白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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2017年05月07日 23時55分16秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
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ぜひご覧ください。

さて、本日は指導碁を題材にします。



1図(テーマ図)
5子局の黒番です。
左辺白△の滑りは、白の根拠を確保して逃せない一着です。
黒はどうしますか?





2図(実戦)
黒1など、何か受けようとする手は失敗です。
左辺の白石は既に生きており、後手を引いて白8の大場に回られてしまいました。





3図(続・実戦)
白14まで隅で生き、右上の黒地は差し引きゼロぐらいになってしまいました。
それだけでなく、うっかりすると黒全体の目を脅かされかねません。
左辺を受けてできた黒地は僅か数目ですから、どちらが大きいかは言うまでもありません。





4図(正解)
黒1と大場に向かうのが正解です。
他には黒Aから白を分断しに行くなども、発想としては良いでしょう。

大事なことは、左辺は既に終わった場所だということです。
白2には黒3と止めて何でもありません。
また、黒石ばかりの所ですから、白4、6のような手にも黒7とつながっておいて大丈夫です。
左辺はお互いの石が強い所ですから、続けて打っても良いことが無いのです。

相手の手に反射的にお付き合いしてしまうのは、級位者にはありがちなミス・・・と言いたいところですが、実際のところ高段者でもしばしば見られます。
実戦にしろ問題にしろ、テーマ図の最終手が白△である、という前提には釣られてしまいがちです。
碁盤全体を見て、どこか一番価値がある所なのか探す癖を付けておきたいですね。