皆様こんばんは。
第42期碁聖戦は山下敬吾九段が挑戦者になりましたね。
両者の棋風を考えると、力と力がぶつかり合う熱戦が予想されます。
楽しみですね。
また、明日は第4回会津中央病院女流立葵杯が開幕します。
対局姿は華やかですが、盤上は食うか食われるかの死闘かもしれません(笑)。
幽玄の間でも中継がありますので、ぜひご覧ください。
さて、本日はMaster対棋士第39局・・・ついに我らが井山裕太九段の登場です!
既に柯潔九段や朴廷桓九段をはじめとしたトップ棋士が皆敗れており、後から考えると人類の最後の砦だったかもしれません。
大変な注目を集めた1局でした。
今回は特別に多めの図でご紹介します。

1図(実戦)
Masterの黒番です。
白△に対して、棋士は誰しも黒Aと伸びるでしょう。
ここを白にハネられては終わり、ぐらいの感覚です。

2図(実戦)
ところが、実戦は黒1、3と隅に引き籠り、白4のハネを許しました!
これには井山九段も驚いたでしょうね。

3図(実戦)
しかし、黒1と切れば左右の白が弱くなり、黒有利に戦えると主張しているのですね。
このような打ち方自体は過去に例が無い訳ではなく、周囲にもっと黒石が多いような状況ならばむしろ常識的です。
ですが、この局面での周囲の状況は、さほど黒に都合が良いようには感じられません。

4図(実戦)
その後白△となった場面は、少なくとも直感では白を持ちたくなる棋士がほとんどではないでしょうか?
中央にできた黒の団子石が酷いと感じるからです。
ただ、見た目で判断するとどうしても抜け落ちてしまうところがあります。
その一つは、中央で黒が白3子を抜いていることです。
分かっていても、この段階ではそれを形勢判断に組み込むことは難しいのです。
そして、もっと重要なことは・・・。

5図(実戦)
中央の黒は形が悪くても眼ができやすく、まず死ぬ事の無い強い石であるということです。
それを見越して黒1と、深々と踏み込んで行きました!
一見危険なようですが、他の石と絡み攻めにされるような心配が無く、この石の凌ぎだけに専念できるという訳です。

6図(実戦)
黒1までと進んだ場面です。
お互いに△の石を取り合う分かれになりました。
差し引きで考えると、白地が小さく制限されたことになります。
そして、お互いに弱い石が無くなり、地の争いに移行することになりますが・・・。
どうやら黒有利になっているのです。
ここまで井山九段が上手く打ち回しているように見えたのに、不思議です。

7図(実戦)
ここまでの展開にも驚きましたが、さらなる驚きが待っていました。
この場面で、右上黒△!
これは一体何でしょうか?
右上黒は3手かけて守った石ですが、そこから狭く地を囲おうとしています。
理屈で考えてもおかしいと感じますし、そもそもこの着点は絶対に棋士の目に入りません。
衝撃の一手でした。

8図(実戦)
右上は手をかけたにも関わらず黒12までと利かされ、黒がやられているように見えます。
しかし、形勢は明らかに黒が良いのです。
事実、程無くして白が投了することになります。
となると、前図黒1にも意図を感じざるを得ません。
何しろ、これまで世界のトップ棋士達を全く寄せ付けずに勝っているのです。
形勢は黒が良いので確実に勝つための安全策だった、と考えた棋士が恐らく多数派でしょう。
それどころか、Masterを信用して、最善手だったと言う棋士も・・・。

9図(本来の手)
後で分かったことですが、7図黒1は第9局と同じく入力ミスでした。
それを知ってほっとしましたね(笑)。
Masterが本当に打ちたかった手は本図黒1です。
これはいかにも良さそうな手で、右辺を広げながら白地の広がりを制限しています。
また、黒Aという後続手段があり、そこから黒Bの踏み込みと黒Cの切りが生じます。
しかし、入力ミスがあっても勝負に影響しないということは、その前に大差が付いていたことになります。
井山九段の明らかなミスがはっきりしないにも関わらずです。
あるいは、入力ミスの手はそれほど悪くない手なのかもしれませんが・・・。
これで日中韓のナンバーワンが全て敗れたことになります。
僅か5日間にして、Masterが囲碁界を征服してしまいました。
第42期碁聖戦は山下敬吾九段が挑戦者になりましたね。
両者の棋風を考えると、力と力がぶつかり合う熱戦が予想されます。
楽しみですね。
また、明日は第4回会津中央病院女流立葵杯が開幕します。
対局姿は華やかですが、盤上は食うか食われるかの死闘かもしれません(笑)。
幽玄の間でも中継がありますので、ぜひご覧ください。
さて、本日はMaster対棋士第39局・・・ついに我らが井山裕太九段の登場です!
既に柯潔九段や朴廷桓九段をはじめとしたトップ棋士が皆敗れており、後から考えると人類の最後の砦だったかもしれません。
大変な注目を集めた1局でした。
今回は特別に多めの図でご紹介します。

1図(実戦)
Masterの黒番です。
白△に対して、棋士は誰しも黒Aと伸びるでしょう。
ここを白にハネられては終わり、ぐらいの感覚です。

2図(実戦)
ところが、実戦は黒1、3と隅に引き籠り、白4のハネを許しました!

これには井山九段も驚いたでしょうね。

3図(実戦)
しかし、黒1と切れば左右の白が弱くなり、黒有利に戦えると主張しているのですね。
このような打ち方自体は過去に例が無い訳ではなく、周囲にもっと黒石が多いような状況ならばむしろ常識的です。
ですが、この局面での周囲の状況は、さほど黒に都合が良いようには感じられません。

4図(実戦)
その後白△となった場面は、少なくとも直感では白を持ちたくなる棋士がほとんどではないでしょうか?
中央にできた黒の団子石が酷いと感じるからです。
ただ、見た目で判断するとどうしても抜け落ちてしまうところがあります。
その一つは、中央で黒が白3子を抜いていることです。
分かっていても、この段階ではそれを形勢判断に組み込むことは難しいのです。
そして、もっと重要なことは・・・。

5図(実戦)
中央の黒は形が悪くても眼ができやすく、まず死ぬ事の無い強い石であるということです。
それを見越して黒1と、深々と踏み込んで行きました!
一見危険なようですが、他の石と絡み攻めにされるような心配が無く、この石の凌ぎだけに専念できるという訳です。

6図(実戦)
黒1までと進んだ場面です。
お互いに△の石を取り合う分かれになりました。
差し引きで考えると、白地が小さく制限されたことになります。
そして、お互いに弱い石が無くなり、地の争いに移行することになりますが・・・。
どうやら黒有利になっているのです。
ここまで井山九段が上手く打ち回しているように見えたのに、不思議です。

7図(実戦)
ここまでの展開にも驚きましたが、さらなる驚きが待っていました。
この場面で、右上黒△!

これは一体何でしょうか?
右上黒は3手かけて守った石ですが、そこから狭く地を囲おうとしています。
理屈で考えてもおかしいと感じますし、そもそもこの着点は絶対に棋士の目に入りません。
衝撃の一手でした。

8図(実戦)
右上は手をかけたにも関わらず黒12までと利かされ、黒がやられているように見えます。
しかし、形勢は明らかに黒が良いのです。
事実、程無くして白が投了することになります。
となると、前図黒1にも意図を感じざるを得ません。
何しろ、これまで世界のトップ棋士達を全く寄せ付けずに勝っているのです。
形勢は黒が良いので確実に勝つための安全策だった、と考えた棋士が恐らく多数派でしょう。
それどころか、Masterを信用して、最善手だったと言う棋士も・・・。

9図(本来の手)
後で分かったことですが、7図黒1は第9局と同じく入力ミスでした。

それを知ってほっとしましたね(笑)。
Masterが本当に打ちたかった手は本図黒1です。
これはいかにも良さそうな手で、右辺を広げながら白地の広がりを制限しています。
また、黒Aという後続手段があり、そこから黒Bの踏み込みと黒Cの切りが生じます。
しかし、入力ミスがあっても勝負に影響しないということは、その前に大差が付いていたことになります。
井山九段の明らかなミスがはっきりしないにも関わらずです。
あるいは、入力ミスの手はそれほど悪くない手なのかもしれませんが・・・。
これで日中韓のナンバーワンが全て敗れたことになります。
僅か5日間にして、Masterが囲碁界を征服してしまいました。