昨年の12月の初旬に、野坂昭如さんが亡くなられた。そのときの葬儀委員長は盟友の永六輔さんが務めたという。その永さんが亡くなられた。
今年の2月の何日だったか、たまたま昼に「徹子の部屋」を見た。
このお化け番組は40周年を迎えたとして、その日のゲストに永六輔さんと大橋巨泉さんを迎えていた。お二人の窶れた姿に驚くとともに、自然に胸が熱くなった。おそらく、このお二人は「徹子の部屋」を通して、視聴者に、そして徹子さんにお別れに来たのだと思った。
いま巨泉さんは死の床にあるらしく、先日の参議院選挙を前に最期のコラムを通して「選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです。」と書いた。結果は一泡吹かせることができなかった。
私はだいぶ以前、永さんに一度だけお目にかかったことがある。うろ覚えだが、たしか渋谷の東武ホテルだった。お仕事の依頼に行ったのだった。その仕事はたしか…よく覚えていない。覚えているのは「ぼくは決定の仕事しか受けません」という決然としたものだった。つまり「仮押さえ」での提案はできないのだった。優しげでオバさんぽい話しぶりの永さんに、強烈な個性と反骨の精神を感じた。
雑談でピアニストの小泉源兵衛さんの話になり、笑い合ったことを覚えている。
4月末から6月の土曜日に、NHKで「トットてれび」というドラマをやっていた。黒柳徹子を満島ひかりが演じ、テレビ草創期や「夢であいましょう」などの懐かしい番組をミニミュージカル仕立てで再現していた。最近のドラマでは最も楽しく秀逸なものであった。
永六輔、中村八大、坂本九、森繁久彌、渥美清、植木等、三木のり平、沢村貞子、向田邦子が登場し、なかなか見事、見ごたえがあった。
その永さんの、自民党の憲法草案に対する痛烈な言葉を紹介したい。
「国民に義務を課すなんてちゃんちゃらおかしい。憲法は国民を守るためのルール。政治家が憲法を勉強してこなかった証し」