ファイアボール・ブルース2/桐野 夏生

連続短編集。
プロレスの世界そのものに物語がフォーカスされているので、
1作目よりもこちらの方が断然よい。
前作では火渡抄子の活躍や生き様に重きが置かれていて彼女が主人公の扱いであったが、
本作では物語の語り手である近田が中心となって各物語が展開していく。
近田と同期の与謝野、レフリーのミッキー、ヒールの北本など、
前作ではあまり登場の機会がなかった団体内の人物がより深く描かれていて期待通り。

「プロレスが恐くなった」と言い残し、
長期欠場の末、昨年いっぱいでJWP女子プロレスを退団した大木アスカと、
近田の揺れ動いていく心境がダブって仕方がなかった。
もちろんこれは個人的な一方的思い込みなのだけれど。




ファイアボール・ブルース2
桐野 夏生
出版社: 文藝春秋 (2001/08)
ISBN-10: 4167602040
ISBN-13: 978-4167602048
発売日： 2001/08