また、胸が張り裂けるような痛ましい事件を耳にした。鹿児島まで知人に会いに行って、8日間も3歳の娘を自宅に放置して、脱水症状で死なせたというニュース。
ある市長は「育児放棄したこと以上に、親であることを放棄しなかったことを責めたい」と言っていた。それも理解できるけど、よっぽど人としての感情や母性が欠落していない限りは、親であることを自ら放棄するのは難しいと思う。皆、もがき葛藤しながら、パートナーがいたっていなくたって、孤独を感じながら育児する人も少なくない。
うちは仲良くやってるから、育児協力してるからとか、関係ない。
どこの家庭でも起こりうること。「いい親」なんて子供には関係ない自己満足の世界と、頭では分かっていても、助けを求められずに頑張って疲れきってしまう人もいる。
そして、その市長さんは
「十分な養育環境にない場合は、児童相談所に相談をして。親権を放棄して。」
とも言っていたけれど、きっと児童相談所に相談できる人だったら、ここまでの事件は起こしていない。児童相談所=虐待案件というイメージが強すぎて、ハードルが高いのも現実。
私はこの前、療育手帳を取るために初めて児童相談所に行ったけど、受付にあるパンフレットや、待ち合い室で職員さんに進路相談しているお母さんを見て初めて、その幅広い仕事内容を知った。
児童相談所よりも身近なはずの、地域の子育て支援施設も、産後の様子を見に一度は来てくれるけど、産後のサポートが無くなり、一番精神的に追い詰められる時期に、あちらから声をかけてくれることはない。自分からSOSを出すことが前提。相談しても、無料の託児サービスを案内するだけで流されることも多々ある(必ずしもママは子供と離れたい訳ではない)。
非難ではなくて、そういう仕事には限界があるのも知ってる。
今回事件を起こしたお母さんは、シングルマザーということだけど、もっと具体的にどんな環境で、どんな思いで子育てしていたのかな?
ほんとにお母さんだけが犯罪者?
そもそも、地域の子育てサービスを使うとか、周りに頼るとか、そういう発想自体無かったのかもしれない。
「8日放置して死ぬとは思わなかった」と思う位だから。
療育手帳を取った時に、心理士さんに言われた。
「受けられるサービスは、役所の方からオープンにすることはあまりないから、自分から聞いて下さいね」って。おかしな話だと思った。
自分で調べるという考えに至らない人の場合、追い詰められるなと。
勿論絶対的に殺人事件だけど、母親だけを責められないよ。
こういう事件は、繊細に扱わなきゃいけないのは理解できるけど、もっと掘り下げて長い目で社会問題として扱ってほしいなと思う。