皆さんは秋分の日でのんびりなさっていることでしょう。しかし、貧乏英語塾塾長は朝早くから働いております。
それでも、この人の勤勉さには足元にも及びません。そう、あのみのもんた氏。
朝から晩までみの氏の顔を見ない日はありません。かつての日本人はそのような人を「二宮金次郎みたい」と言っておりましたが、これからの日本人はきっと「みのもんたみたい」と言うようになるのでありましょう。
個人的にはもはや「ミノる」という動詞を作って「毎日働く」の意味を表しておりますし、「ミノモンタる」となると「毎日働いて、膨大に稼ぐ」となります(ホンマカイナ!?)。
そのみの氏の人気を不動のものにした日テレの「午後は○○思いっきりテレビ」。ゴウ先生、その番組の中12時55分くらいから1時5分くらいにかけて放映される「きょうは何の日」というコーナーが大好きです。
今日のこの日にどのようなことが起きたのだろう、と考えるのが何だかよいのです。もちろん、一年は365日ないしは366日しかないのですから、相当限られた選択しかありません。つまり、同じ日に違った年でいろいろなことが起きる宿命なのです。
なのに、今日そんなことがあったんだあとフムフム感心するのが好きなのです。本性的に有限的存在であるからでしょうか。カレンダーで語られるとなぜかしっくり来ます。
しかも「思いっきりテレビ」が選ぶのは、一般にあまり知られていない人物や事件、場所であることが多く、非常に勉強になります。
それでは、アメリカにも「きょうは何の日」的なものがあるのか、英語を勉強している人ならば気になるかもしれません。
実はあるのです。しばしばこのブログでも言及させてもらっているあの大新聞New York Timesの名物コラムにOn This Dayというのがありまして、そこでその日に起きた大事件やその日が命日・誕生日である有名人の紹介がなされています。
そこで今週の気になる英語表現は、そのコラムに題材を採りましょう。
さて、日本では9月23日、秋分の日となりました。しかし、アメリカではまだ9月22日です。この日はアメリカでは非常に重要な事件が起きています。ご存知ですか?
実は1862年、第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが、南北戦争中に「奴隷解放宣言」を発令したのがこの日9月22日なのです。(世界史の授業で習ったことを覚えていますか?)写真がその全文を掲載したNew York Timesの第一面です。
「奴隷解放宣言」は少し長いので、すべてを解説するわけにはいきません。しかし、どうぞ一読してみてください。法律の勉強にもなります。
そこで、今日は見出しの部分だけに焦点を当てます。
**********
Highly Important
==========
A Proclamation by the President of the United States
--------------------
The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
--------------------
A Decree of Emancipation
--------------------
All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
--------------------
The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
--------------------
Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
**********
この箇所に登場する単語の意味をすべて知っていて、スラスラと訳せたら、TOEFLのセクションIIIで満点が取れても不思議はありません。それくらい重要だけれども難しい単語が並んでいます。英語通から歴史通そして法律通になるために勉強していきましょう。
一つ注意です。見出しですから、動詞や冠詞の省略が頻繁に行われています。ここでは説明を省かせてもらいます。どうか拙訳から補ってください。よろしくお願いします。
まず、冒頭Highly Important「極めて重要」と国民に注意を喚起しているのがリアルです。いまなら「超重要」でしょうか・・・。
その上で、まず、リンカーンは南北戦争を遂行していくことを宣言します。
(1)A Proclamation by the President of the United States
Proclamationとは、「宣言」、「布告」、「声明」の意味です。ですから、この箇所は「アメリカ合衆国大統領による宣言」とでも訳せます。
(2)The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
ここで少し歴史の勉強です。
南北戦争は1861年から1865年にわたって起きたアメリカ史上最悪の内戦です。英語では正確にはthe American Civil Warと呼ばれます。ゴウ先生が大好きなレネー・ゼルウィガーの出る『コールド・マウンテン』で描かれた戦争です。
その戦争で闘ったのが、北部連邦(the Union)と南部連合(正確には、「アメリカ連合国the Confederate States of America」)でした。
したがって、アメリカでthe Unionと大文字で表記される場合には、「組合」という意味ではなく、この南北戦争時代の北部にとってのアメリカ全体を指すということを覚えておいてください。TOEFL・GMATにはしょっちゅう出る単語です。
(この辺のことはウィキペディアの「エイブラハム・リンカーン」や「南北戦争」を併せて読むとよく分かると思います。なお、英語版の方がはるかにましです。でも難しいかなあ・・・。)
それでは単語そのものの説明へ。
Prosecuteは、まず「を起訴する」、「を告訴する」という他動詞の意味で覚えてもらわねばなりません。それを覚えたらば、ここで使われている「を遂行する」、「をやり通す」の他動詞用法を記憶してください。
そしてRestoration。これは自動車などの「修復」の意味で「レストレーション」とカタカナでよく使われています。この場合この用法は合っていますから、そのまま覚えましょう。
ただし、もっと重々しくなると、「復興」という意味でもよく使われます。「これからのイラクの復興が問題だ」という場合にはThe foregoing restoration of Iraq will be at issue.などと使うわけです。
さらに、重々しく、「王政復古」という意味にもなります。つまり、政治体制を「回復」するという意味です。この箇所ではまさにこの用語が相応しいでしょう。
というわけで、試訳はこうなります。「南北戦争は、連邦状態が回復されるために、依然として続行される」
(3)A Decree of Emancipation
もうこれは一対一対応で覚えてください。Decree=「法令」、「勅令」、Emancipation=「解放」です。ゆえに、「解放の法令」という訳になります。
(4)All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
Rebellionは「反抗」という意味で覚えておけば十分です。したがって、ここは「反抗状態にある諸州のすべての奴隷は、来年1月1日付けで自由の身となる」と訳せます。
もちろん、この「反抗状態にある諸州」とは南部のことです。北部はすでに奴隷が解放されたという建前で述べられているところですが、実際はそうではありませんでした。いつの時代も本音と建前を見分けることが重要です。リンカーンのような偉人の場合でも。
(5)The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
これまた重要単語のオンパレードなので、ダーっと列挙してみます。
Abolition: これは「廃止」という意味ですが、アメリカ史においては「奴隷制度の廃止」という意味にしか使われません。速攻で覚えましょう。
Colonization: 植民地colonyから出てきた言葉です。アメリカの西部開拓を念頭に置いたものだと思われますので、「入植」でよいでしょう。
Adhere to: 今日唯一の熟語です。「にくっつく」から「に執着する」という他動詞の意味になります。
したがって、全体を訳せば、「漸進的な奴隷制度の廃止ならびに入植の計画が徹底されなければならない」とでもなります。
(6)Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
Remunerateが「を補償する」という他動詞ですから、試訳してみると、「国家に忠誠を尽くす市民たちは、奴隷を含めた損害を補償されることとなる」とでもなります。
というわけで、この見出しに示された内容が詳しく厳密に述べられているのが、その後に続く本文です。
確かに、文法的にも用語的にも難解な箇所はありますが、この見出しの部分を頭に入れておけば、間違うことはないはずです。どうかチャレンジしてみてください。
それでは最後にもう一度、原文とゴウ先生の試訳を併記しておきます。しっかり勉強してください。
**********
Highly Important
==========
A Proclamation by the President of the United States
--------------------
The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
--------------------
A Decree of Emancipation
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All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
--------------------
The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
--------------------
Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
重要告知
アメリカ合衆国大統領による宣言
当戦争は、連邦状態が回復されるために、依然として続行される
解放の法令
反抗状態にある諸州のすべての奴隷は、来年1月1日付けで自由の身となる
漸進的な奴隷制度の廃止ならびに入植の計画が徹底されなければならない
国家に忠誠を尽くす市民たちは、奴隷を含めた損害を補償されることとなる
それでも、この人の勤勉さには足元にも及びません。そう、あのみのもんた氏。
朝から晩までみの氏の顔を見ない日はありません。かつての日本人はそのような人を「二宮金次郎みたい」と言っておりましたが、これからの日本人はきっと「みのもんたみたい」と言うようになるのでありましょう。
個人的にはもはや「ミノる」という動詞を作って「毎日働く」の意味を表しておりますし、「ミノモンタる」となると「毎日働いて、膨大に稼ぐ」となります(ホンマカイナ!?)。
そのみの氏の人気を不動のものにした日テレの「午後は○○思いっきりテレビ」。ゴウ先生、その番組の中12時55分くらいから1時5分くらいにかけて放映される「きょうは何の日」というコーナーが大好きです。
今日のこの日にどのようなことが起きたのだろう、と考えるのが何だかよいのです。もちろん、一年は365日ないしは366日しかないのですから、相当限られた選択しかありません。つまり、同じ日に違った年でいろいろなことが起きる宿命なのです。
なのに、今日そんなことがあったんだあとフムフム感心するのが好きなのです。本性的に有限的存在であるからでしょうか。カレンダーで語られるとなぜかしっくり来ます。
しかも「思いっきりテレビ」が選ぶのは、一般にあまり知られていない人物や事件、場所であることが多く、非常に勉強になります。
それでは、アメリカにも「きょうは何の日」的なものがあるのか、英語を勉強している人ならば気になるかもしれません。
実はあるのです。しばしばこのブログでも言及させてもらっているあの大新聞New York Timesの名物コラムにOn This Dayというのがありまして、そこでその日に起きた大事件やその日が命日・誕生日である有名人の紹介がなされています。
そこで今週の気になる英語表現は、そのコラムに題材を採りましょう。
さて、日本では9月23日、秋分の日となりました。しかし、アメリカではまだ9月22日です。この日はアメリカでは非常に重要な事件が起きています。ご存知ですか?
実は1862年、第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが、南北戦争中に「奴隷解放宣言」を発令したのがこの日9月22日なのです。(世界史の授業で習ったことを覚えていますか?)写真がその全文を掲載したNew York Timesの第一面です。
「奴隷解放宣言」は少し長いので、すべてを解説するわけにはいきません。しかし、どうぞ一読してみてください。法律の勉強にもなります。
そこで、今日は見出しの部分だけに焦点を当てます。
**********
Highly Important
==========
A Proclamation by the President of the United States
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The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
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A Decree of Emancipation
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All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
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The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
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Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
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この箇所に登場する単語の意味をすべて知っていて、スラスラと訳せたら、TOEFLのセクションIIIで満点が取れても不思議はありません。それくらい重要だけれども難しい単語が並んでいます。英語通から歴史通そして法律通になるために勉強していきましょう。
一つ注意です。見出しですから、動詞や冠詞の省略が頻繁に行われています。ここでは説明を省かせてもらいます。どうか拙訳から補ってください。よろしくお願いします。
まず、冒頭Highly Important「極めて重要」と国民に注意を喚起しているのがリアルです。いまなら「超重要」でしょうか・・・。
その上で、まず、リンカーンは南北戦争を遂行していくことを宣言します。
(1)A Proclamation by the President of the United States
Proclamationとは、「宣言」、「布告」、「声明」の意味です。ですから、この箇所は「アメリカ合衆国大統領による宣言」とでも訳せます。
(2)The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
ここで少し歴史の勉強です。
南北戦争は1861年から1865年にわたって起きたアメリカ史上最悪の内戦です。英語では正確にはthe American Civil Warと呼ばれます。ゴウ先生が大好きなレネー・ゼルウィガーの出る『コールド・マウンテン』で描かれた戦争です。
その戦争で闘ったのが、北部連邦(the Union)と南部連合(正確には、「アメリカ連合国the Confederate States of America」)でした。
したがって、アメリカでthe Unionと大文字で表記される場合には、「組合」という意味ではなく、この南北戦争時代の北部にとってのアメリカ全体を指すということを覚えておいてください。TOEFL・GMATにはしょっちゅう出る単語です。
(この辺のことはウィキペディアの「エイブラハム・リンカーン」や「南北戦争」を併せて読むとよく分かると思います。なお、英語版の方がはるかにましです。でも難しいかなあ・・・。)
それでは単語そのものの説明へ。
Prosecuteは、まず「を起訴する」、「を告訴する」という他動詞の意味で覚えてもらわねばなりません。それを覚えたらば、ここで使われている「を遂行する」、「をやり通す」の他動詞用法を記憶してください。
そしてRestoration。これは自動車などの「修復」の意味で「レストレーション」とカタカナでよく使われています。この場合この用法は合っていますから、そのまま覚えましょう。
ただし、もっと重々しくなると、「復興」という意味でもよく使われます。「これからのイラクの復興が問題だ」という場合にはThe foregoing restoration of Iraq will be at issue.などと使うわけです。
さらに、重々しく、「王政復古」という意味にもなります。つまり、政治体制を「回復」するという意味です。この箇所ではまさにこの用語が相応しいでしょう。
というわけで、試訳はこうなります。「南北戦争は、連邦状態が回復されるために、依然として続行される」
(3)A Decree of Emancipation
もうこれは一対一対応で覚えてください。Decree=「法令」、「勅令」、Emancipation=「解放」です。ゆえに、「解放の法令」という訳になります。
(4)All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
Rebellionは「反抗」という意味で覚えておけば十分です。したがって、ここは「反抗状態にある諸州のすべての奴隷は、来年1月1日付けで自由の身となる」と訳せます。
もちろん、この「反抗状態にある諸州」とは南部のことです。北部はすでに奴隷が解放されたという建前で述べられているところですが、実際はそうではありませんでした。いつの時代も本音と建前を見分けることが重要です。リンカーンのような偉人の場合でも。
(5)The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
これまた重要単語のオンパレードなので、ダーっと列挙してみます。
Abolition: これは「廃止」という意味ですが、アメリカ史においては「奴隷制度の廃止」という意味にしか使われません。速攻で覚えましょう。
Colonization: 植民地colonyから出てきた言葉です。アメリカの西部開拓を念頭に置いたものだと思われますので、「入植」でよいでしょう。
Adhere to: 今日唯一の熟語です。「にくっつく」から「に執着する」という他動詞の意味になります。
したがって、全体を訳せば、「漸進的な奴隷制度の廃止ならびに入植の計画が徹底されなければならない」とでもなります。
(6)Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
Remunerateが「を補償する」という他動詞ですから、試訳してみると、「国家に忠誠を尽くす市民たちは、奴隷を含めた損害を補償されることとなる」とでもなります。
というわけで、この見出しに示された内容が詳しく厳密に述べられているのが、その後に続く本文です。
確かに、文法的にも用語的にも難解な箇所はありますが、この見出しの部分を頭に入れておけば、間違うことはないはずです。どうかチャレンジしてみてください。
それでは最後にもう一度、原文とゴウ先生の試訳を併記しておきます。しっかり勉強してください。
**********
Highly Important
==========
A Proclamation by the President of the United States
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The War Still to be Prosecuted for the Restoration of the Union
--------------------
A Decree of Emancipation
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All Slaves in States in Rebellion on the First of January Next to be Free
--------------------
The Gradual Abolition and Colonization Schemes Adhered to
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Loyal Citizens to be Remunerated for Losses, Including Slaves
重要告知
アメリカ合衆国大統領による宣言
当戦争は、連邦状態が回復されるために、依然として続行される
解放の法令
反抗状態にある諸州のすべての奴隷は、来年1月1日付けで自由の身となる
漸進的な奴隷制度の廃止ならびに入植の計画が徹底されなければならない
国家に忠誠を尽くす市民たちは、奴隷を含めた損害を補償されることとなる
On This Dayをご紹介頂き誠にありがとうございました。早速、チャレンジしてみたのですが、力不足を痛感致しました。英語の勉強、そして歴史についての勉強とまだまだ多くのことをやっていかなければなりません。
On This Dayをお気に入りに登録致しましたので、今後もしっかりと勉強していきます。