明けましておめでとうございます。
昨日の大発会では、一時630円も日経平均株価が下がる事態に陥りました。中国経済の先行き不透明感から中国株が急落したことが世界経済に波及したようです。ニューヨークダウも276ドル安で初日を終えました。
昨年末にアメリカが金利引き上げを実施したため、後進国に投資されていたマネーが逆流し始め、経済危機を助長しています。国内上場企業の代表者予想では、その多くが年内の株価変動幅を17,500円~22,000円、為替を117円~125円あたりに置いているようです。
3月の年度末決算に向け、明るい展望を持つ企業が多く、特に今年夏の参院選に向けて、政府と日銀が更なる経済政策を打ち出してくるだろうという期待もあるのでしょう。
来年春の消費税10%引き上げを控え、今年の駆け込み需要を見込む企業がほとんどです。
改選選挙法により次回の選挙では18歳の者にも選挙権が与えられることになりました。問題は、選挙後にどうなるか?です。
自民党は、選挙が終わるまでは強力な景気底上げ策を実施し、国民の信任を得ようとするでしょう。自公で3分の2以上の議席を確保できれば、目的達成です。
次は憲法改正に着手するものと思われます。憲法改正は安倍首相の長年に渡る悲願ですので、特定秘密保護法、安全保障関連法、TPPに次ぐ安倍政権レガシーの集大成として取り組んでいくはずです。
そのためにも選挙までは国民に経済的恩恵を与える必要があります。今の与党は、『景気は良くなっている』という雰囲気づくりを生み出す天才です。
それを助長しているのが、暗い影をつくっている野党陣営の存在です。影が暗ければ暗いほど、主役が引き立って見えてきます。
昨年末に2014年の国内一人当たりの名目国内総生産(GDP)が発表され、日本は1970年以降、最も低い20位に沈みました。前年比6%減少の36,200ドルです。GDPとは、一定期間の間に国内で生み出された付加価値の合計金額のことです。
例えば農家がもち米1キロを1,000円で餅屋に販売した場合、1,000円の付加価値が計上されます。その餅米でもちをついて、餅屋が店頭販売した売上げ合計が5,000円だった場合、餅屋は原価1,000円を控除した4,000円の付加価値を生んだことになります。
このように国民一人が生み出した1年間の付加価値の合計額が36,200ドル。約430万円です。労働人口の9割以上が企業に雇用される雇用者ですから、この付加価値は一般的に企業に吸い上げられ、企業から給与として労働者に再分配されます。
経済協力開発機構(OECD)加盟国は34カ国。その中で上から20番目というのは、もう、下から数えたほうが早いくらい日本の国民一人が「財を生み出す力」というのは弱くなっているとうことです。
その最たる理由は、「雇用形態」にあると思います。非正規雇用者数が労働力人口の4割を超えており、2015年には労働組合に加入するパート労働者が遂に100万人を超えました。全組合員に占めるパート労働者割合は1割を超え、パート労働者以外の非正規雇用者が占める割合も急増しています。
正規雇用者と非正規雇用者を比較する際、賃金や処遇の事ばかり取り上げられますが、一番大きな問題は、「将来に対する不安」なのです。
東芝のような一流企業でも不正会計問題で今年1万人以上のリストラを実行します。経営再建中のシャープも昨年夏には45~59歳という一番再就職が厳しい世代社員3,234人の首を切りました。
企業経営が傾いた時に真っ先にリストラ対象とされるのは「非正規雇用者」です。非正規雇用者は企業の「調整弁」的役割を担わされているのです。
「将来への不安」を抱えた者が、無駄な消費に走るわけがありません!
昨年末にきて個人消費の回復が鈍くなり9月~11月期の一世帯あたりの消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.9%減となり、連続3ヵ月のマイナスを記録しました。東芝のリストラ問題が浮上した時期と合致します。
このようなニュースが世間を賑わすと、個人消費は節約志向となります。暖冬の影響で冬物衣料品や電化製品の売上げが振るわないだけと主張するエコノミストもいますが、日本だけが異常気象に振り回されているわけではありません。
国民の将来に対する不安心理が、一人あたり名目GDPランキング20位という不名誉な結果につながっていると思います。
新アベノミクスの3本の矢(GDP600兆円・出生率1.8、介護離職者ゼロ)の具体策は全く見えてきませんが、これらの矢を放つ共通の要素が、「雇用問題」であることは明白です。
「雇用改革」こそが急務です。