2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策を巡り、煙が出ない「加熱式たばこ」を屋内禁煙の対象とするかどうかで国と東京都の対応が異なる可能性が出てきた。厚生労働省は当面は紙巻きたばこと同様に扱う構えだが、都は一般からの意見公募で反対が多かったことを踏まえ「決まっていない」と規制に慎重姿勢を示す。法律と都条例の内容が異なれば、愛煙家や飲食店は混乱しそうだ。【山田泰蔵、堀井恵里子】

 蒸気を吸う加熱式たばこは、たばこ事業法で紙巻きと同じ「喫煙用の製造たばこ」に分類される。そのため厚労省が3月に公表した健康増進法改正の原案は、両者を規制対象とした。

 政令で除外できる仕組みも検討するが、ニコチンなどの有害物質が蒸気に含まれるため、科学的解明が進むまでは規制が必要との姿勢だ。来年の通常国会に提出予定の改正法案も、同じ扱いになる可能性が高い。

 独自の条例を目指す東京都も、9月に示した原案では加熱式を対象に含むと明示していた。だが原案への意見公募では、約1万7000件のうち除外を求める声が約2000件に上った。加熱式の扱いは「外すか外さないか未定」(担当者)とトーンダウンしている。

 加熱式たばこの受動喫煙被害は考慮されるべきなのか。国内シェアトップの「IQOS(アイコス)」を販売するフィリップモリスジャパンは「有害物質を平均約90%低減している」とアピール。日本たばこ産業(JT)も「蒸気は室内環境に影響を及ぼさず、リスクは紙巻きと同様に議論されるべきではない」との考えを示す。

 これに対し、日本呼吸器学会は10月、「健康に悪影響がある可能性があり、推奨しない」との見解を公表した。大和浩・産業医科大教授は「無害の証明がない以上、疑わしきは規制するのが公衆衛生の基本」と話す。

 半年前に紙巻きから切り替えた男性会社員(38)は「健康や周囲にどれくらい影響があるのか知りたい」。子育て中のパート女性(47)は「吸う人は周りに害がないと思っているようだが、親としては不安が大きい」と訴える。

 飲食店は対応がまちまちだ。業界団体の全国生活衛生同業組合中央会は、影響が科学的に証明されない段階では加熱式を規制しないよう求めており、事務局は「店が扱いを判断できるようにしてほしい」と訴える。

 一方、13年に加熱式も含め全席禁煙を導入したファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の運営会社の広報担当は、「加熱式も、周りの人にはたばこを吸っているように見える」と指摘する。

 【ことば】加熱式たばこ

 葉たばこを燃やさずに電気で熱し、発生する蒸気を吸うタイプのたばこ。昨年4月にアイコスが全国販売され、JTなども続いた。JTの推計では、現在約18%のたばこ全体に占めるシェアが2020年には30%を超える。政府・与党は市場拡大を受け、紙巻きより低い税率を来年度から段階的に引き上げる。

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加熱式タバコが、紙巻きたばこよりましとはいえ、受動喫煙被害を与えることはほぼ間違いないこと。だからこそ、アメリカでは認可されていないわけです。当然、他の禁煙先進国では、どの電子タバコも公共屋内では吸えません。

それなのに、東京都は電子タバコ禁止といわない。情けないったら、ありゃしません。

まあ、結局、あらゆるタバコの喫煙を許さない屋内にしか入らないという自衛するしかないのでしょう。本当に悲しい街です、東京。

それにしても、こんな状態で、東京オリンピックは開けるのでしょうか。世界から笑われるだけのことのようにおもうのですが。