福島旅行のときに読み進めていましたが、更新が遅くなり今のタイミングとなってしまいました。。ちなみに、これよりも先に読み終えていた本についてもまだブログで報告してなく、追い追い報告していきます。
大分トリニータの番記者であり、これまで数多くの本を出版してきたひぐらしひなつさんの最新作となります。トリテンの記事は有料会員となって毎回拝見させていただいておりますが、要点をしっかりと伝えつつ深いところまで切り込んで突き詰めていくので、内容が濃くて考えさせられる部分が多いです。同じ中津市出身としてこれからもご贔屓に応援していきます。
今回出版の「サッカー監督の決断と采配」はトリニータ在籍の監督だけでなく数々の名将たちにインタビューを行い、どの監督も読みごたえがありました。それぞれの監督について、内容のネタバレにならないように、このブログを読んで中身が気になると思わせるような感想を述べたいと思います。
・田坂和昭
これまでずっとトリニータを追いかけてきた僕にとって、もう田坂監督についてはお腹いっぱいだと思っていたが、今回綴られた24ページはおそらく本作で初めて知らされる事実だらけじゃないかな。
これまで謎に包まれていた2015年シーズン、そして表に出さずにいたダニエルについても多く語られていた。2023年になった現在、J3に降格してからJ2に昇格でき、さらにJ1の舞台も楽しませていただいたので今となっては受け入れられる事実だけど、これがもし今現在でもJ3でもがき続けているとしたら、田坂監督の決断には納得したくてもしてあげられないかなと読んでいて感じた。
おそらくひぐらしさんも出すならこのタイミングと言うことで、ここまで寝かせていたのだと予想している。
・木山隆之
プレーオフに何度も出場するくらいの実力があるけど、肝心のプレーオフで勝利を掴めず昇格できずにいる"持ってない"印象の強い監督。本編でもその"持ってなさ"がなんとなく伝わるような構成となっており、やはり監督業の難しさを改めて感じさせた。
何が正解で何が間違いなのか、そんなことは誰にも知るわけがない。戦術のトレンドがコロコロ変わる昨今、自分のスタイルを貫くのか、それともトレンドを追いかけてアレンジしていくのか、おそらく木山監督はどっちつかずの性格なのかなと思う。そこがはっきりとできるかどうかが、今年の岡山の命運を左右するのかなと予想する。
・北野誠
カマタマーレ讃岐を残留させ続けたことよりも、個人的にノジマステラ神奈川相模原の監督就任のエピソードのほうが印象深かった。どんなに結果を残している名称でも、女子チームとなると接し方が180°と言っていいくらい異なり、さすがの経験ある監督でも頭を悩ませたという話は実に興味深かった。
こういった経験を持つ人って決して多くないので、ぜひとも指導者に読んでいただきたい。
・吉田謙
こちらは逆に主任クラス以上の方に読んでいただきたい。多くの部下をまとめ上げるために苦労している主任クラスは数多くいると思うが、どうすれば部下がついてくるようになるのかについて、この吉田監督が語られている部分に多くのヒントが隠されている。
多くの情報を伝える必要なんてない。要件を的確に伝えていけば部下に同じ矢印を向かせることは可能となる。僕が主任クラスになった暁には、もう一度吉田監督の頁を読み返そうかなと思っている。
・小林伸二
トリニータから始まった監督人生だが、約20年間ほぼ途切れることなく就任オファーが来るのは本作だけで伝わるような気がしている。昔から真摯に伝えていくという人だと思っていたが、伝えるとかそんな簡単な言葉では表せない。心に突き刺すといった表現が適切だろうか。
そして現在はギラヴァンツ北九州のスポーツダイレクターに就任しているが、思い描いているビジョンは夢があり、かつ現実的と言える内容も書かれていた。ぜひ北九州サポーターにも読んでいただきたい。
・石崎信弘
初代トリニータ監督で、小林監督と同じく現在に至るまで監督業のオファーが途切れることなくやってくる。さまざまな経験をしてきた監督だが、やはり感動的な昇格のエピソードはかけがえのない経験だと綴られていた。
そしてトリニータにも在籍したあの選手のエピソードも数多く語られていた。自分が"育てた"と思う選手はそれだけ愛情もひとしおなんだろうな。トップの舞台で通用する選手を育てた実績こそが、監督のステータスを上げることになるかもしれないね。
・片野坂知宏
トリニータサポーターからしたら耳タコなくらい聞かされてきた片野坂監督のエピソード。それでも当時を思い浮かべながら読んでみるとどこか感情的になってしまうくらい良い思い出ばかりだった。片野坂監督が就任した6年間は、苦しい経験もしたけど楽しませていただいた感謝しかない。
ガンバの監督就任エピソードは、本人にとってもひぐらしさんにとっても消し去りたいと思っているかもしれない。できれば全クラブのサポーターに読んでいただきたいけど、ガンバサポだけは控えたほうがいいかもしれない。
・下平隆宏
はっきりと言わせてもらうが、本編で取り上げた監督のなかで下平さんが一番内容が薄く感じた。でもそれは仕方ないことだと思っていて、おそらく本格的に取材をしたのはトリニータの監督就任してからだと思うし、約1年余りで語ろうとするとどうしても2022シーズンのハイライトにしかならない。
それにまだまだ下平体制は夢を追いかけている途中だし、これから下平さんだけで1冊の本が出来上がるくらい多くの思い出を残していくことを期待している。
・高木琢也
印象深かったのは監督デビューとなった横浜FCでのエピソード。自分が同じ局面に立った時、高木さんと同じ判断がとれるかと問われたらおそらくその決断はとれないだろうなと思う。
現在はV・ファーレン長崎のCROを務めている。監督業を行いたいという野心はあるかもしれないが、それよりも地元に貢献できるという喜びのほうが大きいのかな、とキックオフ長崎を見てて思った。
徐々にコロナも明けてきて、現地で取材とかもしやすくなると思うので、次回作も更にクオリティ高く仕上げてきてくれる期待感がある。大変だと思いますが、心待ちにしておきたい。
じゃこの辺で
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