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アメリカの死刑執行現場レポート

2008年06月19日 08時38分04秒 | 時事放談: 海外編
珍しいアメリカでの死刑執行の現場レポート。記録しておきましょう。

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日本人留学生殺害:米死刑囚に刑執行 わずか7分、淡々と

米オクラホマシティーで95年1月、京都市出身の留学生、山本憲さん(当時22歳)が殺害された事件で、刑が確定していたテリー・ショート死刑囚(47)の執行に17日、立ち会った。死刑囚はすすり泣きながら「話すことは何もない」と家族らに最後の言葉を残し、薬物注射で刑を執行された【マッカレスター(米オクラホマ州東部)小倉孝保】

 州刑務所から立ち会いを許されたのは地元記者5人と私の計6人。午後5時47分(日本時間18日午前7時47分)、執行部屋へ移動。部屋は窓ガラスとカーテンで仕切られ、向こう側は見えない。続いてショート死刑囚の家族ら5人が入室し、記者の前に座る。私のすぐ前は死刑囚の2歳違いの妹だった。

 麻薬中毒の母の下で育った兄妹は幼いころ、励まし合って生きてきたという。6時ちょうどに州矯正局関係者3人が入ると、死刑囚との間にあったカーテンがサッと開いた。

 ガラス越しにみるショート死刑囚はベッドに体を横たえ、手足は縛り付けられているようだった。青い囚人服姿の胸元まで白いシーツが掛けられ、腕には隣の部屋から引き込まれた2本のチューブが付けられている。機械で3種類の薬物が順次、注射されるよう設定されているという。

 ショート死刑囚が立会人席に顔を向け、2回、3回とうなずくと家族は身を乗り出し、2人がVサインを送った。死刑囚の顔の上に取り付けられたマイクを通じ、すすり泣くようなか細い声が立会人席のスピーカーに伝わる。「話すことは何もない」と早口で言うと、すぐに動かなくなった。薬物が体内に入ったのだろう。

 妹は隣の夫に体を預けるようにして、泣き声をかみ殺す。殺人犯であっても、彼女にとっては母の暴力から守ってくれた兄なのだ。

 医師はショート死刑囚の胸に聴診器をあて、「6時8分、死亡確認」と告げた。死刑執行にかかった時間はわずか約7分だった。

 ショート死刑囚は95年1月8日未明、オクラホマシティーのアパート1階に爆発物を投げ込み炎上させた。2階に住んでいた山本さんが全身やけどで翌日死亡、数人が負傷した。1階に住んでいた交際歴のある女性を狙った犯行だった。97年に第1級殺人罪などで死刑を宣告され、07年10月に刑が確定していた。

 執行部屋の隣の部屋からは、ショート死刑囚の投げた爆発物で大やけどを負った被害者が執行を見ていた。ロバート・ヒエスさん(52)は執行後の記者会見で「人の命を奪ったのだから死刑は当然。彼は痛みを感じずに死んだが、私は今でも(やけどの)痛みに苦しんでいる」と語った。

 ◇ことば 米国の死刑制度

 連邦最高裁は76年に死刑を合憲と判断。現在、全米50州のうち36州で死刑が規定されている。しかし、死刑廃止を求める世論の高まる中、多くの州は執行を一時停止しており、07年に死刑を執行したのは10州だけだった。

 死刑が定められている36州はいずれも薬物注射による執行を採用。うち一部の州は死刑囚が執行方法を電気椅子▽ガス室▽絞首刑▽銃殺ーーからも選べるようにしているが、ほとんどは薬物注射を選択する傾向にある。

 ネブラスカ州は唯一、電気椅子による執行だけを規定していたが、今年2月、州最高裁が「残虐な罰」を禁じた州憲法に反すると判断した。

 多くの州では被害者の家族への配慮や刑の透明性を高める目的で、死刑囚の家族に加え、被害者や遺族、ジャーナリストの立ち会いを認めている。

毎日新聞 2008年6月19日 2時30分(最終更新 6月19日 2時30分)

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残虐な方法で殺された無辜の被害者のことを考えると、安楽な形での死刑執行というものにはどこか割り切れないものを感じます。

しかし、これが実態。殺されないようにするしかないということでしょうか。

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