白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本因坊戦結果&天台山農商銀行杯

2017年05月10日 21時46分12秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は本因坊戦第1局の2日目が行われました
封じ手予想は見事的中!
・・・しましたが、今回は当然ですね(笑)。

対局の結果は本因坊文裕(井山裕太)の黒番中押し勝ちでした。
印象に残ったのはこの一手です。



黒△と必殺のハサミツケ!
この強烈パンチから、一気に優勢を築きました。
流石にこういう決め所は逃さないですね。

一方敗れた本木挑戦者も、思い切って戦っていたようです。
1日目の分かれを白良しと思ったそうですが、そうはっきりと言えるところは頼もしいですね。
第2局も楽しみです。

なお、この対局は幽玄の間にて、金秀俊八段の解説付きで中継されました。
ぜひご覧ください。


また、本日は第6回天台山農商銀行杯世界女子囲碁団体チャンピオンシップも行われていました。
名前が長いですが、要は各国3名の団体戦です。
日本チームのメンバーは謝依旻六段藤沢里菜三段牛栄子初段です。
実績十分の2人に、勢いのある若手を加えた構成です。
今後にもつながりますし、ぜひ頑張って欲しいですね。

初戦は中国チームと対戦し、謝六段は見事勝利を収めましたが、残りの2人は惜しくも敗れて1勝2敗でした。
本日は勝った謝六段の対局をご紹介しましょう。



1図(実戦白34~黒35)
白1のノゾキは、黒Aとつながせてから白Bと猛攻をかける狙いでしょう。
ここで一転、黒2のツケ!
格好良い手が飛び出しました!
この手の狙いは、ここに援軍を増やしておいて、黒Aからの戦いを有利に運ぼうというものです。





2図(変化図)
実戦は白1と禍根を立ちました。
ここで黒2と打ちたくなるかもしれませんが、これはカス石を助ける手です。
白7までは想定図ですが、黒が一方的に攻められる形になっています。





3図(実戦黒37~黒39)
実戦は黒1、3!
強引に白△を切り離しに行きました!
捌くというより、逆に白を攻めようかという勢いですね。
しかし、これは一見無理気味な打ち方で・・・。





4図(実戦白52)
その後白△と急所に迫られた場面では、いかにも黒苦しそう・・・。
というよりピンチに見えます。
しかし、ここから力の凌ぎで、大威張りで生きてしまうのです。
そして、最後は下辺に入った白石を全滅させて勝ちを決めました。

手の見える謝六段が持ち味を発揮した好局でした。
天台山農商銀行杯の対局も幽玄の間で中継されたので、ぜひご覧ください。