◆W杯ジャンプ ▽女子個人第12戦(7日、オーストリア・ヒンツェンバッハ=HS94メートル、K点85メートル)

 高梨沙羅(19)=クラレ=が、敵なしの今季11勝目。またも自己最多を更新する10連勝で、通算41勝とした。

 1回目に最長不倒の98・0メートルを飛び133・3点で“定位置の”首位に立つと、2回目は90メートルの飛躍を見せ126.8点。合計260・1点、異次元の強さで圧勝した。

 勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は18位、伊藤有希(土屋ホーム)は20位、岩渕香里(松本大)は30位だった。

 沙羅が圧倒的な強さで連勝を2ケタに乗せた。1回目。「さあ、イラシュコの記録を抜けるでしょうか」との場内アナウンス。飛距離はぐんぐん伸び、それまでのジャンプ台記録だったイラシュコ(オーストリア)の96メートルを2メートル越えた。その瞬間、地元オーストリアのファンや、国際スキー連盟、各国チームのスタッフから祝福と敬意を表す大きな拍手が送られた。

 飛びすぎたせいか着地こそやや不安定だったものの、第11戦と同様に1回目を終えて2位に10点以上の差をつけた。2回目は他の選手より1段低いスタート位置から出て90メートルにまとめた。究極の目標は男子と同じ条件でやっても対等に戦えるようになることだという。

 オーストリア・スキー連盟・シュレックスナーデル会長「とにかく美しいジャンプ。人格も素晴らしい」と称賛した。高梨は強く、その飛躍は見る者を魅了する

ライバル不在の高梨、本気で男子並みのジャンプ探求
朝日新聞 2016年2月7日23時44分

 ジャンプ台の大小は問わず、助走路や風の条件にも左右されないもはやライバル不在。高梨が「ベストを尽くせた」と振り返った1回目、98メートルを飛んでジャンプ台記録を塗り替えると、会場はどよめきに包まれた。2回目は「攻め過ぎた」と反省したが、90メートルにまとめ圧勝。W杯の連勝を10の節目まで伸ばし、自己記録を連日更新した。

 前日には男女を通じ歴代単独3位のW杯通算40勝をマーク53勝で1位のシュリーレンツァウアー(オーストリア)、46勝で2位のニッカネン(フィンランド)といった男子の超一流ジャンパーの数字も視野に入る。

 もう着地でテレマークを入れることに四苦八苦はしないが、口癖は今でも「技術的にもまだまだ」。ジャンプの質の向上だけに集中し、女子の枠内にとどまらず自分を男子と比べる。「男子のジャンプをテレビで見ていて圧倒されている自分がいる。結局、私が出ているスタート位置は(飛距離が出やすい)めちゃくちゃ上。なので、男子のレベルには達していないということだと思う」。19歳にして本気で男子並みに飛ぼうとしている。

 「いい流れで来ている」と言う通り、残り7戦でW杯総合得点は2位のイラシュコ(オーストリア)に400点近い大差をつけ総合優勝の奪還は確実。ただ、結果そのものに本人は大きな意味を見いださない。より遠くへ、美しく。理想のジャンプを探求する日々は、充実している。(時事)

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98メートル!ジャンプ台記録!残り7戦のうち6勝すれば、ニッカネンを抜いて、47勝になります。それでいて、謙虚。そして、男子選手をめざす貪欲さ。間違いなく、今シーズン中に47勝は達成してしまうでしょう。

スタート位置を男子並みにして、男子の記録を抜きたいという高梨選手。この人なら、今シーズン中には無理でも、近い将来やれてしまいそう。記録達成を願ってやみません。