ああ、観に行きたい!
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文楽太夫と人形遣いが語る魅力 「忠臣蔵」五~七段目
朝日新聞 2019年7月8日17時00分
国立文楽劇場(大阪市中央区)で20日、夏休み文楽特別公演が始まる。第2部は「仮名手本(かなでほん)忠臣蔵」。4月公演の大序~四段目に続き、恋ゆえに主君の大事に遅れた早野勘平を軸に家族の悲劇を描く五、六段目、大星由良助(ゆらのすけ)の真意が明らかになる七段目を上演する。六段目の山場「早野勘平腹切の段」を語る豊竹呂勢太夫(ろせたゆう)、七段目の由良助を初めて遣(つか)うという桐竹勘十郎に思いを聞いた。(増田愛子)
恋人おかると結婚し、汚名をそそぐ機会をうかがいつつ、その実家で暮らす勘平。元同僚から、敵討ちと資金集めの計画を暗に知らされた直後、イノシシと誤って撃った男の懐中にあった50両を奪う(五段目)。「敵討ちに加わりたい一心から全部起きたことですよね」と呂勢太夫。
六段目の冒頭、帰宅した勘平は、おかるが夫のためにと身売りして工面した金の前金50両を持ち帰るはずの義父が、いまだに戻らないことを知る。不安な中、義父の遺体が運び込まれるシーンから始まる山場では、敵討ちへの参加を拒絶され、切腹する勘平を「悪いことをしたから『当然』ではなく、『可哀想』と思って頂けるように」語ることが大事と話す。「間違いが積み重なり、にっちもさっちもいかなくなること、あるじゃないですか」
最後、義父殺しの疑いが晴れ、敵討ちの連判状への血判を許される勘平。嘆く義母が元同僚に託すのが、50両の入っていた財布だ。「本人は死んでも、気持ちは敵討ちに加わる。11月に上演する十一段目にもつながる大事なポイントです」
七段目の由良助を「いつか遣ってみたかった」と勘十郎。先代・吉田玉男の遣う「酒に酔うて崩れているように見えて、一本シュッと侍の芯が通ったような」由良助の姿が印象深いという。
塩谷家の元家老・由良助は、敵方もあきれるほど、祇園の茶屋で遊びほうけている。遊女となったおかるが彼に届いた密書をのぞき見たことで、物語は動く。
用いる首(かしら)は「菅原(すがわら)伝授(でんじゅ)手習鑑(てならいかがみ)」の菅丞相(しょうじょう)などと同じ「孔明」。表情に、賢明さと意志の強さがにじむ。「あの首を持つと、動けなくなる。そういう首の性根なんですね。難しい」「僕は、動かして表現するタイプの人形遣い。動きを抑えることは、これからの課題やと思っています」
今年は「忠臣蔵」のほか、5月には東京で「妹背山(いもせやま)婦女(おんな)庭訓(ていきん)」を通し上演した。「通しは、文楽の財産。本当に総力でやらないと出来ませんが、いつの時代もちゃんと通せるよう、レベルと人数を保たなければ」と表情を引き締める。
初舞台から約50年。「向いてへんのと違うかな」と悩んだこともあるが、続けてきたのは「やっぱり好きやったんでしょうね」と笑う。「若い頃も好きでしたが、今のほうが好きです」
夏休み文楽特別公演 8月5日まで。第1部(午前11時開演)は「日高川入相(いりあい)花王(ざくら) 渡し場の段」、解説と「かみなり太鼓」。第2部(午後2時開演)は「仮名手本忠臣蔵」の五~七段目。第3部(午後6時半開演)は「国言(くにことば)詢(くどき)音頭(おんど) 大川の段・五人伐(ぎり)の段」。国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)。
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大阪に飛んでいきたい演目です。さぞすばらしい五・六・七段目だとおもうのです。特に、七段目は大好き。勘十郎の由良助は、きっと最高のはずです。ご覧になる人に、素直に嫉妬してしまいます。
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