「うなぎ」といえば、やはり「蒲焼き」が一般的。
その「うなぎの蒲焼き」も関西と関東では、調理の方法が少し違うそうで。
ところが、霞ヶ浦沿岸地域では、伝統的に、うなぎは「煮うなぎ」、煮て食べる方法が一般的だったと、聞いたことがあります。
「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(文献1)では、
うなぎ料理は、県央地区と鹿島灘沿岸地区の調理方法が簡単に紹介されています。
・県央(涸沼沿岸か)では、「いろりで焼いてから、醤油で煮る」
・鹿島灘沿岸では、「強い遠火で素焼きにし、身をほぐして、砂糖・醤油で煮る」
どちらも、
① 焼いてから、
② 醤油(と砂糖)で煮る
のが、伝統的な食べ方で、やはりごちそうだったようです。
(文献1では「うなぎはいったん焼いた方が美味しい」と耳より情報も)
さて別の文献「食彩百景 いばらきの味―郷土料理献立集」(文献2)では、
出島村(現在のかすみがうら市出島地区)の食生活改善推進協議会が、「うなぎの帆引き煮」というレシピを紹介しています。
こちらのレシピでは、焼かずに醤油・砂糖・酒で作ったタレで煮ます。
※こちらの詳細なレシピは、農林水産省公式ホームページの中の「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」で紹介されています(参考サイト1)
どちらにしても、全国一般的な「うなぎの蒲焼き」(関東風は蒸してから焼く、関西風は蒸さずに焼く)とは違う調理法ですね。
実際、「うなぎの大和煮」「うなぎの佃煮」が、霞ヶ浦周辺エリアの名物になっていますし、例えば、石岡市のふるさと納税の返礼品の中に「うなぎの大和煮」もあるのです(2020年現在)。
写真は、土浦市の常磐商店さんの「うなぎのやまと煮」
歯ごたえがあって、噛むと、蒲焼きとはまた違う味わいのうなぎの旨味が、甘辛味とともに口に広がります。
ご飯にも日本酒にも合います。
同じ「うなぎの大和煮」「うなぎの佃煮」も、地域やお店で少しずつ違うかもしれませんね。
食べ比べも楽しそうです
●参考文献
1.「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」 農文協
2.「食彩百景 いばらきの味―郷土料理献立集」 茨城県衛生部成人病対策課 編集・発行
●参考サイト
1,農林水産省 「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」 茨城 うなぎの帆引き煮
※ レシピは文献2が引用されています。
(市川)