ビタミンおっちゃんの歴史さくらブログ

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◎ギリシャ神話 29 オリュンポス12神 16 ディオニュソス 3

2013-07-15 16:12:29 | HKT48 AKB48
◎ギリシャ神話 29 オリュンポス12神 16 ディオニュソス 3

ミダス王の物語

○ミダスはプリュギアの王ゴルディアスとテルメッソスの女予言者(またはキュベレ女神)との子で、プリュギアの王位を父から継いだ

シレノスは素晴らしい智慧の持ち主で、ディオニュソスの幼い頃の師でもあり養父でもあった

ミダス王(おもに「変身物語(上) 岩波文庫」より)

 ディオニュソス(バッコス)には、いつもの獣神(サテュロス)の群と信女たちがつき従っていたが、あるときシレノスがいなくなっていることに気がついた
 年のせいと、酒の酔いとでふらついているところを、プリュギアの百姓たちにつかまったのだ
 百姓たちは、シレノスを花環で縛りつけて、ミダス王の前へ連れ出した
 ミダス王はバッコスの秘儀を授けられていたが、シレノスを見て、この秘儀には欠かせない仲間であることを見てとると、この老人を十日十夜のあいだにぎやかな宴会を催してもてなした
 そして11日目に、シレノスをディオニュソスのもとに返した

 ディオニュソスは喜んで、ミダス王に、何なりと望みのものを与えようと約束した

 「わたしのからだが触れるすべてのものを、きらめく黄金に変えてくださいますように

 ディオニュソスは、内心では、王がもっとましなことを願わなかったことを悲しんでいたが、この願いをききとげてやった
 ミダス王は、いそいそと帰っていった
 ひとつひとつの物にさわってみることで、授かった力を試してみる
 柊(ひいらぎ)の小枝をもぎとると、それは黄金に変わった
 地面から石を拾いあげると、鈍い金色に輝く
 木からりんごをもぎとると、ヘスペリデスの園の黄金の林檎ともおもわれるのだ
 澄んだ水に手を浸してみたら、手のひらから落ちる水は、ダナエを襲った黄金の雨かともおもわれる

 喜んでいる王の前に、召使が食事をととのえる
 ご馳走が山もりになっていて、パンも添えられている
 手でパンに触れると、固くなっている
 料理を噛みくだこうとすると、歯の当たった食べ物を、まばゆい金箔がおおう
 葡萄酒を飲もうとすると、溶けた黄金が口へ流れこんでいる
 災厄にびっくりするばかりだが、金持ちであるということが惨めでもある
 先ほどまでの願いを憎悪する
 ありあまる食べ物も、飢えを鎮めはしない。はげしい渇きが喉を焼く
 金ぴかの両腕を天に差しあげて、
「父なるディオニュソスよ、お許しください!
 わたしが間違っていたのです。どうか、ご慈悲を!
 この光り輝く災いからお救いくださいますように」

 ディオニュソスは慈悲深い神でしたから、自分が間違っていたことを自認したミダスを、元どおりにもどすと、約束による恩恵を取り消した
「黄金を求めるなど、つまらぬことをしたものだ
 その垢を払い落とすためには、サルデスの都に近いパクトロス河を訪ね、流れをさかのぼって、河の源に行き着くのだ。泉がこんこんと噴き出ているあたりに、頭とからだをひたし、罪を洗い流すのだ」
 王は、命じられたとおりにして、その水にひたると、すべてのものを黄金に変える魔力は、河の水にしみこみ、ミダスのからだから、流れる水へと移った
 今もなお、この河の流れで濡れた土は、鈍い金色を放っているのだ

 このことがあってから、ミダス王は富を憎み、田舎に住むようになり、山の洞穴に住みついている牧神パンを崇めるようになった

○パン(pan)は真昼時に眠るが、これを邪魔すると怒り、恐慌(panic パニック)を送る
 パニックとは「パンの」もたらす恐怖のことをいい、パンが人間の群集に引き起こすものとされる


◎ギリシャ神話 28 オリュンポス12神 15 ディオニュソス 2

2013-07-15 16:08:41 | HKT48 AKB48
◎ギリシャ神話 28 オリュンポス12神 15 ディオニュソス 2

アリアドネ

○アリアドネはクレタの王ミノスと王妃パシパエの娘で、ディオニュソスの妻となる

・ミノスは王位を継承するために、ポセイドンに海底から牡牛をつかわしてくれるよう祈り、その牛をポセイドンに捧げることを約束した
 ポセイドンは海から素晴らしい牡牛をミノスに贈ったので、ミノスの王位継承権は証明されたが、その牡牛があまりにも立派だったので、それを惜しんで約束を破って犠牲に捧げず、他のありふれた牡牛を捧げた

 その罰として、ポセイドンはパシパエが牛に対して欲情を起こさせるようにした
 ミノスに贈られた牡牛に恋したパシパエは名工ダイダロスに助けを求めた

 ダイダロスは木の板を組み合わせて、牛の形につくり、それに本物の牛の皮をかぶせたものを作った
 この木製の牝牛の中は空洞になっていて、そこにパシパエが入って牡牛と交わることができるようになっていた
 これを牡牛のいる牧場にひいていかせると、牡牛は真の牝牛と思って交わり、パシパエは欲情を満足させた
 パシパエはミノタウロスを生んだ

ミノタウロスは、牡牛の頭と人間の身体を持つ怪物で、ミノスはダイダロスに命じて、一度入れば出口のわからなくなる迷宮ラビュリントスを作らせて、その中にミノタウロスを閉じ込めた
 アテナイが疫病に苦しめられたとき、ミノスはアテナイから毎年(3年ごと、あるいは9年ごととも)7人の少年少女をミノタウロスの人身御供として要求した

・ミノタウロスに捧げられる犠牲者はくじ引きで決められていたが、アテナイの王アイゲウスの王子テセウスは悪人や怪物を退治して名を成したいと思っていたので、犠牲者が送られる時がきたとき、自ら進んで犠牲者の1人に加わった

・1行がクレタ島に着くと、テセウスを一目見たミノス王の娘アリアドネはテセウスに深く思いを寄せるようになった
 アリアドネはダイダロスから、ラビュリントスの迷路から抜け出すには、入口に糸を結びつけ、それを伝って戻ってくるしかないという情報を得た
 そして、アリアドネはこれで戦うようにと、1ふりの剣をテセウスに与え、これに頼れば迷宮から出てくることができますからと、糸玉を与えた
 テセウスはミノタウロスを殺すと、無事に迷宮から外に出た

  テセウスはアリアドネを連れて、助けた少年少女とともに船でアテナイ目指して出帆した
 途中、ナクソス島に着いたが、アリアドネが眠っているあいだに彼女をこの島に置き去りにした

○テセウスがアリアドネを置き去りにした原因については種々の説がある

1 最も古い説によれば、テセウスが魔法にかけられてアリアドネのことを忘れてしまった
2 テセウスにはすでにパノペウスの娘アイグレという恋人がいた
3 アリアドネに恋したディオニュソスが彼女をさらった
4 ヘルメスあるいはアテナの命による
など

○「変身物語(上) 岩波文庫」には以下のようにある

 ミノスは、牛頭の若者をここへ閉じ込めた。そして、この怪物は、二度アテナイの男女たちの血をねぶったが、九年目ごとに要求されるこの人身御供の三度目に、そのひとりとして選ばれたテセウスが、これを退治した。
 テセウスは、これまで誰ももどり着けなかった困難な入口を、あらかじめ通路に引いておいた糸をたぐることで見つけ出したのだが、これには、ミノスの娘アリアドネの協力があった。
 それから、ただちに、彼はアリアドネを連れて、ナクソス島へむけて船出したが、残酷にも、その島の岸に彼女を置き去りにした。
 捨てられて、はげしく嘆き悲しんでいる彼女に、愛と救いの手とをさしのべたのが、酒神バッコス(ディオニュソス)だった。
 この神は、彼女が星となって不断に輝きを見せるようにと、彼女の頭から冠を取って空へ投げあげた。冠は虚空を飛んだが、飛んでいるうちに、つけられている宝石が燃え輝く星となり、冠の形はとどめたままで「ヘラクレス」座と「蛇使い」座との中間に場所を占めた。

○アリアドネの冠は「冠座」となった