肺気腫、怖いです。そして、それを引き起こすのは、喫煙・受動喫煙なのです。
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「たばこの怖さ伝えたい」 肺患った店主の禁煙バー
朝日新聞 2017年8月26日18時30分
喫煙できるイメージが強い酒場だが、山口市には禁煙を売りに営業するバーがある。きっかけは、店主が肺の病気になったことだ。禁煙の店にして約2年。客足の減少はあったが、常連客の存在やたばこの悪影響を伝えたいという思いを胸に、今日も営業を続ける。
湯田温泉にある中原中也記念館の近くに、居酒屋が連なる路地がある。歩いて行くと、禁煙マークが貼られた扉が目に入る。この店が「禁煙BAR117」だ。
扉を開けると、ナポリタンのバターやケチャップ、おでんのだしの匂いがした。店では食事も提供するため、バーといってもアットホームな雰囲気がある。
「いらっしゃい」。日焼けした顔から白い歯をのぞかせ笑顔で迎えてくれたのが、店長の寺内健二さん(45)。山口市出身。高校を中退した後、父の保博さん(78)から「手に職をつけろ」と助言され、調理師専門学校へ。その後、会社員として12年間働いたが、自分の店を持つ夢を捨てられず、2006年に「BAR117」を開いた。
転機は2年前の夏。背中に痛みを感じて病院に行くと、背中ではなく肺に問題があった。肺の細胞が破壊されて呼吸困難を引き起こす肺気腫と診断された。喫煙や受動喫煙が主な原因で、重症になると呼吸不全で死に至ることもある。
多いときには1日に1箱半のたばこを吸っていた寺内さんだったが、肺気腫という病名に聞き覚えはなかった。インターネットで検索すると予測検索に「肺気腫 余命」とあった。「死ぬんだ」と思いパニック状態になった。寺内さんは「当時は不安で不安でしょうがなかった」と話す。
「店に愛着があるし、やめられない」と店は続けた。医師の指導で店は禁煙にし、店名にも「禁煙」を入れた。しかし、受動喫煙対策法案の対象から小規模なバーやスナックが除外されたように、バーと禁煙は結びつきにくい。店外に喫煙スペースを設けたが、客は7割減った。
そんな寺内さんを支えてくれたのが、禁煙にしても通い続ける常連客だ。普段は喫煙者だが、店に来たときは一切吸わない人もいる。「今来てくれるのは本当に大事なお客さん」。そう感じ、客の減少から立ち直った。
寺内さんは、肺気腫で肺の細胞を3割ほど失った。禁煙したいまでも、天気が悪くて気圧が下がると呼吸しづらくなり、日常生活で不便を感じることも多い。悪影響をよく知らず、たばこを吸い続けたことに後悔もある。特に若い人には自分のようになってほしくない。客にたばこの怖さを伝えることも店を続ける動機の一つになった。
「うるさいオヤジだと思われても、たばこの悪影響について考えてもらう伝道師になりたい」
<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>
http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(藤野隆晃)
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実母を50年以上の本人の喫煙と父親からの受動喫煙による肺気腫(COPD)で亡くした身としては、寺内さんの気持ちがよくわかります。
東京ならいざ知らず、地方で禁煙バーを経営するのは大変なことでしょう。それを2年も続けておられるのは、立派としかいいようがありません。
もし全国の飲食店がすべて全面禁煙になれば、こんな苦労をする必要はありません。どこに行ってもタバコが吸えないのですから、選びようがないからです。しかし、現状では喫煙客は、タバコの吸える別の酒場に移ることができます。ゆえに、こんな苦労を寺内さんに押し付けることになるのです。
イギリス、フランス、オーストラリアのように、一日も早い飲食店の全面禁煙化を求めます。
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