今週の気になる英語表現は、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』のアナキン・スカイウォーカーのセリフに題材を取りました。
I’m overwhelmed.
上記のフレーズは、パルパティーン元老院議長からアナキンのジェダイ騎士としての素晴らしい働きを賛美する会話の中で生まれたものです。
日本語の字幕(戸田奈津子さん?)では次のように出ました。
光栄です。
悪くはないと思いますが、どこか釈然としませんでした。というのも、overwhelmという他動詞は「光栄です」というような積極的なよい意味がないからです。『プログレッシブ英和中辞典第3版』で調べてみましょう。
〈人を〉(精神的に)押しつぶす
…を圧倒[制圧]する、やっつける、…を壊滅させる、打ち滅ぼす
このように、何だか恐ろしい意味がある単語なのです。でも、何事にも圧倒することを好む国民性なのか、アメリカ人は頻繁にこの単語を用います。「圧倒する」という日本語に一番ぴったりした単語ですので、覚えておいて損はありません。
The Sith overwhelmed the Jedi. (シスがジェダイを圧倒した。)
しかも受身になると、よく次のような意味にもなります。
〈人を〉(対応できないほどの物・事で)どぎまぎさせる、困惑させる
したがって、I’m overwhelmed.という表現は、ストレートに訳すと、「恐縮です」、「(お褒めに預かり)困惑しております」ぐらいの意味です。
ですから、『SW3』においてこのセリフは、パルパティーンの言葉にどのように反応してよいかイマイチ掴めていないアナキンの気持ちをそのまま表していると考えるべきところで、「光栄です」と積極的に相手からの褒め言葉を受け入れる和訳には違和感が残る所以です。そう訳すと、その後ダークサイドに落ちることを悩むアナキンの気持ちの揺れが理解できなくなってしまいます。いまそんなに過度に褒められても、どのように対応してよいか分からない、ゆえにI’m overwhelmedと言ったのでしょうから。
というわけで、日本語でいい時にも悪い時にも使う「いやあ、参りました」というような気分の時、このフレーズを使うと面白いと思います。
なお、アメリカ人は、この動詞をoverwhelmingという形容詞やoverwhelminglyという副詞にしてもよく使います。意味は「圧倒的な」、「圧倒的に」という意味です。
圧倒的なクローンの数 an overwhelming number of clones
圧倒的なデススター overwhelming Death Star
シスは圧倒的に強い。
The Sith is overwhelmingly strong.
『スター・ウォーズ』シリーズは圧倒的に面白い。
The Star Wars saga is overwhelmingly interesting.
というわけで、overwhelm、どんどん使ってください!
最後に、気になる関連事項二つを説明しましょう。
①単語にはこのoverwhelmのように、overとwhelmという二つの単語をつなげて成立した単語がよくあります。特にこのoverという副詞は頻繁に接頭語として用いられるのです。Oversleep(寝過ごす)、overwork(残業する)などのように。大概は「過度にtoo much」という意味をその後の動詞につけて理解すればよいので覚えやすいはずです。
なお、whelmという他動詞は、それだけで「圧倒する」という意味ですから、overwhelmがどれだけ圧倒的なパワーを持った単語かお分かりいただけることでしょう。
②『SW3』の副題「シスの復讐」の原題はRevenge of the Sithとなっています。この場合の定冠詞theの用法が分かれば、相当な実力者です。いわゆる、種族・グループを一まとまりに表現するtheなのです。したがって、直訳すればthe Sithは「シス団」とか「シス族」となるわけです。ゴウ先生、長いことシスをキャラクター名だと思っていましたが、この原題を知っていれば、そんな誤解はありえなかったわけです。これだから、原語に当たる必要性は減らないわけです。
I’m overwhelmed.
上記のフレーズは、パルパティーン元老院議長からアナキンのジェダイ騎士としての素晴らしい働きを賛美する会話の中で生まれたものです。
日本語の字幕(戸田奈津子さん?)では次のように出ました。
光栄です。
悪くはないと思いますが、どこか釈然としませんでした。というのも、overwhelmという他動詞は「光栄です」というような積極的なよい意味がないからです。『プログレッシブ英和中辞典第3版』で調べてみましょう。
〈人を〉(精神的に)押しつぶす
…を圧倒[制圧]する、やっつける、…を壊滅させる、打ち滅ぼす
このように、何だか恐ろしい意味がある単語なのです。でも、何事にも圧倒することを好む国民性なのか、アメリカ人は頻繁にこの単語を用います。「圧倒する」という日本語に一番ぴったりした単語ですので、覚えておいて損はありません。
The Sith overwhelmed the Jedi. (シスがジェダイを圧倒した。)
しかも受身になると、よく次のような意味にもなります。
〈人を〉(対応できないほどの物・事で)どぎまぎさせる、困惑させる
したがって、I’m overwhelmed.という表現は、ストレートに訳すと、「恐縮です」、「(お褒めに預かり)困惑しております」ぐらいの意味です。
ですから、『SW3』においてこのセリフは、パルパティーンの言葉にどのように反応してよいかイマイチ掴めていないアナキンの気持ちをそのまま表していると考えるべきところで、「光栄です」と積極的に相手からの褒め言葉を受け入れる和訳には違和感が残る所以です。そう訳すと、その後ダークサイドに落ちることを悩むアナキンの気持ちの揺れが理解できなくなってしまいます。いまそんなに過度に褒められても、どのように対応してよいか分からない、ゆえにI’m overwhelmedと言ったのでしょうから。
というわけで、日本語でいい時にも悪い時にも使う「いやあ、参りました」というような気分の時、このフレーズを使うと面白いと思います。
なお、アメリカ人は、この動詞をoverwhelmingという形容詞やoverwhelminglyという副詞にしてもよく使います。意味は「圧倒的な」、「圧倒的に」という意味です。
圧倒的なクローンの数 an overwhelming number of clones
圧倒的なデススター overwhelming Death Star
シスは圧倒的に強い。
The Sith is overwhelmingly strong.
『スター・ウォーズ』シリーズは圧倒的に面白い。
The Star Wars saga is overwhelmingly interesting.
というわけで、overwhelm、どんどん使ってください!
最後に、気になる関連事項二つを説明しましょう。
①単語にはこのoverwhelmのように、overとwhelmという二つの単語をつなげて成立した単語がよくあります。特にこのoverという副詞は頻繁に接頭語として用いられるのです。Oversleep(寝過ごす)、overwork(残業する)などのように。大概は「過度にtoo much」という意味をその後の動詞につけて理解すればよいので覚えやすいはずです。
なお、whelmという他動詞は、それだけで「圧倒する」という意味ですから、overwhelmがどれだけ圧倒的なパワーを持った単語かお分かりいただけることでしょう。
②『SW3』の副題「シスの復讐」の原題はRevenge of the Sithとなっています。この場合の定冠詞theの用法が分かれば、相当な実力者です。いわゆる、種族・グループを一まとまりに表現するtheなのです。したがって、直訳すればthe Sithは「シス団」とか「シス族」となるわけです。ゴウ先生、長いことシスをキャラクター名だと思っていましたが、この原題を知っていれば、そんな誤解はありえなかったわけです。これだから、原語に当たる必要性は減らないわけです。