因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋久びさ俳句日記

2014-07-31 | 俳句

 新しい月の観劇予定と句会をいっしょに記事にしておりましたが、このたびは因幡屋の俳句日記単独でお届けいたします。
 これまでの句会関連の記事はこちら→1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11
 8月の句会の兼題は、金星句会が「初秋」と「カンナ」、演劇人句会が「終戦記念日」と「相撲」。 立秋の8月7日ごろから暦の上では秋でありますから、「もう夏の季語の句は出さないように」とのこと。これは初学者にはむずかしいことなのです。気持ちの切り替えができない。こんなに暑いのですから(苦笑)。いまのうちに「浴衣」、「氷水」、「お化け屋敷」などで作っておきますか。
 今年の夏は3年ぶりに故郷でお盆を迎えますので、「帰省」でも詠んでみましょう・・・というより、もう締切まであまり日にちありませんよ。

 先日の演劇人句会の兼題のひとつは「夏芝居」でありました。夏の芝居といえば、因幡屋にはすぐに若手がおおぜい出演する八月納涼歌舞伎の熱気が思い浮かびます。歌舞伎座公演がいつもの昼夜の二部制から、時間も料金も少し緩んだ三部制になり、人間国宝級のベテランがひとやすみするかわりに、若手役者が大役に挑みます。 怪談ものが多いのは、背筋の寒くなるような話で観客を涼しくするというより、若手のがんばりで暑さをぶっとばせ!の勢いがあって、大好きです。
  しかし季語の「夏芝居」は、昔のことでエアコンもなく、暑さために客足は落ちる、本興行は休みで売れっ子は出演せず、未熟な若手やパッとしない役者が打つ 芝居・・・といった何と言いますか「イケてないない感じ」がベースにあります。作句のときは自分の感覚や意識ではなく、まずは本来の意味を踏まえることが 大切と教わりました。

 金星句会では、このたび世話役の方がご著書を上梓され、それをお祝いしての「贈答句」を詠む企画がありました。通常の句会では兼題に添って作句するのですが、贈答句の場合はお祝いの内容、贈る相手のことを句の中心にします。
 これがとても楽しかった。勢ぞろいしたお祝い句をみると、自分の句はさておき、皆さん素敵な句ばかり。「いつもの句会より出来がいいのでは?」という声が出るほどでした。

 これは句を贈る(読んでもらう)相手の存在、お祝いの気持ちを届けるという目的、このりょうほうが確実にあるためではないでしょうか?金星句会指南役の方が繰りかえしおっしゃるのは、「俳句は読む人にわかってもらわないといけない」ことでして、自分だけの体験、気持ちだけではとうてい句会で選句していただけない。読んでくださる人の存在あっての俳句であり、句会であるわけです。

 6月の鍛練合宿句会ではじめて「一字詠み込み」俳句というのを体験しました。本郷の「鳳明館」に宿をとりましたので「明」の一字を、また坂の多い本郷周辺にちなんで「坂」の一字を俳句のなかに入れるわけです。俳句ならではの遊び心ですが、これがなかなか大変。つまり「明」も「坂」もそれじたいは季語ではありませんから、一字を入れつつ季語も入れなければ俳句にならないと。
 前述の贈答句でも、相手のお名前の一字詠み込みをいたしました。たとえば「松重豊」なら(笑、いや笑ってことないか)、句のなかに「松」 「重」、「豊」のいずれか一 字を入れて、「松の木の~」、「~重なる何とかの」、「何とか何とかの豊かなる」という句をつくるのです。たとえの句が下手ですみません。お上手な方ならこうしたときもささっと見事にお詠みになるのですが・・・。
 どうしても詠み込みの一字を活かしたいと思いますから季語がなおざりになったり、無理が生じたりします。
 与えられる兼題にひたすら向き合うのはもちろん大切ですが、ときにはみずからに課題を与えるのもいいかも。まず夏休みの課題は家族の名前から一字詠み込みの四句です。句会のお仲間を控えめにお誘いしつつ、猛暑の日々に「初秋」や「新涼」の句をがんばってみます。

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