残念。でも、趙治勲名誉名人、2日連続の強行スケジュールなのに、よく頑張られました。
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囲碁の人工知能(AI)「DeepZenGo」が趙治勲名誉名人(60)に挑む「第2回囲碁電王戦」(ドワンゴ主催)の第2局が20日、東京都内のホテルで行われ、DeepZenGoが179手までで先番中押し勝ちし、1勝1敗のタイとした。
日本の囲碁AIがプロ棋士にハンデなしの対局で勝つのは初めて。趙名誉名人は「人間では気がつかない手を打たれた。次はもう少しましな碁を打ちたい」と語った。
対局は、白番の趙名誉名人が実利を稼ぎ、DeepZenGoは手厚く打ち進める展開に。中盤に入り、趙名誉名人が黒模様に踏み込むと、DeepZenGoは白に猛攻をかけ、最後は趙名誉名人の大石が死んで決着がついた。
対局終了後、DeepZenGo開発メンバーの加藤英樹さん(62)は「感無量としか言いようがない。第3局でもいい勝負ができれば」と話した。最終局となる第3局は23日に行われる。
和製囲碁AI、トッププロに初勝利 電王戦、勝敗タイに
朝日新聞 2016年11月20日16時32分
囲碁の趙治勲(ちょうちくん)名誉名人(60)の先勝で迎えたプロ棋士とAI(人工知能)との三番勝負「囲碁電王戦」第2局が20日、東京都内であり、コンピューターソフト「Deep(ディープ) Zen(ゼン) Go(ゴ)」が179手までで黒番中押し勝ちした。トッププロとハンディなしで打つ「互先(たがいせん)」で、コンピューターが国内では初めて勝利を収めた。これで1勝1敗となり、両者勝ち越しをかけて23日の第3局に臨む。
Zenは第1局に続き序盤で優勢を築いた。その後、プロ棋士から見ると明らかな疑問手があり趙名誉名人に追い上げられたが、最後は相手の大石を仕留めて豪快に勝負を決めた。
Zen開発チーム代表の加藤英樹さんは「感無量です。第1局より1手の考慮時間を1・6倍増やした。最終局に向けてさらに改良を加えていきたい」。趙名誉名人は「強すぎますね。人間が気がつかない手を打つ。ソフトが出たら勉強したい」と話した。
Zenの開発チームは、プログラマーや東大のAI研究者らで構成。3月に韓国の世界最強棋士の一人を倒した米グーグル「アルファ碁」が導入したディープラーニング(深層学習)を使い、短期間で飛躍的に棋力が向上。プロ棋士とは先に盤上に石を置くハンディ戦レベルから、半年あまりで各局面の勝率を数値化する形勢判断能力の精度を上げ、互先レベルに達した。
ネットで解説した高尾紳路名人は「まだ強さともろさが同居していると感じる」。囲碁AIに詳しい立会人の王銘琬(おうめいえん)九段は「Zenは発展途中。課題は多いが時間とともに確実に強くなる」と話した。(大出公二)
【囲碁電王戦 国内最強ソフトvsトップ棋士】第2局(1)初手から“熟考”の人工知能
国内最強とされる囲碁の人工知能「Deep Zen Go」と、歴代最多74タイトルの趙治勲(ちょう・ちくん)名誉名人(60)が対局する「第2回囲碁電王戦」の第2局が20日、東京都千代田区のホテルニューオータニで始まった。先勝した趙名人が一気に勝ち越すのか。あるいは「人間に追いつき、追い越す」というコンピューター技術者の悲願が実り1勝をあげることができるのか。注目の一局だ。
沈黙のとき
前日の第1局と同じホテル内の一室に設けられた対局場に、定刻(午後1時)の10分前に「Deep Zen Go」開発チームの加藤英樹代表が入室。続けて趙名誉名人が入った。
すかさず加藤代表が、立会人の王銘●(=王へんに腕のつくり)(おう・めいえん)九段に「準備してよろしいですか」と声をかけ、Zenを起動させる。その間、趙名誉名人は天井や盤面を見つめ集中する。
第1局は先後を決めるニギリが5分前に行われたが、この日はすでにZenの先番と決まっているため、開始時刻になるまで静寂の時間が続いた。
テンポよく進行
「時間になりました」との王九段のひと声で、両者一礼。しかし加藤代表は着手しない。20秒たっても、30秒たっても…。先に打つことは決まっているのに、Zenが初手の意思を示さないのだ。ようやく加藤代表の脇にあるパソコン画面に表示されたのは、1分後。右上隅星に黒石を置くと、間髪を入れずに趙名誉名人が左上星に。ただこの後は、前日と同じように速い展開だ。
「(人間と対局した)Zenの棋譜を13局見たうちに、打った経験のなかった進行を選んだ」と第1局後に語っていた趙名誉名人。この日もあまり多くない形で進行していった。
開始1時間で70手まで進行と、テンポよく碁は進む。
【囲碁電王戦 国内最強ソフトvsトップ棋士】第2局(2) 人工知能が優位に
産経新聞 2016.11.20 16:20
人工知能は楽観派か正確か
囲碁電王戦を主催するドワンゴがインターネット配信するニコニコ生放送でこの日、解説を務めたのは高尾紳路名人。今月3日、井山裕太七冠(当時)から名人を奪取したタイトルホルダーだ。前日の第1局も観戦したうえでの感想は「対局したいとは思わない」とのこと。「あっちに打って、こっちに打ってと一貫性がない。そういうタイプと打つのは苦手」と話す。
100手をすぎたあたりで、「Deep Zen Go」が考える自身の評価値が70で、趙名誉名人については30とたたき出した。Zenが自分のほうが有利と考えて、手を進めているという認識だ。
ただ、高尾名人も「どちらかというと、黒(Zen)を持ちたいかな」との判断。第1局と同様、中盤までは人工知能が優位な状況を作り出しているよう
複雑な心境
Zenの指示に従い着手する加藤代表は第1局のあと、複雑な心境を吐露していた。
「勝ちたいし勝つと思っていたが、果たしてチクン先生にコンピューターが勝っていいものかどうか…と途中で考えていましたよ」
終盤に悪手が出たこともあり、Zenは逆転負け。「修正できるところは修正して臨みたい」と話していた加藤代表。
ニコニコ生放送に出演した立会人の王銘●(=王へんに腕のつくり)九段は「Zenはディープラーニングを採用される以前のいちずな打ち方、棋風が残っている。筋の悪い所をそぎ落とし、よいところをのばせば、(韓国のイ・セドル九段を破った)グーグルのアルファ碁に対抗できるのでは」と期待を込めていた。
【囲碁電王戦 国内最強ソフトvsトップ棋士】第2局(3) 人工知能が勝利!!!
産経新聞 2016.11.20 16:39
午後4時15分、趙名誉名人が投了。179手で「Deep Zen Go」が黒番中押し勝ちした。
【囲碁電王戦 国内最強ソフトvsトップ棋士】第2局(4) 趙治勲名誉名人、ぐったり疲れ、「勝てそうになかった…」
国内最強とされる囲碁の人工知能「Deep Zen Go」と、歴代最多74タイトルの趙治勲名誉名人が対局する「第2回囲碁電王戦」の第2局は、ソフトが趙名誉名人に初勝利。対戦成績を1勝1敗として決着を最終局に持ち込んだ。日本製の囲碁ソフトがハンディなしでプロ棋士に勝ったのは初めて。
ついにそのときが…
144手目を考慮中に、趙名誉名人が秒読みになった。1分以内の着手が求められる。時間に追われるなか、痛恨のミスが…。序・中盤と優位に進めてきたZenのリードをはね返すことはできず趙名誉名人は投了。国内トップクラスの棋士が、人工知能に負けた瞬間だ。
「序盤からまずい手を打ち、勝てそうになかった。途中、少しよくなったかと思ったが、ボクが気づかない手を打たれて…。人間だと(反撃されて)“怖い”とか“痛い”と思うけど、人工知能はそういう感情がないからどんどん打ってくるよね。楽しかったですよ。ソフトが(手に入る程度に)開発されたら、使って勉強したい。人工知能と一緒に切磋琢磨できれば」と趙名誉名人。ぐったり疲れた表情ながら、前向きに話していた。
一方のZenの加藤英樹代表は「治勲先生が間違えなければ、どうなっていたか。早打ちだった第1局に比べ、考慮時間を1・6倍にした効果が出たのかもしれない。1勝1敗で最終局になれば面白いと当初、話していた通りの展開になってよかった」と振り返った。
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趙治勲名誉名人に、せめて中一日の休養があれば、結果は違っていたのではないでしょうか。20代の棋士ならばいざ知らず、60歳のベテランに2日続けての対局は酷です。「ぐったり疲れた表情」であったのも当然です。
幸い、今日明日と休みがありますから、名誉名人にはゆっくりと休んでもらって、水曜日にまた元気な姿を見せてください。まだまだ、あなたの力が、人間には必要です。
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