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◎飛行機 15 ライト兄弟 7

2014-03-09 18:57:27 | HKT48 AKB48
飛行機 15 ライト兄弟 7

1900年 グライダーの初飛行

○以下、「ライト・フライヤー号の謎」(鈴木真二 技報堂出版)などによります

○兄弟はキティーホークの砂丘が連なるキルデビルヒル(悪魔殺しの丘)の砂丘の1つを選び飛行を試みた
 十数回飛行を試みて、15秒から20秒、90mから120m飛んだ

1900年10月23日、グライダーによる最初の飛行テストを終えた

・水平舵はうまく作動し、上昇、降下、着陸と自由に操ることができた

★問題点は、揚力が予想していた見積もりの大きさより不足していたことであった

○ライト兄弟は綿密な計算に基づいて翼の大きさを決めていた

・見積もりでは、迎え角3度で風速が秒速9.4mの風で十分な揚力を得られる計算であったが、実際には機体が浮くためには、迎え角20度以上で、風速が秒速11m(時速25マイル)を超えなくてはならなかった

○ライト兄弟はリリエンタールのデータにもとづいて揚力を計算した

○リリエンタールは揚力や抵抗を計算する式に使われる「スミートン係数」の値を信用して使っていたが、その「スミートン係数」の値に誤りがあった

スミートン係数とは

・イギリスのジョン・スミートン(1724-1792年)は、流れに垂直におかれた平板の受ける空気抵抗を算出する式を示した

流速V、平板の面積をS、空気抵抗をDとすると、

D=k・V2 ・S  (ここでV2はVの2乗、以下同様)

空気抵抗は平板の面積と流速の2乗の積に比例するということで、この比例定数kはスミートン係数と呼ばれ、19世紀まで使用された

○スミートンはスミートン係数kをk=0.005とした

スミートン係数は単位系によって変わり、0.005という値は、速度Vを毎時マイル、面積Sを平方フィート、力をポンドで表したときのものである
しかし現在の測定によればこのk=0.005という値は誤っていた

○リリエンタールは速度Vをm/s、面積Sを㎡、力をkgで表し、スミートン係数kを
k=0.13と変換して用いた

ある迎え角の揚力係数をCLとして、
揚力をLとするとLは

L=k・V2 ・S・CLと示される

◎現在の空気力学では
抵抗DはD=(1/2)ρ・V2 ・S・CD

揚力LはL=(1/2)ρ・V2 ・S・CL
と示される

ここで、ρは空気密度、CDを抵抗係数、CLを揚力係数とよぶ

本来はkは空気密度を含んでいるから定数ではない

スミートン係数に相当する値を空気密度の半分とすると
空気密度ρを1.225kg/m3 (ここでm3は立方m)とすればスミートン係数に相当する値は
1.225/2=0.06125でリリエンタールが用いた0.13の約半分である
したがってリリエンタールが用いたスミートン係数をもとに揚力を計算すると実際の値の約2倍の大きさになってしまう

ライト兄弟の見積もり

機体は52ポンド(24kg)、パイロットは140ポンド(63kg)とすれば、機体重量は192ポンド
揚力係数はリリエンタールのデータによって迎え角3度で0.545とする
風速(飛行速度)Vは時速21マイル(毎秒9.4m)と仮定した
翼面積Sは175平方フィートと計画された

スミートン係数kを0.005とすると
揚力LはL=k・V2・S・CL=0.005×21×21×175×0.545=約210.3(ポンド)となる
機体重量は192ポンドであるから、揚力は十分であるはずだった

しかし実際は、kの値は現在ではk=0.00289と測定されており、k=0.00289とすると
揚力LはL=0.00289×21×21×175×0.545=約121.6(ポンド)となり、揚力は不足することになる

★ライト兄弟は適当にグライダーを設計したのではなく、きちんと計算して設計したのだが、もとづいていた計算式の係数の値に誤りがあったのである