皆様こんばんは。
本日のたかお日記を読んだこともあり、コンピューター囲碁の影響について書きたくなりました。
タイトルはパクりインスパイアされたものです。

1図(実戦)
本日幽玄の間で中継された、中国甲級リーグの謝爾豪五段(黒)と李喆六段の対局は象徴的でした。
まず、右上白△と、6手目に三々入り!
序盤で周りに何も石が無い状況での三々入りは、Master対棋士の60番碁第23局、第36局で現れました。
いくらMasterの打った手とはいえ、これは人類が真似しても上手く行かないだろうと思っていました。
しかし、世界トップ棋士の柯潔九段がよく試しています。
今月23日からMaster(AlphaGo)と対決するので、その予行演習という面もあるでしょう。
しかも意外と勝っていて、真似する人も現れ出しているようです。
(この手と勝率の関連性は不明です)

2図(実戦)
そして黒も、白2に対して通常の黒Aの押さえではなく、黒3と捻った対応をしました。
また、それに対して白はBのケイマが自然な形に見えますが、わざわざAの穴ぼこを開ける白4!
不思議な折衝ですが、これはお互いに右上を先手で切り上げようとしていると考えられます。
Masterの碁は非常にスピード感がありますが、その影響も受けているかもしれません。

3図(実戦)
右下黒△と打った場面です。
従来は次に白Aと打つことがほとんどでしたが・・・。

4図(実戦)
ここでもMaster流の筋悪定石を採用!
これは第35局で初めて現れた手ですね。
この打ち方は支持するプロ棋士も多く、流行しています。
私は白を持つ気がしませんが・・・。

5図(実戦)
そして、極め付けは左上黒△のノゾキ一本!
この手は以前ご紹介しましたが、多くの棋士にとって非常に違和感の強い手です。
もっとも、局面が大分進んでいるので、その碁よりは悪手になる確率は低くなっているでしょう。
また、この後の戦いで具体的に役に立つ図が見えていたのかもしれません。
なお、この外ノゾキは第47局と第57局で現れます。
当ブログでご紹介する時には、私なりの解釈をお話ししましょう。
本局はMaster流と言って良い打ち方が3か所で現れ、Masterの影響力の大きさが感じられます。
しかし、たかお日記で「新布石」に言及しているのを見て、一つの疑問が浮かびました。
それは、「新布石とMaster流、どちらが現代の棋士の感性に近いのか?」というものです。
新布石時代にはしばしば極端な布石が打たれ、それを見た現代の棋士は、「これは本当に棋士が打っているのか?」と驚きます。
言葉を選ばず言えば、「こんなに甘い打ち方では勝負にならないだろう」ということです。
実際のところ、新布石の思想は発表者の手を離れ、一時期は完全に行き過ぎていたと思います。
しかし、棋士達はその中で確かな価値観を見出し、それを持ち帰って現代碁の基礎が出来上がったのです。
そう考えると、棋士がMasterの打った信じられない手も真似している現状は当然かもしれませんね。
それが棋士に使いこなせる手なのかどうかは、さほど大きな問題ではないと思います。
新たな価値観が見出され、今まで以上に多様な碁が打たれるようになれば、囲碁界の活性化につながるかもしれません。
一方で、AIが進歩し過ぎて、AIが候補に挙げない手が打たれなくなる可能性もあります。
そうなれば棋士の碁を観戦する魅力が損なわれ、囲碁界は衰退するでしょう。
人間がAIとどう関わって行くかは、今後の大きな課題ですね。
本日のたかお日記を読んだこともあり、コンピューター囲碁の影響について書きたくなりました。
タイトルは

1図(実戦)
本日幽玄の間で中継された、中国甲級リーグの謝爾豪五段(黒)と李喆六段の対局は象徴的でした。
まず、右上白△と、6手目に三々入り!

序盤で周りに何も石が無い状況での三々入りは、Master対棋士の60番碁第23局、第36局で現れました。
いくらMasterの打った手とはいえ、これは人類が真似しても上手く行かないだろうと思っていました。
しかし、世界トップ棋士の柯潔九段がよく試しています。
今月23日からMaster(AlphaGo)と対決するので、その予行演習という面もあるでしょう。
しかも意外と勝っていて、真似する人も現れ出しているようです。
(この手と勝率の関連性は不明です)

2図(実戦)
そして黒も、白2に対して通常の黒Aの押さえではなく、黒3と捻った対応をしました。
また、それに対して白はBのケイマが自然な形に見えますが、わざわざAの穴ぼこを開ける白4!
不思議な折衝ですが、これはお互いに右上を先手で切り上げようとしていると考えられます。
Masterの碁は非常にスピード感がありますが、その影響も受けているかもしれません。

3図(実戦)
右下黒△と打った場面です。
従来は次に白Aと打つことがほとんどでしたが・・・。

4図(実戦)
ここでもMaster流の筋悪定石を採用!
これは第35局で初めて現れた手ですね。
この打ち方は支持するプロ棋士も多く、流行しています。
私は白を持つ気がしませんが・・・。


5図(実戦)
そして、極め付けは左上黒△のノゾキ一本!

この手は以前ご紹介しましたが、多くの棋士にとって非常に違和感の強い手です。
もっとも、局面が大分進んでいるので、その碁よりは悪手になる確率は低くなっているでしょう。
また、この後の戦いで具体的に役に立つ図が見えていたのかもしれません。
なお、この外ノゾキは第47局と第57局で現れます。
当ブログでご紹介する時には、私なりの解釈をお話ししましょう。
本局はMaster流と言って良い打ち方が3か所で現れ、Masterの影響力の大きさが感じられます。
しかし、たかお日記で「新布石」に言及しているのを見て、一つの疑問が浮かびました。
それは、「新布石とMaster流、どちらが現代の棋士の感性に近いのか?」というものです。
新布石時代にはしばしば極端な布石が打たれ、それを見た現代の棋士は、「これは本当に棋士が打っているのか?」と驚きます。
言葉を選ばず言えば、「こんなに甘い打ち方では勝負にならないだろう」ということです。
実際のところ、新布石の思想は発表者の手を離れ、一時期は完全に行き過ぎていたと思います。
しかし、棋士達はその中で確かな価値観を見出し、それを持ち帰って現代碁の基礎が出来上がったのです。
そう考えると、棋士がMasterの打った信じられない手も真似している現状は当然かもしれませんね。
それが棋士に使いこなせる手なのかどうかは、さほど大きな問題ではないと思います。
新たな価値観が見出され、今まで以上に多様な碁が打たれるようになれば、囲碁界の活性化につながるかもしれません。
一方で、AIが進歩し過ぎて、AIが候補に挙げない手が打たれなくなる可能性もあります。
そうなれば棋士の碁を観戦する魅力が損なわれ、囲碁界は衰退するでしょう。
人間がAIとどう関わって行くかは、今後の大きな課題ですね。