…その資本を豊富にするの道は、ただ平和主義により、国民の全力を学問技術の研究と産業の進歩とに注ぐにある。兵営の代わりに学校を建て、軍艦の代わりに工場を設くるにある。陸海軍経費約八億円、かりにその半分を年々平和的事業に投ずるとせよ。日本の産業は、幾年ならずして、全くその面目を一変するであろう。
忠君愛国教育の成果か、言論弾圧の成果か、日本が戦争に傾斜し、新聞も軍部や
政府批判を控え、やがてそれを煽っていったとき、石橋湛山は満州と朝鮮と台湾
を捨てよと説いた。遅かれ早かれ、植民地はみな独立国となるであろう。大国主
義の愚を説き、小国主義を説いた。彼は敢然と軍部を批判し、政権とその政策の
愚を突いたのである。平和主義を貫けば、近隣アジア諸国から尊敬も集め、米英
露の大国より優位に立てるであろうと…。
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