トイレで母と父が口喧嘩していた、哀しそうに肩を震わせうずくまり泣き始めた母の背中は小さかった、こんな哀しい泣き声を初めて聞いた気がした。愛しい母が哀れに泣いている、6歳頃の子供でも哀しさへの共感はある、まして全幅の信頼を寄せる母ならば胸が痛む。
すぐ後ろにいた妹が母に取りすがった、私も何とか慰めたかったが大人の感情の奔流に怯んでしまった、伸ばした手は止まってしまった、その一瞬後に母は妹を抱きしめた「慰めてくれるのはあなただけ」そして私をじっと見て何かを言った。
今となっては何と言ったか思い出せないけれど、失望させたこと、母を思っていると伝えられなかった無念は心に残っている。そして母が私に向けた憎しみの目も。それは私に向けてだったのか父への怒りだったのか、両方だったのか。私は母を慰めたかった、ここに私がいるよと伝えたかった、私は味方だよって本当は言いたかった。
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