてあるだけに、物語のスピード感を増す効果があるともいえる。
書き始める前から「出師の表」で小説を終わらせることを決めていたそうだ。
3巻目までがこれに当たる。
何年か後に再び三国志を書く機会が巡ってきて、
蜀の滅亡、晋の建国まで完成することになる。

6巻を通じて支配しているのは、柴田さんの生死観。
「人生朝露の如し」というけれど、人の命は朝の露のように儚い。
人間誰にも必ずやってくるのが「死」。
死ぬまでに何をすべきか?
人生60年とすればとっくに半分を過ぎてしまった。
自分に残された時間はもはやだいぶ少なくなってしまったのではないか?
残り少ない時間で、これから自分には何ができるだろう?
そんなことを読後に考えてしまった。



英雄三国志〈1〉義軍立つ (集英社文庫)
柴田 錬三郎 (著)
出版社: 集英社 (2004/02)
ISBN-10: 4087476731
ISBN-13: 978-4087476736
発売日: 2004/02

英雄三国志(2) 覇者の命運
柴田 錬三郎 (著)
出版社: 集英社 (2004/3/19)
ISBN-10: 4087476839
ISBN-13: 978-4087476835
発売日: 2004/3/19

英雄三国志〈3〉三国鼎立
柴田 錬三郎
出版社: 集英社 (2004/04)
ISBN-10: 4087476928
ISBN-13: 978-4087476927
発売日: 2004/04

英雄三国志〈4〉出師の表
柴田 錬三郎 (著)
出版社: 集英社 (2004/05)
ISBN-10: 4087477029
ISBN-13: 978-4087477023
発売日: 2004/05

英雄三国志〈5〉攻防五丈原
柴田 錬三郎 (著)
出版社: 集英社 (2004/06)
ISBN-10: 4087477142
ISBN-13: 978-4087477146
発売日: 2004/06

英雄三国志 (6) 夢の終焉
柴田 錬三郎 (著)
出版社: 集英社 (2004/07)
ISBN-10: 4087477223
ISBN-13: 978-4087477221
発売日: 2004/07