昨夜のNHKスペシャル『望郷』を見たゴウ先生、NHKもたまにはよいことをやるわいと嬉しくなりました。
ドラマは、シベリアに抑留された渡辺俊男大尉(関口知宏)が強制労働収容所(ラーゲリ)でルーマニア兵士との間に培った友情を描きます。
関口のドイツ語、上手かったです。臨場感がありました。日本人とルーマニア人が共通語のドイツ語で看守の目を盗みながら語り合う。それだけでゴウ先生の涙腺が緩みます。
真冬の稚内で撮影した風景は、いくらドラマとはいえ、抑留生活の辛さをこの飽食の時代に生きる私たちに十分に伝えてくれました。
そしてその地で望郷の念を胸に、凍傷で栄養失調で亡くなられた方々の無念を考えると、涙が止まりませんでした。
こうした戦争捕虜を強制労働に従事させるという明らかな国際法を犯したロシアが、戦勝60周年式典をやろうというのです。
ゴウ先生には、日本に対して行った非道の数々を考えれば、そういう式典をやろうとするプーチンの考え方が理解できません。
日ソ不可侵条約を一方的に破棄して1945年8月9日に満州を襲い、何十万人という罪なき民間人を虐殺したことに始まり、終戦後60万人にも及ぶ日本兵を抑留し、そして日本固有の領土である北方四島を返還しようとしない。これがロシアの現実です。
にも関わらず、各国の首脳を招待して戦勝式典をやるというのです。ゴウ先生にはついていけません。
産経新聞の関連記事2本と読売新聞の本日の社説を併記します。この機会にぜひじっくり考えてみてください。
あす露で対独戦勝60周年記念式典 旧ソ連の闇浮き彫り 「和解の場」に歴史の溝 (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月08日(日)
あす露で対独戦勝60周年記念式典 旧ソ連の闇浮き彫り 「和解の場」に歴史の溝
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアの首都モスクワでは九日、対独戦勝六十周年記念式典が小泉純一郎首相を含む五十カ国以上の首脳が参列して盛大に開催される。プーチン露大統領は戦勝国首脳の中心となり、国威の発揚とともに、威信低下が著しい政権の浮揚をもくろむ。だが、「ナチス・ドイツへの勝利」という栄光を強調すればするほど、共産主義国家、ソ連の闇が浮き彫りにもなっている。
式典には、国連総会が昨年、五月九日を「記憶と和解の日」と宣言したため、米仏など戦勝国の首脳だけでなく敗戦国の独伊両国の首相が出席。アジアからは中韓両首脳のほか、ソ連が戦後、不法占拠した北方領土問題が未解決の日本も小泉首相が出席を決め、五十カ国以上の首脳が一堂に集う「首脳外交の場」(外交筋)になる。ちなみに、同宣言を提案したのは、ロシアだった。
しかし、ホストとなるロシアでは、戦後の「和解」というよりは「ロシアが世界を破滅から救った二十世紀で最も重要な日」(戦勝祝賀式典組織委)という「戦勝の栄光と同国の偉大さ」の方に重点が置かれている。ロシア軍将兵や戦車、航空機などによる軍事パレードも、例年以上の規模と内容になるという。
人気に陰りが見えてきたプーチン大統領にとって、五十カ国以上の首脳の前で、ソ連崩壊後、威信の低下が続くロシアの「偉大さ」を強調し、同国国民の自信回復につなげる絶好のチャンスというわけだ。 そんな露政権の思惑とは裏腹に、ソ連に併合され、その後迫害されたバルト三国は、ロシア側の姿勢に反発を強め、エストニアとリトアニアの両首脳は、式典への参列拒否を表明。式典に加わるラトビアのビケフレイベルガ大統領も、訪露を前に、ロシアが「旧ソ連による占領」の事実を認め、「ただ一度だけの謝罪」を求めた。
プーチン大統領はこれに対し六日、同問題はすでに解決済みだとして歴史の見直しは行わないとの姿勢を示し、双方の対立は深まっている。戦勝の栄光のみを強調した「和解」の祝賀式典は、「歴史論争の戦場」(ロシアのイズベスチヤ紙)となっている。
また、グルジアのサアカシビリ大統領も同日、ソ連崩壊後も同国に駐留し続けるロシア軍の撤退交渉で進展がなかったとして、ボイコットを決めた。
露でスターリン像続々 対独戦勝60周年式典前に (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月03日(火)
露でスターリン像続々 対独戦勝60周年式典前に
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアでは、小泉純一郎首相も参列する五月九日の対独戦勝六十周年記念式典を前に、各地で旧ソ連の独裁者、スターリンの像を建立する動きが活発化している。記念日を機に、血塗られた独裁者のイメージを「勝利と栄光の象徴」に戻したい勢力が“攻勢”に出ているためだ。スターリン復権の動きは「強い力」に頼りたいロシアのエリートの心理を映しているようにもみえる。
≪「強いリーダー」願望にじむ≫
黒海に突き出たクリミア半島にあるウクライナの保養地、ヤルタは、ソ連領だった六十年前、スターリン首相とルーズベルト米大統領、チャーチル英首相が集い、第二次大戦後の世界秩序を協議した地として知られる。
そこに、ロシアの彫刻家、ツェレテリ氏が制作した三首脳の巨大なブロンズ像を建立する計画が持ち上がったものの、ウクライナ政界も巻き込んだ激しい議論となり、ヤルタ検察当局が待ったをかけて戦勝記念日前の設置は不可能となった。
次の候補地となったのが、第二次大戦中はスターリングラードと呼ばれナチス・ドイツ軍敗北の契機となった大攻防戦で知られるロシア南部のボルゴグラードだった。
同市での建立もいったんは決まりながら、「スターリンの悪行の正当化になりかねない」と文化人らが猛反発して結局、二百万ルーブル(約八百万円)の建立費が捻出(ねんしゅつ)できないとの理由で計画は宙に浮いた形となっている。
だが、スターリンの命令で戦後、約六十万もの日本人が抑留され強制労働に就かされたシベリアでは、ヤクーツク市が「多くの退役軍人や青年団体の要請」を受け、九日にスターリンの胸像を建立することを決めた。
クラスノヤルスク市でも「生き神」の胸像建立計画はなお生きている。
スターリンを主人公にした特別大河ドラマ、「時代の星」も第一チャンネルで始まり、「大祖国戦争(第二次大戦)を勝利に導いた生き神」が「私たちのやさしいおじいさん」(ロシア紙)として描かれている。
最近の世論調査によると、スターリンを評価すると答えた人は50%で、評価しないとした37%を上回り、42%の人はロシアの指導者がスターリンのような強い人物であってほしいと回答した。こうした国民の中にあるスターリン待望論が像の建立やテレビドラマ放映の背景にあるのは確かだ。
国立ロシア人文大学のアファナシエフ学長は、政府への強い不満と、それをスターリンのような「強い手」が解決してくれるとの神話が人気の背景にあるとし、「大国再興をもくろむプーチン大統領はスターリンのプラス・イメージを利用しているが、スターリンの犯罪への態度を国民自身が見直さない限り、ロシアに真の民主主義が根付くことはない」と指摘した。「勝利と栄光、偉大さ」ばかりを強調する今のロシアではしかし、こんな意見は少数派となりつつある。
◇スターリン(1879-1953) 旧ソ連共産党の指導者。1922年に書記長に就任、反対派追放で権力基盤を強化。30年代後半の「大粛清」では少なくとも数百万人が犠牲になった。他方、急速な工業化や、ナチス・ドイツ軍を破ったスターリングラード攻防戦(42年)に代表される第2次大戦での指導力、戦後の秩序形成での役割を評価する勢力もある。
5月8日付・読売社説(1) (読売新聞) - goo ニュース
5月8日付・読売社説(1)
[対独戦勝60年]「参列する小泉首相の微妙な立場」
小泉首相が、ロシアのプーチン大統領の招きに応じ、あす9日、モスクワで開かれる対独戦勝利60周年を祝う記念式典に参列する。
式典には、ブッシュ米大統領や、中国の胡錦濤国家主席ら約50か国の首脳らが参加し、退役軍人による祝賀パレードなどが行われるという。
小泉首相の立場は、何とも微妙、と言わざるを得ないだろう。
1945年5月8日、ドイツは、連合国軍に対する降伏文書に調印した。翌5月9日を、ソ連時代からロシアでは対独戦勝利を記念する祝日としている。
ロシアの働きかけを受けて、昨年の国連総会でも、5月8、9両日を「追悼と和解の時」とする決議が採択された。
小泉首相は、式典に出席する理由について、国連決議に言及しながら、「各国とも戦争の経験を踏まえ、敵対国から友好国に。そういう式典にしたい、ということ」と説明している。
しかし、首相は、いったいどのような歴史認識に基づいて、式典に出席するのだろうか。
ソ連は、ドイツの降伏から3か月後の1945年8月9日、日ソ中立条約を踏みにじり、日本への攻撃を開始した。戦後も数十万人の日本の将兵を捕虜としてシベリアに連行し、国際法に違反して奴隷労働に酷使した。
北方領土を占拠したソ連=ロシアと日本の間に、平和条約もいまだ締結されていない。
第2次大戦は、1939年9月、ヒトラーとソ連のスターリンが共謀したポーランド分割によって始まった。
さらにソ連は、フィンランドを侵略して、その領土を奪い、バルト3国を併合した。それでも、戦勝国・ソ連の指導者たちは、極東国際軍事裁判(東京裁判)のような国際法廷で、「戦争犯罪人」として裁かれることはなかった。
対独戦勝60周年の式典に出席する小泉首相の立場とは、いったいどういうものなのかと、考えさせられる。
ドイツは、シュレーダー首相が式典に出席するという。しかし、組織的・計画的に、戦争とは別次元の“国家事業”としてユダヤ人絶滅政策を進めたナチスドイツと、日本とでは立場が違う。
最近、韓国の盧武鉉大統領が、日本の戦後処理をドイツの場合と比較して批判した。しかし、ドイツのユダヤ人団体は「ナチスドイツは、悪質非道極まるもので、他との比較・相対化は許されない」と退けた。
外交には、歴史への見識も求められていることを、忘れてはならない。
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ドラマは、シベリアに抑留された渡辺俊男大尉(関口知宏)が強制労働収容所(ラーゲリ)でルーマニア兵士との間に培った友情を描きます。
関口のドイツ語、上手かったです。臨場感がありました。日本人とルーマニア人が共通語のドイツ語で看守の目を盗みながら語り合う。それだけでゴウ先生の涙腺が緩みます。
真冬の稚内で撮影した風景は、いくらドラマとはいえ、抑留生活の辛さをこの飽食の時代に生きる私たちに十分に伝えてくれました。
そしてその地で望郷の念を胸に、凍傷で栄養失調で亡くなられた方々の無念を考えると、涙が止まりませんでした。
こうした戦争捕虜を強制労働に従事させるという明らかな国際法を犯したロシアが、戦勝60周年式典をやろうというのです。
ゴウ先生には、日本に対して行った非道の数々を考えれば、そういう式典をやろうとするプーチンの考え方が理解できません。
日ソ不可侵条約を一方的に破棄して1945年8月9日に満州を襲い、何十万人という罪なき民間人を虐殺したことに始まり、終戦後60万人にも及ぶ日本兵を抑留し、そして日本固有の領土である北方四島を返還しようとしない。これがロシアの現実です。
にも関わらず、各国の首脳を招待して戦勝式典をやるというのです。ゴウ先生にはついていけません。
産経新聞の関連記事2本と読売新聞の本日の社説を併記します。この機会にぜひじっくり考えてみてください。
あす露で対独戦勝60周年記念式典 旧ソ連の闇浮き彫り 「和解の場」に歴史の溝 (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月08日(日)
あす露で対独戦勝60周年記念式典 旧ソ連の闇浮き彫り 「和解の場」に歴史の溝
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアの首都モスクワでは九日、対独戦勝六十周年記念式典が小泉純一郎首相を含む五十カ国以上の首脳が参列して盛大に開催される。プーチン露大統領は戦勝国首脳の中心となり、国威の発揚とともに、威信低下が著しい政権の浮揚をもくろむ。だが、「ナチス・ドイツへの勝利」という栄光を強調すればするほど、共産主義国家、ソ連の闇が浮き彫りにもなっている。
式典には、国連総会が昨年、五月九日を「記憶と和解の日」と宣言したため、米仏など戦勝国の首脳だけでなく敗戦国の独伊両国の首相が出席。アジアからは中韓両首脳のほか、ソ連が戦後、不法占拠した北方領土問題が未解決の日本も小泉首相が出席を決め、五十カ国以上の首脳が一堂に集う「首脳外交の場」(外交筋)になる。ちなみに、同宣言を提案したのは、ロシアだった。
しかし、ホストとなるロシアでは、戦後の「和解」というよりは「ロシアが世界を破滅から救った二十世紀で最も重要な日」(戦勝祝賀式典組織委)という「戦勝の栄光と同国の偉大さ」の方に重点が置かれている。ロシア軍将兵や戦車、航空機などによる軍事パレードも、例年以上の規模と内容になるという。
人気に陰りが見えてきたプーチン大統領にとって、五十カ国以上の首脳の前で、ソ連崩壊後、威信の低下が続くロシアの「偉大さ」を強調し、同国国民の自信回復につなげる絶好のチャンスというわけだ。 そんな露政権の思惑とは裏腹に、ソ連に併合され、その後迫害されたバルト三国は、ロシア側の姿勢に反発を強め、エストニアとリトアニアの両首脳は、式典への参列拒否を表明。式典に加わるラトビアのビケフレイベルガ大統領も、訪露を前に、ロシアが「旧ソ連による占領」の事実を認め、「ただ一度だけの謝罪」を求めた。
プーチン大統領はこれに対し六日、同問題はすでに解決済みだとして歴史の見直しは行わないとの姿勢を示し、双方の対立は深まっている。戦勝の栄光のみを強調した「和解」の祝賀式典は、「歴史論争の戦場」(ロシアのイズベスチヤ紙)となっている。
また、グルジアのサアカシビリ大統領も同日、ソ連崩壊後も同国に駐留し続けるロシア軍の撤退交渉で進展がなかったとして、ボイコットを決めた。
露でスターリン像続々 対独戦勝60周年式典前に (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月03日(火)
露でスターリン像続々 対独戦勝60周年式典前に
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアでは、小泉純一郎首相も参列する五月九日の対独戦勝六十周年記念式典を前に、各地で旧ソ連の独裁者、スターリンの像を建立する動きが活発化している。記念日を機に、血塗られた独裁者のイメージを「勝利と栄光の象徴」に戻したい勢力が“攻勢”に出ているためだ。スターリン復権の動きは「強い力」に頼りたいロシアのエリートの心理を映しているようにもみえる。
≪「強いリーダー」願望にじむ≫
黒海に突き出たクリミア半島にあるウクライナの保養地、ヤルタは、ソ連領だった六十年前、スターリン首相とルーズベルト米大統領、チャーチル英首相が集い、第二次大戦後の世界秩序を協議した地として知られる。
そこに、ロシアの彫刻家、ツェレテリ氏が制作した三首脳の巨大なブロンズ像を建立する計画が持ち上がったものの、ウクライナ政界も巻き込んだ激しい議論となり、ヤルタ検察当局が待ったをかけて戦勝記念日前の設置は不可能となった。
次の候補地となったのが、第二次大戦中はスターリングラードと呼ばれナチス・ドイツ軍敗北の契機となった大攻防戦で知られるロシア南部のボルゴグラードだった。
同市での建立もいったんは決まりながら、「スターリンの悪行の正当化になりかねない」と文化人らが猛反発して結局、二百万ルーブル(約八百万円)の建立費が捻出(ねんしゅつ)できないとの理由で計画は宙に浮いた形となっている。
だが、スターリンの命令で戦後、約六十万もの日本人が抑留され強制労働に就かされたシベリアでは、ヤクーツク市が「多くの退役軍人や青年団体の要請」を受け、九日にスターリンの胸像を建立することを決めた。
クラスノヤルスク市でも「生き神」の胸像建立計画はなお生きている。
スターリンを主人公にした特別大河ドラマ、「時代の星」も第一チャンネルで始まり、「大祖国戦争(第二次大戦)を勝利に導いた生き神」が「私たちのやさしいおじいさん」(ロシア紙)として描かれている。
最近の世論調査によると、スターリンを評価すると答えた人は50%で、評価しないとした37%を上回り、42%の人はロシアの指導者がスターリンのような強い人物であってほしいと回答した。こうした国民の中にあるスターリン待望論が像の建立やテレビドラマ放映の背景にあるのは確かだ。
国立ロシア人文大学のアファナシエフ学長は、政府への強い不満と、それをスターリンのような「強い手」が解決してくれるとの神話が人気の背景にあるとし、「大国再興をもくろむプーチン大統領はスターリンのプラス・イメージを利用しているが、スターリンの犯罪への態度を国民自身が見直さない限り、ロシアに真の民主主義が根付くことはない」と指摘した。「勝利と栄光、偉大さ」ばかりを強調する今のロシアではしかし、こんな意見は少数派となりつつある。
◇スターリン(1879-1953) 旧ソ連共産党の指導者。1922年に書記長に就任、反対派追放で権力基盤を強化。30年代後半の「大粛清」では少なくとも数百万人が犠牲になった。他方、急速な工業化や、ナチス・ドイツ軍を破ったスターリングラード攻防戦(42年)に代表される第2次大戦での指導力、戦後の秩序形成での役割を評価する勢力もある。
5月8日付・読売社説(1) (読売新聞) - goo ニュース
5月8日付・読売社説(1)
[対独戦勝60年]「参列する小泉首相の微妙な立場」
小泉首相が、ロシアのプーチン大統領の招きに応じ、あす9日、モスクワで開かれる対独戦勝利60周年を祝う記念式典に参列する。
式典には、ブッシュ米大統領や、中国の胡錦濤国家主席ら約50か国の首脳らが参加し、退役軍人による祝賀パレードなどが行われるという。
小泉首相の立場は、何とも微妙、と言わざるを得ないだろう。
1945年5月8日、ドイツは、連合国軍に対する降伏文書に調印した。翌5月9日を、ソ連時代からロシアでは対独戦勝利を記念する祝日としている。
ロシアの働きかけを受けて、昨年の国連総会でも、5月8、9両日を「追悼と和解の時」とする決議が採択された。
小泉首相は、式典に出席する理由について、国連決議に言及しながら、「各国とも戦争の経験を踏まえ、敵対国から友好国に。そういう式典にしたい、ということ」と説明している。
しかし、首相は、いったいどのような歴史認識に基づいて、式典に出席するのだろうか。
ソ連は、ドイツの降伏から3か月後の1945年8月9日、日ソ中立条約を踏みにじり、日本への攻撃を開始した。戦後も数十万人の日本の将兵を捕虜としてシベリアに連行し、国際法に違反して奴隷労働に酷使した。
北方領土を占拠したソ連=ロシアと日本の間に、平和条約もいまだ締結されていない。
第2次大戦は、1939年9月、ヒトラーとソ連のスターリンが共謀したポーランド分割によって始まった。
さらにソ連は、フィンランドを侵略して、その領土を奪い、バルト3国を併合した。それでも、戦勝国・ソ連の指導者たちは、極東国際軍事裁判(東京裁判)のような国際法廷で、「戦争犯罪人」として裁かれることはなかった。
対独戦勝60周年の式典に出席する小泉首相の立場とは、いったいどういうものなのかと、考えさせられる。
ドイツは、シュレーダー首相が式典に出席するという。しかし、組織的・計画的に、戦争とは別次元の“国家事業”としてユダヤ人絶滅政策を進めたナチスドイツと、日本とでは立場が違う。
最近、韓国の盧武鉉大統領が、日本の戦後処理をドイツの場合と比較して批判した。しかし、ドイツのユダヤ人団体は「ナチスドイツは、悪質非道極まるもので、他との比較・相対化は許されない」と退けた。
外交には、歴史への見識も求められていることを、忘れてはならない。
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日本の外交は、過去の事実に対して自国の意見、主張を
はっきりと表明しているようには私には思えません。
シベリアで抑留された方々に報いるためにもしっかりとした
外交が必要なのではないでしょうか。