今週の「気になる英語表現」は、昔と比べてアメリカ人のマナーが悪くなったというAP記事(USA Todayより引用)に注目してみます。
We're more rude than we used to be, Americans say
全文は、見出しを入れて877語。少し長すぎますのでここに全文引用しません。力自慢の人は今すぐ、自信のない方はこのブログを読んでから、全文読解にチャレンジしてみてください。アメリカの現状が分かって面白い記事のはずです。
そこで、今週はこの長い記事の最初の段落というか最初の文(!)を徹底的に分析してみます。この文がスラスラと訳せたりしたら、TOEFLのセクション3の満点を保証したくなるほど、レベルの高い文だからです。
**********
Americans' fast-paced, high-tech existence has taken a toll on the civil in society.
**********
いかがですか?単語や熟語も分からないものがあるかもしれませんが、それよりもすんなり理解できるほど滑らかに訳すのが難しい文です。こうした文をたちどころに理解できるようになれば、相当の実力者だとうぬぼれてもらってもよいでしょう。
まず、この文の物主構文に注目してください。「“Americans' fast-paced, high-tech existence”が“has taken a toll on”するのは、“the civil in society”である」というわけです。
ここまで分解できれば、あとは個々のパーツを訳すだけです。とにかく、TOEFL・TOEICなどの試験では、構文分解がスムーズにできるようになることが、ハイスコアへの近道だと肝に銘じておいてください。
主部“Americans' fast-paced, high-tech existence”の部分には、それほど難しいフレーズはありません。しかし、きちんと訳せるでしょうか。
間の形容詞を省くと、Americans' existenceとなっています。直訳すれば「アメリカ人たちの存在」となります。それがfast-pacedであると同時にhigh-techであるというのです。
ですから、主部を別の英語にパラフレーズすると、“That Americans exist fast-paced and high-tech”となるわけです。つまり、ちょっと意訳すると、「アメリカ人がペースの早い、ハイテクな生活をしていること」とでも訳さないと意味が通りません。
こうした現状がhas taken a toll on the civil in societyを招いているというわけです。
take a toll onというのは、重要な熟語です。「…をすり減らす」とか「…を奪う」という他動詞用法の熟語です。
なぜそうなるかを理解するのが重要です。そのためには、まず、tollという名詞の意味を覚えてもらわねばなりません。「使用料」という意味です。現代では「道路」と「電話・通信」の使用料として使います。したがって、日本の高速道路にある料金所は、toll gateですし、0120などでかけられる(アメリカだと1-800)無料電話はtoll-free callといいます。
ですから、take a toll on ということは、「…のことで料金を取る」というのが本来の意味になります。そこから上の意味が出るのは、想像に難くないところでしょう。
目的語の“the civil in society”にも重要な英語表現が隠れています。“the civil”です。
“civil”はもちろん形容詞。つまり、これは定冠詞the+形容詞の組み合わせになっているわけです。「the+形容詞=複数名詞」という公式を思い出してもらえますか?
よく使われるイディオムだと、the publicなどがあります。これで「人びと」という意味になるのです。(この場合、generalを入れて the general publicとすることもよくあります。もちろん「一般大衆」という意味です。)
ゆえに、civilの意味を知れば、「civilな人」という意味になります。調べてみましょう。
「市民の」という原点から、「社会的秩序のある」「文明的な」という意味を経て、もっと直截的に「行儀がよい」という意味に派生してきた単語なのです。“do the civil”で「行儀よく振舞う」という熟語があるほどです。
ただし、他のpolite やcourtesyなどとは違い、civilは「好意的ではなくても礼儀にはずれない程度に丁重であるという含み」があります。したがって、今回の韓国の外交通商相の訪問などは、まさしくa civil visitなわけです。
そこで、“the civil in society”は「社会において(最低限の)行儀のよい人びと」となるのです。
ゆえに、“Americans' fast-paced, high-tech existence has taken a toll on the civil in society.”全体の意味は、こうなります。
アメリカ人がペースの速いハイテクな生き方をするようになったことが、社会において行儀のよい人の数を減らしてきたのだ。
いかがでしょうか。短い文にも重要なポイントがたくさん隠れているものですよね。丁寧な勉強は、絶対に欠かせないものだと思ってください。
ちなみに、この記事によれば、20年前、30年前と比べて、70%のアメリカ人が無礼者になってきたといいます。そのマナーの悪さには公衆での携帯電話使用などが含まれているとして、そうした行儀の悪化は家庭での指導がなくなったからだとも指摘しています。どこの国も同じようなことで悩んでいるものです。(もともと悪かったマナーが、もっと悪くなっても当たり前じゃないか!なんて皮肉を飛ばさないでくださいね。)
古来、日本人は礼を重んじる国民でした。こうしたアメリカの現状を他山の石として、日本人らしさをもう一度考え直したいものです。もちろん、アメリカ人と伍して戦える英語力を持っていることを前提に!
INDECは、夢と希望にあふれた若者を応援しています!
We're more rude than we used to be, Americans say
全文は、見出しを入れて877語。少し長すぎますのでここに全文引用しません。力自慢の人は今すぐ、自信のない方はこのブログを読んでから、全文読解にチャレンジしてみてください。アメリカの現状が分かって面白い記事のはずです。
そこで、今週はこの長い記事の最初の段落というか最初の文(!)を徹底的に分析してみます。この文がスラスラと訳せたりしたら、TOEFLのセクション3の満点を保証したくなるほど、レベルの高い文だからです。
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Americans' fast-paced, high-tech existence has taken a toll on the civil in society.
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いかがですか?単語や熟語も分からないものがあるかもしれませんが、それよりもすんなり理解できるほど滑らかに訳すのが難しい文です。こうした文をたちどころに理解できるようになれば、相当の実力者だとうぬぼれてもらってもよいでしょう。
まず、この文の物主構文に注目してください。「“Americans' fast-paced, high-tech existence”が“has taken a toll on”するのは、“the civil in society”である」というわけです。
ここまで分解できれば、あとは個々のパーツを訳すだけです。とにかく、TOEFL・TOEICなどの試験では、構文分解がスムーズにできるようになることが、ハイスコアへの近道だと肝に銘じておいてください。
主部“Americans' fast-paced, high-tech existence”の部分には、それほど難しいフレーズはありません。しかし、きちんと訳せるでしょうか。
間の形容詞を省くと、Americans' existenceとなっています。直訳すれば「アメリカ人たちの存在」となります。それがfast-pacedであると同時にhigh-techであるというのです。
ですから、主部を別の英語にパラフレーズすると、“That Americans exist fast-paced and high-tech”となるわけです。つまり、ちょっと意訳すると、「アメリカ人がペースの早い、ハイテクな生活をしていること」とでも訳さないと意味が通りません。
こうした現状がhas taken a toll on the civil in societyを招いているというわけです。
take a toll onというのは、重要な熟語です。「…をすり減らす」とか「…を奪う」という他動詞用法の熟語です。
なぜそうなるかを理解するのが重要です。そのためには、まず、tollという名詞の意味を覚えてもらわねばなりません。「使用料」という意味です。現代では「道路」と「電話・通信」の使用料として使います。したがって、日本の高速道路にある料金所は、toll gateですし、0120などでかけられる(アメリカだと1-800)無料電話はtoll-free callといいます。
ですから、take a toll on ということは、「…のことで料金を取る」というのが本来の意味になります。そこから上の意味が出るのは、想像に難くないところでしょう。
目的語の“the civil in society”にも重要な英語表現が隠れています。“the civil”です。
“civil”はもちろん形容詞。つまり、これは定冠詞the+形容詞の組み合わせになっているわけです。「the+形容詞=複数名詞」という公式を思い出してもらえますか?
よく使われるイディオムだと、the publicなどがあります。これで「人びと」という意味になるのです。(この場合、generalを入れて the general publicとすることもよくあります。もちろん「一般大衆」という意味です。)
ゆえに、civilの意味を知れば、「civilな人」という意味になります。調べてみましょう。
「市民の」という原点から、「社会的秩序のある」「文明的な」という意味を経て、もっと直截的に「行儀がよい」という意味に派生してきた単語なのです。“do the civil”で「行儀よく振舞う」という熟語があるほどです。
ただし、他のpolite やcourtesyなどとは違い、civilは「好意的ではなくても礼儀にはずれない程度に丁重であるという含み」があります。したがって、今回の韓国の外交通商相の訪問などは、まさしくa civil visitなわけです。
そこで、“the civil in society”は「社会において(最低限の)行儀のよい人びと」となるのです。
ゆえに、“Americans' fast-paced, high-tech existence has taken a toll on the civil in society.”全体の意味は、こうなります。
アメリカ人がペースの速いハイテクな生き方をするようになったことが、社会において行儀のよい人の数を減らしてきたのだ。
いかがでしょうか。短い文にも重要なポイントがたくさん隠れているものですよね。丁寧な勉強は、絶対に欠かせないものだと思ってください。
ちなみに、この記事によれば、20年前、30年前と比べて、70%のアメリカ人が無礼者になってきたといいます。そのマナーの悪さには公衆での携帯電話使用などが含まれているとして、そうした行儀の悪化は家庭での指導がなくなったからだとも指摘しています。どこの国も同じようなことで悩んでいるものです。(もともと悪かったマナーが、もっと悪くなっても当たり前じゃないか!なんて皮肉を飛ばさないでくださいね。)
古来、日本人は礼を重んじる国民でした。こうしたアメリカの現状を他山の石として、日本人らしさをもう一度考え直したいものです。もちろん、アメリカ人と伍して戦える英語力を持っていることを前提に!
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目標は英語を話すドイツ人(娘の夫になる予定)との会話です。
10年前くらいにはTOEICで585点くらいだったかなぁ。
せめてそこまで、戻さねば。
きょうのフレーズなど、全くたちうちできませんでした。
これからもよろしくお願いします。