勤務先では複数のグループ会社と労働法に関するコンサルタント契約を締結しています。月額〇〇円とし、相談があってもなくても固定額をいただく契約です。企業によっては10年以上おつき合いいただいているところもあります。
コロナ前は電話での問い合わせもありましたが、今ではほとんどがメールできます。
内容は先方の制度や労働者に関することです。「労働者」は従業員、社員、正社員、契約社員、嘱託(社員)、アルバイト、パート等々、複数の区分があります。困るのは、ここにあげたものでは労働者以外、労働法上の定義がないことです。
例えば「社員」は「会社業務についている人」なので正社員や有期雇用者、アルバイトなどを含めると思われますが、会社によっては「正社員」を意味しています。親会社から出向していた部長職は、「みなさんは社員ではないので、この情報は知らないと思いますが、~」とメールをしてきたこがもありました。この方にとって社員とは「親会社に所属する正社員」のことだったわけです。
「契約社員」は一般的に有期雇用者と思われます。しかし、正社員も無期雇用という契約を会社と結んでいるので契約社員ともいえます。したがって、「有期雇用契約社員」としたほうがはっきりします。
そのほか、嘱託やアルバイト、パートは企業によってさまざまです。
先方が自社の定義を理解したうえで質問してくれれば助かります。しかし、そうでないときもあるので必ず意味を確かめるようにしています。そうしないと認識が双方で違い、話がかみ合わなくなってくるのです。
もう一つ気をつけなければならないのは、同じ言葉でも法律や規程によって定義が違うことがあることです。例えば労働基準法上の「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事業所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」と規定しています。一方、労働組合法での「労働者」は「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」です。「収入によって生活している者」ではありません。失業者も含まれるのです。
ビジネスを進めていく上では、定義が大事です。多くの法律で最初に定義を規定しているように、日常の業務でも最初にはっきりさせることが必要ですね。