- それは、ある僧侶の勘違いから始まった ー
沙羅双樹(さらそうじゅ) 探(さが)し探(さが)して 奥山へ
釈迦(しゃか)の導(みちび)き *沙羅の木のあり
群 峰
お釈迦さまが、入滅の時に四方に繁った ”沙羅双樹”が、
”日本のどこかで”も、きっと白い花を咲かせている。と
信じて疑わなかった僧侶は、山奥で”夏椿”を見つけた。
「あった~# これぞー これぞ沙羅の木である。」
以来、本堂前に、夏椿が植えられた寺院を、いくつも見つけられる。
そこにあるのは、”沙羅の樹”なのである。(夏椿ではないー)
祇園総舎(ぎおんそうじゃ)の鐘の声
諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色
生者必滅の(ことわり)あらわす。
「平家物語」の七五調美文の広まりで、”寺と夏椿”の風景は、
ますます、”寺と沙羅の木”として庶民の間に定着する。
---< かくして・・・・こんにちでは、
”花木センター”などに行っても、夏椿は、人気がある。
この村内でも、数件が、庭先に植えこんでいる。
なつつばき 幾重(いくえ)に白く 幾重(いくえ)にも
落ちて錆(さび)いろ ぬし逝(ゆ)きし家
夢 蔡
植木好きの大工の源さんは、早朝に、花木の手入れをして、
仕事に就いたものだ。
ある朝のこと、かれは、起きてこなかった。
急ぎの仕事で、その晩遅くまで、がんばった。
一杯飲んで寝たのだが、それが最後であった。
生者必滅 ああー! 無情ーーーーー
-----<了>-------
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