あともう少しだけ

日々の出来事綴ります。やらずに後悔よりやって後悔。

対話 野性の味

2014-06-04 23:18:08 | コラム
「舌がピリピリする」
「何か変なものでも食べたんじゃないですか?」
「そう言えば、道草を食べた」
「どこ行ったんです?」
「?どこって訳じゃないけど、外で。ちょっと仕事中、目についたからつい」
「仕事中の買い食いとは感心しませんね。きっと罰が当たったんですよ」
「いや買ってないし。タダだし」
「?まさか拾い食い?何ともはしたないマネを・・・」
「?いや拾って食うというよりつまんで食うものだろ、あれは」
「あれ?結局何を食べたんですか?」
「だから道草だって!」
「・・・あ、道草を食べた」
「そう」
「道に生えている雑草を食べたと」
「うん」
「動物ですか貴方」
「体によさそうじゃん」
「何故食べようと?」
「新芽の部分が柔らかそうで。残念ながら草の味しかしなかった」
「それは・・・引きます」
「いやいや、大事なことだよ?昔の人は食べられるものかどうかは実際に食べて確認するしかなかったんだし。思うに現代人の食生活には野性味が足りない」
「現にそれで舌をおかしくしてしまっては元も子もないでしょうに。ところで鹿肉とか熊肉は食べた事ありますか」
「ない。あるの?」
「猟師さんからおすそ分けしてもらった事が何度かあります。筋が固いんですが噛むごとに濃厚な匂いと甘味が口の中に広がって、まさしく野性味溢れる味ですよ」
「食べたい。店に売ってないのかな」
「見た事ないですが」
「よし、捕って来よう」
「Let’Sの形式はおかしいですよね?」
「捕って来い」
「命令形はもっとおかしい」
「実は捕ってきたものがここに」
「過去完了形。もう投げてるでしょ貴方」
「自分じゃ捕ってこれないもの。じゃあどうやって手に入れるんだよその野性の肉を」
「私は思い出した頃にもらっているので、その時にでもお分けしますよ」
「今食べたいなぁ」
「我がままな・・・。あ、通販で売ってるんじゃないですか?」
「ん~ネット文化とは180度方向性が違うけど・・あるかもね」
「ケータイで調べてみては?」
「もうやってる。『鹿肉 買う』で検索っと・・・・あったよ・・・」
「しかもトップページにはamazonの広告」
「『鹿肉はアマゾンで』・・・いくらなんでも節操無さすぎだろamazon」
「熊肉はどうですか?」
「あ、忘れてた。検索・・・あった。値段は1パック200グラムで2300円。これって安いの?高いの?」
「相場がわからないので何ともですが、手間代で考えると妥当でしょうか?」
「手間代というか、危険度?」
「まあ、銃渡されて熊捕って来いとか言われても普通行きたくないですものね。そう考えれば安いですか」
「せっかくだし買ってみるか」
「いいですね。あ、どうやって食べるつもりですか?」
「焼肉とかでいいんじゃないの?」
「野性の肉は油が多くて匂いも強烈ですから、焼くなら外でやることをおすすめします。室内でやったら惨事です」
「面倒くせぇ・・・。思い出した、レトルトの熊肉カレーが普通に売ってるじゃん。あれでいいよもう」
「妥協しちゃダメです。焼いて食べるのがいいんですって」
「これ以上話すと本当に熊肉買いそうだからやめてくれ」
「せっかくだから買いましょう熊肉、代金半分出しますから」
「ノリノリだなお前・・・」
「通販で買う熊肉が普通の熊肉とどう違うのか気になるんですよねぇ」
「普通の熊肉ってなんだ」

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