喫煙後1時間は訪問できない会社、メニコン

メニコン、すばらしいではないですか。

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来社するなら１時間前から禁煙　定款も変えた社長の悔恨
朝日新聞 2019年7月8日15時53分

　社員の禁煙を手助けしたり、勤務中に禁煙を求めたりする会社は珍しくない。でも、名古屋には取引先やお客様にも「来社１時間前からの禁煙」を求める東証１部上場のメーカーがある。会社の定款も変え、禁煙を事業活動に位置づけた。その会社は――。

　「ご協力会社様へのお願い」。コンタクトレンズ大手メニコン（名古屋市中区）の本社受付に、大書されたポスターが貼られている。来社１時間前からの禁煙を求める文面だ。２０１６年３月に始めた要請を一歩進め、昨年末に「見える化」した。

　７月３日夕、本社に出入りした社外の７人に話を聞いた。苦笑したのは喫煙者２人。システム会社の男性（２４）は「最初は戸惑いました」。１日２０本弱を吸うが、この日は朝から打ち合わせで「１本も吸っていない」。同僚の男性（２６）は「医療機器を扱うメーカーなので趣旨はわかる。会社に帰って吸います」。一方、たばこを吸わない５人は好意的だった。毎日訪れる運送会社の男性（４８）は「嫌な臭いを気にしなくてよくなる」。倉庫会社の男性（４９）は「全く抵抗がない。取り組みは自社の朝礼でも紹介した」。

定款に「禁煙運動推進」掲げる

　厚生労働省によると、たばこの煙には「ジメチルニトロソアミン」「ベンゾピレン」といった発がん物質がある。喫煙後の呼気にも有害物質が含まれる。来社１時間前から禁煙を求めるのは、そうした悪影響から社員と取引先の健康を守るためだ。眼科医でもある田中英成社長（５９）によると、煙害は目の健康に悪影響を及ぼし、白内障や加齢黄斑変性症の原因にもなる。

　メニコンは１９５１年、日本で初めて角膜コンタクトレンズの開発に成功したことで知られる。１６年６月に定款を変え、「禁煙運動推進」を事業に加えた。定款は会社を運営する根本的な規則であり、煙害撲滅の取り組みはれっきとした企業活動だ。会社法に詳しい一橋大学の高橋真弓准教授は「事業を通じて、禁煙という社会的な価値を生み出そうとしている。変更は目に見える形で投資家に示すためだろう。大企業の定款に禁煙運動という用語は珍しいのではないか」と話す。

　顧客や株主といった利害関係者（ステークホルダー）には喫煙者もいる。それでも禁煙を徹底するのは、ヘビースモーカーだった田中さんの悔恨の情があるからだ。創業家の２代目社長。若いころから１日平均２０本を吸ってきたが、１０年ほど前に禁煙した。煙や臭いが周囲にどれほど迷惑をかけていたかを知った。「灰皿があれば吸ってもよいというのは吸う人の論理。時代は変わった。たばこをやめることが健康につながることを訴えたい」

　４月には禁煙推進グッズ「禁煙しても困（こま）りゃせん！」を本社隣の展示施設で売り出した。はがき大の厚紙に「おいしかった　でも　けむかった」の文字が書かれた直径３・８ミリの円板を印刷。ミシン目で切り取り、飲食店の灰皿に置く。客の「残念な気持ち」を店に残し、禁煙を促すねらいだ。６枚入りで税込み５００円。牛乳瓶のふたを模したデザインには「たばこの煙にふたをしたい」との思いがある。真ん中の穴にようじを刺すと「こま」になる遊び心を加え、発売３カ月で約３００セットが売れた。第２弾も検討する。（山本知弘）

来社１時間前からの禁煙、受け止めは？

※３日午後４時～５時、メニコン本社を訪れた社外の人に取材

【喫煙者】

・「最初は戸惑った。普段は昼休みや仕事の合間に１日２０本弱を吸う。今日は午前１０時から打ち合わせがあり、夕方まで１本も吸っていない」（システム会社の２４歳男性）

・「メニコンは医療機器を扱うメーカーなので趣旨はわかる。我慢していたわけではないが、会社に戻ってから吸いたい」（システム会社の２６歳男性）

【非喫煙者】

・「健康に良い取り組み。よそでは聞いたことがなく、同僚の間でも話題になっている」（警備会社の５９歳男性）

・「喫煙する同僚に『我慢してね』という話が上司からあった。臭いが気になるので、吸わない人が増えてくれたら」（システム会社の４０歳女性）

・「たばこを理由に打ち合わせを抜ける人がいなくなった。戻ってくるのを待たなくてよいので、仕事がしやすい」（システム会社の３６歳女性）

・「全く抵抗がない。取り組みは自社の朝礼でも紹介した。たばこの臭いが気になるので、禁煙が広がってほしい」（倉庫会社の４９歳男性）

・「たばこを吸わない自分としては、ありがたい。別の会社に行くとエレベーターでたばこの嫌な臭いが服に付くことがある。後から乗り込んで来た人に冷たい目で見られ、つらい思いをすることもあった」（運送会社の４８歳男性）

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 愛煙家にタバコを吸うなとはいいません。ただし、迷惑をかけられるのは困ります。そのことを会社全体で訴えているメニコンは、立派です。

喫煙後1時間は空けて、大切な会合に行く。こういう愛煙家が増えれば、愛煙家への尊敬も高まることでしょう。