◎長篠の合戦…鉄砲隊の(三段)一斉射撃は可能だったか?
◎1575(天正3年)5月21日、織田信長と徳川家康の連合軍が武田勝頼の軍勢を破った
・戦闘時間は5月21日の明け方から未の刻(午後2時ごろ)まで約7、8時間続いた
◎「…五月二十一日の明け方から、東北東の方角に向かって未の刻まで、鉄砲隊を入れ替わり立ち代わらせて戦った。武田方は多くの兵が討たれ、次第に兵力が少なくなって、諸隊とも武田勝頼の本陣へ逃げ戻り、かなわないと悟ったのか、鳳来寺めざしてどっと退却した。…」(現代語訳「信長公記」(上) 太田牛一 著 中川太古 訳 新人物往来社 巻八の項目より)
◎火縄銃による実弾発射映像
・「歴史REAL」vol.1(2011年1月3日発行)の付録DVDに火縄銃による実弾発射映像が公開されている
◆火縄銃の発射までの操作手順
・早合(この中に1発分の火薬が入っている。早合の下に弾(鉛玉)をはさめる)に入った火薬を、立てた銃の銃口から注ぎ込む
・銃口から弾を入れる
・「かるか」(細長い棒)で弾を銃口から押し込み、奥へつき固める
・「火蓋」を開けて、口薬(黒色火薬)を「火皿」に注ぐ
・火蓋を閉じる
・火のついた火縄を火ばさみにはさむ
・銃をかまえて(肩ではなくて頬につける)、火蓋を開いて(火蓋を切る)発射準備完了
・引き金を引いて(火蓋を開いてほぼ4秒で)発射
引き金を引くと火縄の火が火皿の火薬に点火し、その火が銃身内の本薬(火薬)に引火し、急速に燃焼し、そのガス圧で弾が飛び出す(引き金を引いてから弾が飛び出すまでに時間差がある)
★1発発射するまでの時間は熟練者でも1分前後かかる
・戦場においては、平常心でいられないからもっと時間がかかるだろう
★無理に合図に合わせて発射すると命中精度が落ちる
・ねらいを定めて発射するまでの時間はほぼ4秒で決まっており、それより早くても遅くても命中精度が落ちる
・発射するまでの時間は射手の能力によってバラツキがあり、一斉射撃することは現実的に無理であるし、かえって効率が悪い
★それぞれの射手のタイミングでバラバラに撃った方が命中精度が上がり効率がよい
・「敵が射程距離に入りしだい各自のタイミングで撃て」ということで新戦法でも何でもない
★また、一斉射撃して敵がいないところでもおかまいなしに撃つのは弾や火薬がムダになり、そんな不経済で不合理なことは信長が許すはずがない
★弾が発射されたとき、轟音とともに火皿から火花と熱、爆風(衝撃波)が射手の右手に広がる
・銃口からは白い噴煙や火炎が弾とともに吹き出る
★ゆえに、射手が横1列に密集して射撃することは安全上できない
・安全のためには、少なくとも前後左右に3mの距離が必要
★設楽原の戦場の南北約1kmの地域に鉄砲隊をもし仮に横1列に安全に並べて配備するとすれば、せいぜい300人程度であろう
・一度に鉄砲1000挺も配備するのは無理
◎長篠の合戦における鉄砲隊の(三段)一斉射撃は現実的に無理であり、その必要もない
◎1575(天正3年)5月21日、織田信長と徳川家康の連合軍が武田勝頼の軍勢を破った
・戦闘時間は5月21日の明け方から未の刻(午後2時ごろ)まで約7、8時間続いた
◎「…五月二十一日の明け方から、東北東の方角に向かって未の刻まで、鉄砲隊を入れ替わり立ち代わらせて戦った。武田方は多くの兵が討たれ、次第に兵力が少なくなって、諸隊とも武田勝頼の本陣へ逃げ戻り、かなわないと悟ったのか、鳳来寺めざしてどっと退却した。…」(現代語訳「信長公記」(上) 太田牛一 著 中川太古 訳 新人物往来社 巻八の項目より)
◎火縄銃による実弾発射映像
・「歴史REAL」vol.1(2011年1月3日発行)の付録DVDに火縄銃による実弾発射映像が公開されている
◆火縄銃の発射までの操作手順
・早合(この中に1発分の火薬が入っている。早合の下に弾(鉛玉)をはさめる)に入った火薬を、立てた銃の銃口から注ぎ込む
・銃口から弾を入れる
・「かるか」(細長い棒)で弾を銃口から押し込み、奥へつき固める
・「火蓋」を開けて、口薬(黒色火薬)を「火皿」に注ぐ
・火蓋を閉じる
・火のついた火縄を火ばさみにはさむ
・銃をかまえて(肩ではなくて頬につける)、火蓋を開いて(火蓋を切る)発射準備完了
・引き金を引いて(火蓋を開いてほぼ4秒で)発射
引き金を引くと火縄の火が火皿の火薬に点火し、その火が銃身内の本薬(火薬)に引火し、急速に燃焼し、そのガス圧で弾が飛び出す(引き金を引いてから弾が飛び出すまでに時間差がある)
★1発発射するまでの時間は熟練者でも1分前後かかる
・戦場においては、平常心でいられないからもっと時間がかかるだろう
★無理に合図に合わせて発射すると命中精度が落ちる
・ねらいを定めて発射するまでの時間はほぼ4秒で決まっており、それより早くても遅くても命中精度が落ちる
・発射するまでの時間は射手の能力によってバラツキがあり、一斉射撃することは現実的に無理であるし、かえって効率が悪い
★それぞれの射手のタイミングでバラバラに撃った方が命中精度が上がり効率がよい
・「敵が射程距離に入りしだい各自のタイミングで撃て」ということで新戦法でも何でもない
★また、一斉射撃して敵がいないところでもおかまいなしに撃つのは弾や火薬がムダになり、そんな不経済で不合理なことは信長が許すはずがない
★弾が発射されたとき、轟音とともに火皿から火花と熱、爆風(衝撃波)が射手の右手に広がる
・銃口からは白い噴煙や火炎が弾とともに吹き出る
★ゆえに、射手が横1列に密集して射撃することは安全上できない
・安全のためには、少なくとも前後左右に3mの距離が必要
★設楽原の戦場の南北約1kmの地域に鉄砲隊をもし仮に横1列に安全に並べて配備するとすれば、せいぜい300人程度であろう
・一度に鉄砲1000挺も配備するのは無理
◎長篠の合戦における鉄砲隊の(三段)一斉射撃は現実的に無理であり、その必要もない