いのりむし文庫

いのりむし斧舎 ⒸNakajima Hisae

2013年(39句)

2014-01-04 | いのりむし俳句

手足口動かし心は冬ごもり

しぐるるや花の紅きに見入る夜

寒空に何処へ向かうや人権の日

落葉さえ踏めばかさごそざわめけり

大根も茹だり私も暖まり

木の葉雨赤黄赤と地に注ぐ

着ぶくれて世間いよいよ狭くなり

長き夜や寝覚めて思うこと多し

きんとんの至福小さき栗の粒

台風よ地震よ原子力の日よ

木犀の匂いも菜の夕餉かな

抜け道を急ぎて不意に実むらさき

木犀の香り離れてまた香る

避ける人拾う人いて銀杏の実

曼珠沙華秘密の名つけ呼びにけり

主なき庭の枸杞の実もう朱し

新聞の休刊静けき星月夜

女郎花揺れるにまかせ手折られず

かまきりや碑文の階段登りゆく

緊張も少しゆるめてとろろ汁

ここよりもそこで鳴きたいちちろかな

定時過ぎ思わせぶりにあきつ飛ぶ

日々草またも律儀に咲きにけり

躊躇なく草むしる手で今日を生く

つるりとはいかぬ白玉粘りたる

炎天と詭弁食言要注意

燕の子ここに生まれてここを発つ

蓮咲くや迷い入りたる路地の奥

悩ましきことの多き世喜雨に濡れ

ねじ花や天に向かいて身をよじる
 
猫の目に捕らえられたり夜の蜘蛛

サイダーのしゅわしゅわ煩悩はじくかな

揚羽追う視線の先に今日の空

たそかれの行方を照らす月見草
 
十薬の花咲き毒舌意気高し 
 
同じ道行きつ戻りつ薫風忌(1977年5月10日 東山薫 享年28)
 
空港の喧騒遠し風薫る
 
いくばくの未練放つや春疾風
 
葱坊主はじけて後は丸くなり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする