平安人の 祈りしみじみ 秋の寺
平等院
宇治の地は、『源氏物語』の「宇治十帖」の舞台であり、9世紀末頃、光源氏のモデルともいわれる左大臣源融(みなもとのとおる)が営んだ別荘で、998年、摂政藤原道長の別荘「宇治殿」となった。道長の長男・関白頼通の時代は天災・人災が続き、釈尊の入滅(当時、紀元前949年と信じられていた)から2000年目以降は仏法が廃れるという末法思想が広まり、貴族は極楽往生を願い、阿弥陀如来を本尊とする仏堂を盛んに造営した。頼道が平等院を創建した1052年は、末法の元年にあたっていた。
鳳凰を屋根の左右に配した平等院中央の阿弥陀仏。平安時代の人々は、池越しにみる阿弥陀仏に素直な心で祈りを捧げていたに違いない・・・