*長谷基弘戯曲・演出 公式サイトはこちら 本公演はこまばアゴラ劇場で 21~30日まで
今年3月公演の『トレインホッパーズ』(1,2)に続き、今回も稽古場を拝見する機会が与えられ、板橋区のサブテレニアンに伺った。当初は通し稽古の予定だったが、後半の場面の検討(「返し」というのですか)から始まって、あとはアタマから稽古場の時間ぎりぎりできるところまでを見せていただいた。
稽古は出演者が横一列に並んでの衣装合わせに始まった。上着の色から帽子の有る無しに至るまで、本人に(役柄に)似合うかどうかだけではなく、出演者ぜんたいのバランスや舞台のイメージ、実際の照明のもとでどう映るかを考え抜く。壁にはシーンごとの小道具一覧表が張り出してあり、メンバーが自分で探したり人に借りたり作ったり、まさにひとつひとつ手作りの様子が感じられる。
演出家が演技を止めては、立ち位置や動きの細かいチェックを繰り返す。人物がほんの少し後ろに下がったり、顔の向きを変えたりするだけで、その場面の空気が変っていく。後半場面から始まったので物語ぜんたいがわからないながらも、みているうちにぐんぐん引き込まれる。仲間の死の謎を解こうとしているグループがあり、地方の因習や家族の秘密や確執が絡んだ話らしい。時空間がめまぐるしく移動しながらの展開は、テレビでも映画でもない、演劇だからこそできる手法であろう。休憩をはさんで今度はアタマから。音楽が流れ、人物が無言で静かに登場する。張りつめた空気が稽古場を満たす。
演技に見入っているとき、自分は演出家の存在を忘れているのだが、演出家が演技を止めてダメだしの内容を聞くと「あのあいだ、これだけのことをチェックして、どう変えるかを決めていたのですか!」とびっくりする。次は演技を見たいのを我慢して、演出家に注目してみようと思うのだが、いかにも「観察しています」みたいでちょっと感じワルく思えるし、やはり自然に俳優さんたちに惹きつけられて、それは叶わなかった。自由で和気あいあいの雰囲気ではあるが、決して上下関係というわけではなく、メンバーが演出家を信頼し、ひとつにまとまっていい舞台を作ろうとしていることが伝わってくる。あまたある劇団の中からひとつを選ぶことは、大変な決断であると思う。そこの舞台、演出家の何かに感ずるところや信じるところがあり、自分の資質、将来を委ねて託しているということだ。演出家曰く、「産みの苦しみ」「七転八倒」の様子は、まさに「おお、稽古の現場だ」と実感できるものであった。貴重な体験が与えられたことに感謝。
今年3月公演の『トレインホッパーズ』(1,2)に続き、今回も稽古場を拝見する機会が与えられ、板橋区のサブテレニアンに伺った。当初は通し稽古の予定だったが、後半の場面の検討(「返し」というのですか)から始まって、あとはアタマから稽古場の時間ぎりぎりできるところまでを見せていただいた。
稽古は出演者が横一列に並んでの衣装合わせに始まった。上着の色から帽子の有る無しに至るまで、本人に(役柄に)似合うかどうかだけではなく、出演者ぜんたいのバランスや舞台のイメージ、実際の照明のもとでどう映るかを考え抜く。壁にはシーンごとの小道具一覧表が張り出してあり、メンバーが自分で探したり人に借りたり作ったり、まさにひとつひとつ手作りの様子が感じられる。
演出家が演技を止めては、立ち位置や動きの細かいチェックを繰り返す。人物がほんの少し後ろに下がったり、顔の向きを変えたりするだけで、その場面の空気が変っていく。後半場面から始まったので物語ぜんたいがわからないながらも、みているうちにぐんぐん引き込まれる。仲間の死の謎を解こうとしているグループがあり、地方の因習や家族の秘密や確執が絡んだ話らしい。時空間がめまぐるしく移動しながらの展開は、テレビでも映画でもない、演劇だからこそできる手法であろう。休憩をはさんで今度はアタマから。音楽が流れ、人物が無言で静かに登場する。張りつめた空気が稽古場を満たす。
演技に見入っているとき、自分は演出家の存在を忘れているのだが、演出家が演技を止めてダメだしの内容を聞くと「あのあいだ、これだけのことをチェックして、どう変えるかを決めていたのですか!」とびっくりする。次は演技を見たいのを我慢して、演出家に注目してみようと思うのだが、いかにも「観察しています」みたいでちょっと感じワルく思えるし、やはり自然に俳優さんたちに惹きつけられて、それは叶わなかった。自由で和気あいあいの雰囲気ではあるが、決して上下関係というわけではなく、メンバーが演出家を信頼し、ひとつにまとまっていい舞台を作ろうとしていることが伝わってくる。あまたある劇団の中からひとつを選ぶことは、大変な決断であると思う。そこの舞台、演出家の何かに感ずるところや信じるところがあり、自分の資質、将来を委ねて託しているということだ。演出家曰く、「産みの苦しみ」「七転八倒」の様子は、まさに「おお、稽古の現場だ」と実感できるものであった。貴重な体験が与えられたことに感謝。
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