黒澤明監督作品の安易なリメイクは、文化遺産に対する狼藉に思えるのですが。
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TVドラマ 黒澤の名作2本、初リメーク(産経新聞) - goo ニュース
2007年7月17日(火)03:38
黒澤明監督の名作2本が、初めてテレビドラマ化されることになった。昭和27年の「生きる」と、38年の「天国と地獄」で、テレビ朝日系で今秋2夜連続で放送される。名作の復活が相次ぐ中で、ついに黒澤作品も…。視聴者にとってはうれしい話だが、テレビ番組の制作力という面では、安易なリメークは「両刃の剣」と指摘する声もある。(松本明子)
ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞した「生きる」は、黒澤映画の中でもヒューマニズムの頂点を極めた作品で、黒澤の最高傑作と称する人も多い。志村喬が演じた市役所の市民課長、渡辺勘治が公園のブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさむ場面は、日本映画史に残る名シーンとして知られる。ハリウッドでは現在、トム・ハンクス主演でリメーク版も予定されている。
《勘治(松本幸四郎)は酒もタバコもやらず、無遅刻無欠勤で30年間、与えられた仕事を続けてきた。その勘治が膵臓(すいぞう)がんで余命いくばくもないことを知らされる。退職金のことしか頭にない息子夫婦にも告げられず、絶望のふちに立たされるが…》
市川森一脚色、藤田明二監督で、設定は現代に置き換えるが、登場人物はほぼオリジナルのままだという。出演者は深田恭子、ユースケ・サンタマリアほか。
幸四郎は「名作であり完成品。これを模倣したらとても追いつけない。テレビを通して新しい平成の“生きる”というものを演じてみたい。団塊の世代にぜひごらんになっていただきたい」と話している。
一方、「天国-」は社会派サスペンスの金字塔。身代金受け渡しのトリック、刑事たちのきめ細かい捜査に加え、登場人物の内面に鋭く迫った人間ドラマとしても高く評価された。
《高台に豪邸を構える製靴会社重役の権藤(佐藤浩市)の息子が誘拐されるが、じつは犯人は間違えて権藤の運転手の息子を誘拐。権藤は使用人の息子を救うため、身代金を支払おうとするが…》
特急こだまの窓から身代金の入ったカバンを投げ捨てる白熱の場面も現代版で再現。独特の情景を持つ小樽でロケを行った。脚色、監督は鶴橋康夫。出演者は阿部寛、鈴木京香ほか。佐藤は「台本を読むと、僕のせりふは当時の三船(敏郎)さんのものと変わらない。オマージュとして尊敬する気持ちがあり、プレッシャーはない」と語る。
このほかにも、同局ではビートたけし主演で、松本清張原作の「点と線」をドラマ化。TBSでは、中居正広(SMAP)主演で「私は貝になりたい」の映画化を決めている。往年の名作がいまなぜ、相次いで映像化されるのか。
放送ライターの一ノ瀬智さんは「過去の作品がドラマとしてリメークされるのは、映像文化が成熟期を迎えているからだろう。かつての名作にはそれだけ『もう一度作りたい、見たい』と思わせる秀逸な作品が多い」と話す。
しかし、一方で危機感も抱いているという。「新しいアイデアが枯渇し、脚本家が育っていない。そのため過去の名作に頼らざるを得ない現状がある。コミック原作のドラマが多いのも同様の理由。名作のリメークは確かに見応えがあり視聴率も堅いが、今のテレビ界にとっては両刃の剣。新作の制作と人材育成を放棄するのに等しい」
視聴者にとっては、観賞したい作品であることは確かなのだが。
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田無から西早稲田に引っ越してきてからテレビなしの生活を続けているゴウ先生一家。4ヶ月近くその状態ですが、不満を感じません。
日本のテレビ番組にどれだけ見る価値のある番組があるでしょう。映画を見ればよいのです。公開中の映画を見たかったら、映画館に行けばよいのです。公開が終了した映画の場合は、並みの映画館よりも上の絵と音を出すフル・ハイビジョン化したGump Theatreで見ればよいのです。
つまりはDVDが簡単に手に入る今日、黒澤映画はそのままDVDで見ればよいだけなのです。
にもかかわらず、『椿三十郎』が織田裕二主演で映画としてリメイクされたり、『生きる』や『天国と地獄』がテレビ・ドラマ化される。嘆かわしい限りです。ホンモノを見ればよいではないですか。
アメリカ留学の時、黒澤映画から日本人としての誇りを思い出させてもらいました。ある意味、黒澤映画はゴウ先生にとって命の恩人なのです。それがこういう形で安易に取り扱われる。実に悲しいことです。
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TVドラマ 黒澤の名作2本、初リメーク(産経新聞) - goo ニュース
2007年7月17日(火)03:38
黒澤明監督の名作2本が、初めてテレビドラマ化されることになった。昭和27年の「生きる」と、38年の「天国と地獄」で、テレビ朝日系で今秋2夜連続で放送される。名作の復活が相次ぐ中で、ついに黒澤作品も…。視聴者にとってはうれしい話だが、テレビ番組の制作力という面では、安易なリメークは「両刃の剣」と指摘する声もある。(松本明子)
ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞した「生きる」は、黒澤映画の中でもヒューマニズムの頂点を極めた作品で、黒澤の最高傑作と称する人も多い。志村喬が演じた市役所の市民課長、渡辺勘治が公園のブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさむ場面は、日本映画史に残る名シーンとして知られる。ハリウッドでは現在、トム・ハンクス主演でリメーク版も予定されている。
《勘治(松本幸四郎)は酒もタバコもやらず、無遅刻無欠勤で30年間、与えられた仕事を続けてきた。その勘治が膵臓(すいぞう)がんで余命いくばくもないことを知らされる。退職金のことしか頭にない息子夫婦にも告げられず、絶望のふちに立たされるが…》
市川森一脚色、藤田明二監督で、設定は現代に置き換えるが、登場人物はほぼオリジナルのままだという。出演者は深田恭子、ユースケ・サンタマリアほか。
幸四郎は「名作であり完成品。これを模倣したらとても追いつけない。テレビを通して新しい平成の“生きる”というものを演じてみたい。団塊の世代にぜひごらんになっていただきたい」と話している。
一方、「天国-」は社会派サスペンスの金字塔。身代金受け渡しのトリック、刑事たちのきめ細かい捜査に加え、登場人物の内面に鋭く迫った人間ドラマとしても高く評価された。
《高台に豪邸を構える製靴会社重役の権藤(佐藤浩市)の息子が誘拐されるが、じつは犯人は間違えて権藤の運転手の息子を誘拐。権藤は使用人の息子を救うため、身代金を支払おうとするが…》
特急こだまの窓から身代金の入ったカバンを投げ捨てる白熱の場面も現代版で再現。独特の情景を持つ小樽でロケを行った。脚色、監督は鶴橋康夫。出演者は阿部寛、鈴木京香ほか。佐藤は「台本を読むと、僕のせりふは当時の三船(敏郎)さんのものと変わらない。オマージュとして尊敬する気持ちがあり、プレッシャーはない」と語る。
このほかにも、同局ではビートたけし主演で、松本清張原作の「点と線」をドラマ化。TBSでは、中居正広(SMAP)主演で「私は貝になりたい」の映画化を決めている。往年の名作がいまなぜ、相次いで映像化されるのか。
放送ライターの一ノ瀬智さんは「過去の作品がドラマとしてリメークされるのは、映像文化が成熟期を迎えているからだろう。かつての名作にはそれだけ『もう一度作りたい、見たい』と思わせる秀逸な作品が多い」と話す。
しかし、一方で危機感も抱いているという。「新しいアイデアが枯渇し、脚本家が育っていない。そのため過去の名作に頼らざるを得ない現状がある。コミック原作のドラマが多いのも同様の理由。名作のリメークは確かに見応えがあり視聴率も堅いが、今のテレビ界にとっては両刃の剣。新作の制作と人材育成を放棄するのに等しい」
視聴者にとっては、観賞したい作品であることは確かなのだが。
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田無から西早稲田に引っ越してきてからテレビなしの生活を続けているゴウ先生一家。4ヶ月近くその状態ですが、不満を感じません。
日本のテレビ番組にどれだけ見る価値のある番組があるでしょう。映画を見ればよいのです。公開中の映画を見たかったら、映画館に行けばよいのです。公開が終了した映画の場合は、並みの映画館よりも上の絵と音を出すフル・ハイビジョン化したGump Theatreで見ればよいのです。
つまりはDVDが簡単に手に入る今日、黒澤映画はそのままDVDで見ればよいだけなのです。
にもかかわらず、『椿三十郎』が織田裕二主演で映画としてリメイクされたり、『生きる』や『天国と地獄』がテレビ・ドラマ化される。嘆かわしい限りです。ホンモノを見ればよいではないですか。
アメリカ留学の時、黒澤映画から日本人としての誇りを思い出させてもらいました。ある意味、黒澤映画はゴウ先生にとって命の恩人なのです。それがこういう形で安易に取り扱われる。実に悲しいことです。
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