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遺伝子改変し、蚊を駆除 米で計画、賛否問い住民投票へ
朝日新聞 2016年8月8日00時49分
遺伝子改変した蚊を自然界に放して、ジカウイルス感染症(ジカ熱)やデング熱を媒介する野生の蚊を駆除する計画について、米食品医薬品局(FDA)が5日、「環境への重大な影響は見られない」とする最終見解を発表した。米フロリダ州で実施が予定されているが、反対意見もあり、地元では賛否を問う住民投票が実施される。
ジカ熱やデング熱のウイルスを媒介するネッタイシマカに、自然界では2日ほどしか生きられない「致死遺伝子」を組み込んだオスを大量に放つ。オスは死ぬ前にメスと交尾するため、メスが産んだ卵は、致死遺伝子の影響で、成虫にはなれずに死ぬ。いずれは蚊の集団全体が駆除できるという仕組みだ。人の血を吸うのはメスで、オスは無害という。
フロリダ州南端のフロリダキーズ諸島で蚊の対策を担当する当局が、技術開発をした英オキシテック社と共同で、キーヘイブン地区での実施を計画している。地区一帯では数百世帯が暮らしている。
FDAは見解のなかで、放される蚊はほぼすべてオスで、人や動物を刺さないため直接の健康影響は考えられない▽仮にメスが混入して人や動物を刺しても、遺伝子改変による中毒やアレルギーなどの悪影響がでる証拠はない▽放された蚊がデング熱などの感染症を拡大させることはない▽生態系への影響も考えられない、などとして、同社が提出した環境影響評価を支持した。
ただ、米メディアによると、地元では「長期的な影響が検証されていない」「遺伝子改変した蚊を使わなくても(ジカ熱などの)感染を防ぐ手段は他にもある」などの反対意見もある。そのため地元では11月に計画の賛否を問う住民投票が実施される。
同社は、すでにブラジルやパナマなどで駆除試験を行っており、蚊を放した地区では9割以上の蚊を駆除できたとしている。殺虫剤による駆除より低コストで、薬剤耐性をもつ蚊が生まれる心配もなく、効果が期待できるとしている。(ワシントン=小林哲)
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住民投票がどのような結果になるか、注目です。
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