2021年12月10日に「令和4年度 税制改正大綱」によって、2021年末で終了予定だった子や孫への住宅購入のための資金の非課税贈与制度が、2023年末まで延長されることが示されたとか。
また、非課税となる金額が最大1,500万円から1,000万円へと縮小されるのだとか。
非課税限度枠は、最大3千万円の時もあったとか。
これ、財務省の考え方なのか、経産省の考え方なのか、経済にとっては、「最悪の一手」であった。「お金を持っているお年寄り世代が、お金を使わないから、お金を使わせようとして考えた手ではないかと」思っている。「最悪の一手」である。
実体経済が全然わかっていない、官僚による「机上の空論」だと私は思う。
私の周りの若者夫婦の例で言えば、10年以上前から、平均で「3500万円」くらいのマイホーム又は分譲マンションを、「35年ローン」で「契約」する。(車と一緒で、支払い満了までは、自分の物とは言えないので、契約と記述)
頭金は500万円程度。3千万円は、35年ローン。夫婦の年収は、600万~くらいでも平気でローンを組む。
「無理だからやめとけ。安い郊外の分譲マンションか、中古物件にしろ」と言っても、「欲しいものが目の前にある若者は」、一切聞く耳持たない。
「大丈夫ですよ」と言う。
私は、以前から、銀行2行、大手住宅メーカー、信金、不動産屋から、「住宅ローンの自己破産率が2割」と言う現実を聞いて知っていた。今からは、もっと増えるかもしれない。
しかし、そんな現実を教えても、若者たちは「大丈夫」だと言う。
そして、住宅購入の際、生前贈与非課税限度枠が採用された頃、
「3500万の新築物件」購入を検討していた若者は、
両家の親たちから合計1500万の贈与を受けたらしく、
私が「これで、3500万−1500万−頭金500万で、1500万のローンになったな。良かったな。それなら、なんとかなる」と言うと、
「いえ、あれから、色々オプションつけて、結局5千万の家にしました」と。
結果、もともとのローン金額と変わらない。
これが、現実である。
一方、50前くらいの人は、「中古の家を購入し、リフォームして現金で支払いました」と言う。これも現実である。ただし、「数少ない堅実路線の方である」。
財務省か経産省かは知らないが、「高額の買い物をさせれば税金がたくさん入る」は、大間違いである。
なぜ、花形産業であった、家電メーカーが、軒並み利益が減っていったのかは・・・
「高額な住宅が売れるように舵取りするから」である。銀行も同じ路線。銀行保証協会を通して金を貸す場合が多いから、顧客が自己破産しても、自分の腹は傷まない。
「高額な住宅が売れる (売れると言っても、ローン満了までは、契約しているに過ぎない) 」 → 「車に回す金が無い」 → 「結果、リーマン前からまだ続いている、なんとかローンだのリースに手を出して、高額な車を契約する (これも、なんとかローンだの、リースだの、通常ローンだのと言っても、支払い満了までは、契約しているに過ぎない。車屋から聞いた話では、「任意保険未加入者が3割いる」とか) → 「家電に回す金が無い」から、家電が売れなくなる。
経済は、「身の丈に応じた買い物をする」のが、「健全な経済」である。
実際に、35年ローン満了できそうにない人は、賃貸マンションに住めば、マンションも空室だらけにならないし、それらオーナーからの税収も増える。住宅ローンで四苦八苦しなければ、車も通常に「売れる」。まだ余力があるから、家電も売れる。
これが、健全な経済である。
ここ10年以上推し進めていた経済対策は、完全に「真逆の道」である。
為政者 (この場合、官僚も含む) は、庶民の実態をもっと勉強すべきであるが、時すでに遅しの感は否めない。
政治家の前では、支持者しか集まらないので、「庶民の真の姿は絶対に見えない」。
「人生は、自己責任である」。
これは、どういう時代でも、絶対に変わらない真理である。
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