政府はついに36(サブロク)協定の見直しに乗り出しました。
36協定は、労働基準法第36条規定に基づく労使間協定です。
多くの人が当たり前のように日々、会社で残業していますが、
残業ができる企業は制限されています。
労働基準法第36条に基づく労使間協定を締結し、その協定書面
を所轄労働基準監督署へ届け出た企業のみが、残業することを
許されるのです。
(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で
組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者
の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の
過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁
に届け出た場合においては、労働時間や休日に関する規定に
かかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、
又は休日に労働させることができる。
当該協定締結書面を所轄労働基準監督署に届け出せずに、残業
を労働者に強要している企業は、ブラック企業です。
本来、1か月に可能な残業時間は45時間、3か月120時間、
1年360時間と決められていますが、「特別の事情について労使
の合意」があれば、上限を守る必要はありません。
「特別な事情」を国が具体的に定めていないため、多くの企業
が勝手に「特別な事情」を解釈し、上限制限なく残業を行って
いる現状があります。
政府はここに厳しくメスを入れていこうとしています。
「残業規制強化」です。
日本は欧米に比べ年間の労働時間が多く、パートタイム労働者
などの非正規社員を除くと年間約2,000時間近い労働時間と
なっています。
全雇用形態平均では約1,750時間で、世界で第16位。
ちなみに1位は「メキシコ」の2,226時間、2位は「韓国」
の2,163時間、3位は「ギリシャ」の2,034時間、4位は
「チリ」の2,029間です。
ご覧のとおり、経済大国はどこも上位に入っていません。
そして、日本の約1,750時間は、申告された時間であり、
日本の悪習である「サービス残業時間」は一切、加算されてい
ません。
サービス残業を入れれば、2,000時間を超えている可能性は
高いといえます。
経済開発協力機構(OECD)に加盟している先進国の中で
日本の時間あたりの生産性は最下位です。
労働が利益に結びついていない先進国No1なのです。
非効率な長時間労働が、男性の家庭参加を阻み、待機児童問題
を引き起したり、少子化問題に影響を与えています。
安倍首相は日本の「モーレツ社員」を完全否定しています。
過去の高度経済成長期における大量消費時代には、モーレツ
社員が重宝がられたことでしょう。
しかし、現代の日本は違います。
「長時間労働者=頑張る人=会社に貢献している人」
・・・という図式は描けない時代です。
「長時間労働者=無能力者」
・・・というのが、他の先進諸国の企業トップが描く図式なの
です。
決められた時間の中で効率良く仕事を終わらせ、しっかり
利益を出せる人が、本当の意味で会社にとって貴重な財産なの
です。