「休日にスマホ持ちたくない」
「わかります。仕事の連絡かかってくると心底休めませんもの」
「それもあるけど違う。まず、平日はスマホ肌身離さず持ってないといけないじゃない?」
「仕事には不可欠ですからね」
「仕事の休憩中とか、家に帰ってからとか、気が付けば常にスマホを操作していることに気が付いた。俺スマホ中毒になってる」
「持ってても使わなければいいじゃないですか」
「それは理想論だ。持ってたら使っちゃうよ。常に持っていることと中毒であることにさしたる違いはない」
「確かに。身近な欲望は逆らい難いですよね。スマホには直接目に見える害がありませんし」
「平日にスマホを手放すことができないのなら、せめて休日だけでも」
「言ってもそれはスマホの使い方次第じゃないですか?普段スマホで何やってるんです?」
「まとめサイトの閲覧」
「完全な暇つぶしですね」
「そうなの。特に意味は無いんだけど、何となくやってしまう。で、これがよくないって感じてはいたけど、最近それが確信になった」
「どうしたんですか?」
「情報処理能力が落ちてるのを切に感じるようになった。具体的に言うと、読書と対話のスピードと理解力と持続力」
「言葉が詰まったり、文章を読み直したり、ですか」
「うん。読書にかけられる時間も短くなった。個人の体験を安易に一般化してはいけないとは思うけど、自分に限っては間違いない。弱ってる」
「情報の咀嚼力が弱まってるってことなんでしょうねぇ。まとめサイトに書いている事なんて言ってしまえば”情報の離乳食”ですから」
「まさしく。これはいかんぞと。読書もままならないぞと。完全にスマホの弊害が発生している」
「その方針はよろしいですが、実際にスマホを持たないのはリスクが大きいですよ」
「そう。要はスマホを使う必要が無くなればいい。で思ったんだが、そもそもスマホで暇を潰しがちなのは、それが一番手軽な情報媒体だからだ」
「・・・どういうことです?」
「文庫本だのゲームだのは持ち運ぶのに大きすぎるんだよ。スマホはポケットに入る大きさで得られる情報量が膨大過ぎる。あれは人類の歴史で最大の暇つぶし道具だ。つまり」
「つまり?」
「スマホに代わる暇つぶし道具を持てばスマホを使わなくて済む」
「暇を作らないようにした方が建設的じゃないですか?」
「暇は作り出すものだって誰だか言ってたでしょ。どんなに忙しくてもスマホをいじる時間はできてしまうんだよ」
「うん、はい、はい。言いたいことはわかりました。で、そのスマホの代替品とはなんですか?」
「これだ」スッ
「なにそれ手帳?」
「kindleだ。今話題の電子ブック。この前買った」
「電子書籍は否定派じゃありませんでしたか?」
「”いいものはいい”が俺の信条だ」
「さいですか。何か本入れました?」
「とりあえず”吾輩は猫である”が無料だからダウンロードして、この前読み終わった」
「ベタベタですね」
「教科書には載ってるけどそういや全部は読んだことなかったな、と。読んでて思ったけど、電子書籍だと残りのページ数がわかりづらい。あとこの位で読み終わるっていう、読み進めている感が得られないのはちょっと残念だね」
「”吾輩は猫である”って案外長いですよね」
「そう!文庫本で500ページ位あってさ、なかなか読み終わんねーなって。それはそうと利便性は素晴らしいから、当分これに本を入れていこうかなと思ってる。最近読書離れしてたし丁度いい」
「どういう形であれ読書するのはいいことですものね。頑張ってください。あ、せっかくだし””吾輩は猫である”の感想聞かせてくださいよ」
「猫が可愛そうだと思いました!」
「スマホの弊害以前の問題ですね」
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