団地小説短編集を歩く

団地小説短編集の舞台を歩きながら団地や地域の魅力をお伝えします。

番外編 3 建設進む高尾団地 姫路モノレール建設急ピッチ

2016-12-10 20:46:28 | 日記
   番外編 1 高尾団地取り壊し始まる

   番外編 2 高尾団地取り壊し進む と 姫路モノレール の続きです。

        初めての方は合せてお読みください。

        取り壊し進む高尾団地

    平成28年11月16日

  

   足場と防音壁は完成しています。内装の解体は始まっています。解体するにも床の補強が必要なんです。勉強に

  なります。

    平成28年12月5日

    

   10階の解体が始まっているようですが、外観は全く変化ありません。

      

   近頃の解体工事現場はハイテクです。しかしドン、ドン、ドン と重低音が響いています。大きな鉄の玉が建物を

  砕いているのでしょうか。心が痛みます。しかし全く中を覗うことは出来ません。現場は10階ですのでヘリコプター

  にでも乗らない限り現場を見ることは出来ません。

       そこで、団地は違いますが浜甲子園団地です。

  

   手前の建物は解体されて基礎部分だけが残っています。

      ♩♫♩♫♩さよならだけではさみしすぎるから♩♫♩♫♩

     広報ひめじに従って高尾団地の誕生を追ってみましょう。

     広報ひめじは1号から全号ネットでご覧頂けます。

    昭和38年1月 新年特別号

    近代都市に即応し 高架道路やモノレール計画

   ‥‥駅前広場から産業道路大将軍跨線橋間、全長780メートルを幅員25メートルとし、その内に高架道路幅員

  7.5メートルの建設を目ざしております。‥‥なお、レジャー施設として、姫路・飾磨間にモノレール建設を計画

  し、駅前より上記高架道路を経由、手柄山に至る1.96キロメートルを第1期工事として着々準備を進めています。

    ◯この時点では、モノレールは道路の上を走りますので高尾団地の出番はないようです。

     同じ記事の中に大手前通りのオープンカット計画もあります。次回にご紹介します。

    昭和38年2月号

     第4回定市議会の結果

   跨座式鉄道(モノレール)の敷設

   都市交通の緩和と観光ルートの開発をめざし、また、手柄山レジャー施設の一環事業として駅前豆腐町から手柄山まで

  延長1.96にわたってモノレールが敷設されることになりました。

     昭和38年9月号 広報ひめじ附録

     少年マガジン夏休み号の記事からの転載が広報ひめじの付録として配布されました。

      

    来年の秋、兵庫県姫路市に、最新式のモノレールがお目見えする。これは、アメリカのロッキード飛行機会社が考え、
   
   日本の技術で作りあげたものだ。いまさかんにテストをつづけているが、はやくもヨーロッパの国々が、このモノレール

   のすぐれた技術を買いたいといってきているほどだ。‥‥

    ◯この時点では昭和39年秋には開通予定でした。

      昭和38年11月号

     駅前↔大将軍橋間に  25メートル道路計画

    ◯高架道路の計画はなくなってようですがモノレールは道路上を走るようです。

     昭和39年2月号

     モノレール計画の概要について

   ‥‥なお駅前から大将軍橋までの区間については都市計画街路事業として20メートルの道路を貫通し、立ち退き該当

  家屋は、その北側に前面二階、後面三階の鉄筋店舗住宅を建てて収用し、モノレールの発着駅は後面の建物(三階)の屋上

  となる計画です。

    ◯道路上にモノレールの軌道を設置することが、認められなかった為、道路を5メートル狭めてモノレールの敷地とし

     なおかつモノレールの軌道の下に立ち退者の店舗住宅を建設する一石二鳥の作戦です。もしかしたら言われているよ

     うに建設省が建設を許可しなかったのではなく自ら変更したのかも知れません。この時点ではまだ高尾団地の計画は

     ありません。番外編 1 に軌道下商店街の写真があります。

      昭和39年11月号

        姫路市のモノレール認可 地方自治体でははじめて

      モノレール予定路線では「モノレール姫路駅」「大将軍駅」「手柄山駅」の記載があります。

        予定工期は約1ヵ年

      モノレール建設について運輸大臣の認可がおりた上は、一日も早く完成させて市民のみなさんに利用していただく

      ため12月に着工できるよう準備を進めています。

     ◯中間駅の名称は「大将軍駅」と決まったようです。

      昭和40年4月号
  
        40年予算のあらまし  総額は140億円  市長の予算編成方針

       建設面では‥‥日本住宅公団施工による市街地施設の建設と20メートルの道路の完通をめざします。‥‥

     ◯市街地施設の建設とありますが当然住宅もセットになりますのでここで初めて高尾団地が出てきます。しかし

      いつ頃から高尾団地の計画はあったのでしょうか。

      昭和40年5月号

        モノレール  来年3月には完成 駅ー手柄山間 着工準備急ぐ

      ‥‥臨時市議会が4月19日から開かれ、建設費、本年度事業費などについて特別委員会の報告を聞き、21日

      に再開された本会議で採決の結果、多数決で原案どうり可決されました。‥‥

     ◯12月着工の予定がそれまでの定例市議会(年4回程度)で可決されずに臨時市議会でやっと可決されたようです。

         昭和40年5月 広報ひめじ特集号

       モノレール建設工事の仮契約が丸紅飯田㏍の間で調印されました。
    
       

     ◯モノレールの完成予想図ですが、高尾団地がまだ書き込まれていません。日本住宅公団の名前がでたのが先月

      4月なので無理も無いことかかとも思うのですが、モノレールが高層建築物の中を縦断する世界初の特殊な建物

      ですので相当の準備期間が必要と思われるのですが。

      もう一つ興味深いことは、大将軍駅で北へ分岐する路線のあることです。名古山から書写山への路線と思われま

      すがもしモノレールが北に伸びていれば、この後の人口急増地域でもあり鉄道路線も無い地域を通るでので都市

      交通手段として定着出来た可能性も有ったのではないでしょうか。

        昭和40年10月号  
     

       モノレール建設工事施工認可おりる  急ピッチの建設工事  来年1月の完成目指す

   9月20日、本市のモノレール建設工事の施工が運輸省で正式に認可されました。しではすでに用地買収をした大将軍橋

  ー手柄山間に準備工事を進めていましたが、正式認可によって本工事にとりかかることができますので橋脚の建設工事を進

  める一方できあがった箇所から橋ケタを乗せていく方法を採用することにしています。

   中間駅となる大将軍橋東詰の駅ビルは現在基礎工事が進んでおり、駅前ー大将軍橋間は駅に西地区整備事業で残っている

  用地の買収に努力することにしています。市では来年1月には工事を完了する予定にしていますが、そのためには用地買収

  についての地元のみなさまのご協力が是非必要です。

    ◯1月の完成をめざすとはずいぶんの突貫工事です。そして工事施工認可の半月後には橋脚が建っているのがすごいで

     す。周到な準備が有ったようです。高尾団地も基礎工事進んでいるようですが開業まであと三ヶ月なのに用地買収が

     のこっているとは。

        昭和40年11月号

     

       都市開発と交通緩和   駅西地区整備事業を推進

   ‥‥十階建のビルの建設工事が進んでいます。このビルの建設費は日本住宅公団がたてかえて払うことになっており、

  完成すれば四階までを市が使用し、五階以上を公団が一般住宅として使用する予定です。ビルの建設用地は市が提供して

  いますので建設費の負担率も有利になります。‥‥この工事は年内に大体でき上がるよていで使用開始時期は市の使用

  する部分が来年4月住宅公団分は来年8月の予定です。‥‥

     ◯市街地住宅制度では施設建設費は長期割賦で支払うことが出来ます。番外編 1 をご覧下さい。

      モノレールの開業は1月から4月に延期になったと思われます。

      建設工事の左端の型枠で囲まれた柱はモノレールの橋脚と思われます。駅付近では現場で作っていたと思われま

      すが建物内部では軌道はどのようにして乗せたのでしょうか。

       モノレールの駅になる三、四階部分が太い鉄骨で囲まれた一つの空間であることがわかります。

         昭和41年1月号
 
     

        姫路市政の回顧と展望  昨年をふりかえって   画期的な建設事業

          43 モノレール着工認可おりる 建設工事に拍車

    ‥‥建設中の中間駅ビルも基礎工事骨組み工事を完了し、姫路博に間に合うよう急ピッチ工事を進めており‥‥

    ‥‥用地買収、物件移転なども地元市民のご協力により着々計画の実現に向かって進んでいます。

     ◯当時の姫路市では、43の回顧と展望の大部分建設事業と言う活気に満ちた時代でした。

      説明では鉄骨の組上げは完了していますので五階までが鉄骨が入った鉄骨鉄筋コンクリートと呼ばれる構造で、

      阪神淡路大震災でも鉄骨階と鉄筋階の継ぎ目部分で壊るケースが目立ちました。

      もしモノレールが1月に開業していたら、この鉄骨の中を中を通り抜けたのです。用地買収もまだ完了してい

      ないようです。

         昭和41年5月号
    
         全国初の市営モノレール開通    待望の営業始まる   あふれるスピード感に人気

         すばらしい乗り心地  安全性、性能、耐久力も抜群  交通問題解決のカギ 観光、レジャーにも一役

     

          大将軍駅ビルは10月完成

   ‥‥ 大将軍駅は産業道路の陸橋、大将軍橋の北東詰めにあり、鉄骨鉄筋コンクリート十階建てで三、四階がモノレール

  駅でプラットホームは四階にあります。このビルは現在工事を続けていますが十月には完成し完成後は一、二階に店舗、五

  階以上は住宅になる予定です。

      ◯5月17日ついにモノレールが開通します。写真の説明では大将軍駅を発車するモノレールとあり、ホームに提灯

       も飾ってあることから、大将軍駅も同時に開業したことがわかります。

          昭和41年6月号

     

         高尾市街地住宅ビル  入居者を募集

   播磨地方住宅協会では」高尾市街地住宅ビルの賃貸住宅入居者を募集します。このビルは、日本住宅公団が建設したも

  ので地上十階、一,二階は店舗、事務所になる予定で、三、四階をモノレール大将軍駅として市が使用しています。募集

  する住宅は五階から十階までの62戸。面積は一戸あたり57平方メートル(17.2坪)から82平方メートル

  (24.8坪)で全部2DKです。家賃は11,600円から16,900円。‥‥申し込みは、7月1日から同七日

  ‥‥本年11月下旬に入居の予定です。‥‥

      ◯播磨地方住宅協会は長い間、高尾団地の管理をしていましたが募集業務からしていたようです。建設戸数が77戸

       に対して募集戸数が62戸であるのは、市街地住宅制度に、建設促進と職住近接を図るため2割以内での優先入居

       が認められているためです。

    モノレールは出来ましたがこれで終わった訳ではありませんでした。

           昭和41年11月号

            市政批判の問題点特集

            根拠のない赤字説 バランスのとれた都市づくり  

         学校、道路は重要施策   手柄山、名古山は播磨120万人の公園に

    問 市長は学校や道路のことをおろそかにして、手柄山や名古山など不急の施設ばかりに力を入れているという批判が

      ありますが。

    答 1、中央公園(手柄山)、名古山霊苑は姫路市38万人だけの公園ではなく、播磨地域120万人の公園としての

        性格と使命をもっている者として造成しています。‥‥

       ◯姫路は播磨100万住民の首都圏という言葉もありました。

          なぜモノレールをつくったか   建設時期は今をおいてなし

    問 11億円の起債までして作ったモノレールが乗客が少なくて赤字だというので市民が相当批判していますが、どうで

      しょうか。

    答 ‥‥7、駅西地区の改造、大将軍駅から姫路駅までの20メートル道路並びに6.5メートル道路の建設、暴力の町の

       汚名返上などはモノレール建設によってもたらされた副産物であることを知ってもらいたいものです。

       ◯思い切った答ですが、目から鱗の感じもします。
    
        送る言葉を書くつもりでしたが  

   完成予定の変更回数の多さを見るだけでも、ただただ、大変でした。ご苦労様でしたとしか言いようがないです。広報ひめ

  じ紙上での石見市長の挨拶では着工は昭和40年9月とあります。とすれば工期1年の予定を実質8ヶ月、実質的な着工を

  7月とする話もありますがそれでも10ヶ月程度で作ってしまったのですからたいしたものです。

   高尾団地に関して言えば、姫路市と日本住宅公団との建物の譲渡契約は当然昭和40年4月21日の市議会の議決後になり

  ますのでモノレールと同じ頃に建設が始まったものと思われます。日本住宅公団の名前が初めて出るのは昭和40年4月号

  ですが、地質調査や設計期間を考えると昭和39年2月号の三階屋上駅計画の以後で相当早い時期から構想・計画があったと

  思われますが、いつ高尾団地構想が生まれたのか、に迫ることは残念ながら出来ませんでした。姫路市の状況に振り回された

  であろう、日本住宅公団の皆様も大変でした。ご苦労様でした。

   とりとめの無い話になってしまいましたが、当時の緊迫した状況を少しでも感じていだければ幸いです。



      番外編 13 高尾団地・姫路モノレール大将軍駅 解体工事完了 まとめ(2018.1.26)があります。

          

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