いやはや、がんになっても、タバコって吸い続けるものなのですね。ニコチン依存症は、本当に恐ろしい病気です。
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がん発症後でも決して遅くない「禁煙」 術後回復や合併症にもマイナスの影響
産経新聞 2015.7.14 10:50
がんの予防に禁煙が有効なのは周知の事実。一方、がんになってからの禁煙もとても大切なのに医療面の支援は遅れていた。「まさか吸っていないだろう」という医療者の思い込みに加え、患者側の罪悪感や「いまさら…」という意識も障害になる。がん患者の生存期間が延びているのを受け「禁煙は決して遅くないことをもっと啓発して」との声も強まっている。
◆57%が喫煙継続
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)は平成20年にがん患者専門の禁煙外来を開いた。
「受診者は当初、年に数人ほど。増えてきたのは22年ごろから」と担当する精神腫瘍科の小川朝生科長は話す。現在は週に5日外来がある。
がんと診断された患者が喫煙者だった場合、医師は通常、禁煙を指示する。だが「実際にはやめられない人がかなりいる」と小川さん。喫煙習慣の本質は、意思の力だけでは断つのが難しいニコチン依存症だからだ。
東病院で禁煙外来を担当していた慶応大精神神経科の藤沢大介講師らは24年、インターネットで、過去10年にがんと診断された成人約630人の喫煙率を調査した。診断時に喫煙していた168人中、96人(57・1%)が調査時も吸い続けていると答えた。このうち67人(69・8%)に禁煙ないし本数を減らす意思があったが、実際に禁煙のための助言や指導を受ける機会があったのは39人(40・6%)だけ。「医療者は貴重な機会を逃していたことになる」と藤沢さんは指摘する。
◆治療にもマイナス
がん患者が喫煙を続ける悪影響は数々ある。手術後の回復が遅くなり、合併症の危険が増す。例えば肺がん患者では肺炎が増加、放射線治療の際の粘膜炎も増え、やむなく治療を中断することも。がん再発や別のがんになるリスクも上昇する。
そうした問題が知られるにつれ、東病院では各診療科から禁煙外来への患者紹介が増え、今年3月時点で128人が治療を開始、73人(57・0%)が禁煙を果たした。
喫煙年数やニコチン依存の程度などが基準を満たせば、約3カ月にわたる計5回の禁煙治療に健康保険が適用される。
◆行動支援が有効
治療は、ニコチンパッチや飲み薬などの禁煙補助薬で依存症のつらい症状を抑えるのが重要な柱。さらに東病院の禁煙外来は臨床心理士がチームに加わり、どんな時に吸いたくなるかを本人と一緒に振り返り、対処法を考えるカウンセリングを組み合わせている。こうした「行動支援」によって、禁煙成功率が高まることが海外の研究で示されている。
会社の検診で肺がんが見つかった60代のAさんは、毎日40本吸うヘビースモーカー。主治医の指示で禁煙外来に来たが「病気が治るわけでもないし」と禁煙には消極的だった。が、心理士の上田淳子さんから、合併症の危険など具体的な情報を聞き、達成しやすい短めの禁煙期間を最初の目標にするなどした結果、姿勢が前向きに変化していった。
「職場でたばこを勧められたらこう断ろう」といった練習も重ねたAさんは、過去の自分の行動を振り返る余裕もでき、無事禁煙を達成した。
全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「たばこをやめられないがん患者には罪悪感もあり、自分からは助けを求めにくい。医療者にも、喫煙がニコチン依存症であるという認識がまだ不足しており、禁煙への必要な支援が遅れている」と指摘。その上で「患者に対する禁煙の重要性の啓発は不十分だ。がん治療への直接の悪影響があることなどをもっと知らせてほしい」と話している。
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がんになった人の喫煙率が26.7%。これはいま現在の日本人全体の喫煙率に近い数字です。それから見ると、がん患者でタバコを吸い続ける人の割合が57.1%もいるというのは、異常な高率です。スモーカーの喫煙に対する執念たるや、ストーカー並みだといえます。
がんになっても、いまの進んだ医療では、きちんとした治療を行えば、その後の生存率も高まります。5年以内に必ず死ぬとやけになる必要はないわけです。そのためにも、すぐにタバコと縁を切って、病後の回復を促進させるべきです。記事がいうとおり、啓蒙活動が必要です。
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