団地小説短編集を歩く

団地小説短編集の舞台を歩きながら団地や地域の魅力をお伝えします。

番外編 26 日本住宅公団 灘アパート(UR賃貸 灘単身団地)解体

2022-03-18 07:10:11 | 日記
 
 100万戸の世界一の大家さんと言われた住宅公団(現在のUR賃貸 賃貸住宅は最大時で約77万戸弱)も国土交通省の資料

によれば令和30年を目途に約3割の削減が進められています。

    番外編 1 高尾団地取り壊し始まる(2016..10.1)  番外編は「団地小説短編集」の舞台の10団地以外の団地です。

    番外編 22 さよなら布引団地(2021.7.30)

    番外編 25 さよなら磯上公園団地(2022.2.18)に続いて4団地目です。

  

 この個性的な団地を理解していただくために平成7年頃の住宅地図からの説明となります。建物全体の形状は赤線の口字型が右

上で少し欠けた形となります。反時計回りに消防署、区役所、保健所、灘団地となります。水色部分は1階から5階まで団地とな

ります。黄色部分は5階部分のみが団地となります。

   

写真 左 消防署(左)区役所(右)となります。消防署は現役ですが区役所は平成16年にJR六甲道駅南に移転しました。消防

     署の上には逆四角錘の火の見櫓がありましたが阪神淡路大震災で破損撤去されました。小さな窓が並んだ部分は当初は公

     会堂でした。

写真 右 保健所部分を南から見ています。3階建ての保健所の上が団地の5階部分となる不思議な光景です。保健所は平成5年に

     少し西側に完成した灘区民ホールに移転しています。最近は介護生活支援関係が使用していました。

   

 完成当時は憧れの存在であったことが想像できる外観です。単身者向け住宅は団地系と共により職場に近い市街地住宅系でも多

数建設されました。兵庫県では当時県内最大の浜甲子園(総戸数4613戸)団地に298戸(男・女)が建設されています。

   

 既に閉鎖されていますが、玄関部分と銘板です。ではどれぐらいの存在であったかと言いますと当時の家賃はわかりませんが

日本住宅公団の初任給では入居資格がなかったそうです。

       各階平面図

  

 字が小さくて見にくいですが、右側の階段の上側と西棟5階に、トイレと洗濯室があります。洗濯室にはコンクリートで仕切ら

れた長い洗濯槽がありました。洗濯機が普及してくると洗濯機が置かれました。1階に脱衣室、風呂の文字が見えます。廊下の反

対側が食堂になります。業者が食事のを提供していました。共用の談話室があり卓球台もありました。玄関の管理人室は住宅付き

です。

 平面図は平成26年5月のものですが左側階段より左の28号室~44号室部分は募集対象外となっています。以前から土地所

有者の神戸市から建替え整備のため保健所上の部分の廃止の要望がありました。今回、灘団地全体が廃止となりましたが、部分廃

止が検討された時期もあったことがわかります。

   

 募集された実績は不明ですが平成27年のパンフレットにはまだ記載があります。

   住宅形式 1K(男子)  住戸専用面積 12.50㎡  月額家賃 9300~9500円  共益費月額 5890円

   共益費には風呂代、住戸内水道を含む水道代が含まれています。電気は戸別メーターになります。

 間取りは4畳で玄関に小さな流しと水栓があります。単身住宅には一部の団地を除いてガス栓は有りませんでした。解体途中に

立体模型のような住宅が見られました。これが一戸になります。

     所在地   神戸市灘区神ノ木通三丁目6番5号         管理開始  昭和34年8月

     敷地面積  3443.57㎡(神戸市資料による 区役所等を含む)

     建物概要  5階建  住宅1~5階              区分所有者  神戸市 1階~4階 事務所他

     管理戸数  1K  140戸(男子)

       解体工事

   

 建物が足場に囲まれて工事が始まりました。まことに小さくて申し訳ありませんが労災保険成立票によれば

  事業の期間  2年11月26日~3年10月29日  注文者の氏名  独立行政法人 都市再生機構 となっています。

 高尾団地では施設譲受人の姫路市、布引団地では施設譲受人の承継者と思われる企業が発注者になっていましたが灘団地では

都市機構が建物を撤去し土地を返還するようです。(高尾団地・布引団地を含めどの様な話し合いがあったかは分かりません。)

 都市機構の入札結果公表によれば

   工事名称  灘市街地住宅基盤整備工事   (解体工事の事と思われます)

   履行期間  契約日の翌日から  2021年7月30日    (入札は 2020年8月27日でした)

    A社とB社が参加してA社は辞退 B社は 一回目129,000,000円 二回目127,000,000円  三回目辞退

    予定価格税抜き 112,326,000円でした。その後の経過は見つかりませんでしたがA社が工事をしています。

   

 8月に5階部分の足場が無くなり住宅の断面が現れ、10月には足場がかなり低くなりました。

   

 10月下旬解体重機が見えます。先に掲載した住戸の写真により木部はきれいに撤去されていることがわかりますが、アルミ

サッシは外さずに解体されているようです。アルミサッシは1㎏あたり160円にはなるのですが。

    小説落合団地 3 お隣の「落合農住団地」A・B・C棟解体始まる(2020.11.6)

 ではきれいにアルミサッシが外されていますが建設リサイクル法の分別の対象ではないようです。

   

 12月になって足場が出来て予想外の展開に。工期が令和4年2月28日まで延長されていました。

    

 2月中旬ですが解体工事は完了しているようです。なにこれ珍百景に応募できそうな建物になってしまいました。灘団地が先行

して解体されたので残存建物に傷を付けないように残されたのでしょう。残りの解体は神戸市さん、お願いでしょうか。

 当敷地3443.57㎡について神戸市によって令和3年1月にサウンディング型市場調査が行われました。消防署を現地で建替

えることが条件となります。賃貸住宅等々14件の応募があったようです。

       市街地住宅制度と区役所  関西地区

 地方公共団体と共同して建設された市街地住宅はたくさんあります。施設も保健所、体育館、公民館、店舗、市場、保育園、バ

スターミナル、モノレールの駅等色々で、区役所に限っても次のようなものがあります。

  長田団地 神戸市長田区役所  昭和37年3月入居(団地の入居と区役所の開所は異なる場合があります)

     

     長田団地は5階建て30戸の小さな団地で長田区役所とは別棟で建築されていました。画面右と後ろの建物が旧長田区

    役所、団地の上に旧長田消防署の火の見櫓が見えます。長田区は阪神淡路大震災の神戸市の火災面積819108㎡のう

    ち523546㎡が集中し、団地手前で焼け止まっています。

     長田区役所は平成5年に新築移転。阪神淡路大震災では長田団地は大きな被害は有りませんでしたが解体、長田区役所

    跡地を含めて震災復興住宅フレール長田が建設されました。

  壬生坊城団地 京都市中京区役所  昭和39年7月入居

    区役所は新築移転、福祉施設が使用しています。

  九条団地 京都市南区役所  昭和42年3月入居

  山科団地 京都市山科区役所  昭和47年7月入居

  上桂団地 京都市西京区役所  昭和53年11月入居



       UR賃貸10の団地と10話の物語

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