忍之閻魔帳

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新作「ソウX」公開前に、今作のストーリーの前後にあたる初代「ソウ」と「ソウ2」をおさらい(*ネタバレあり)

2024年10月17日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


▼新作「ソウX」公開前に、今作のストーリーの前後にあたる初代「ソウ」と「ソウ2」をおさらい


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【関連記事】若さ溢れるハイスピードサスペンス[SAW](2004年10月30日)

最近(2004年当時)公開されたサスペンス映画はどれも期待外れだった。
「テイキングライブス」に怒り、「ツイステッド」で呆れた私の乾きは、
ジョニー・デップ×スティーブン・キングという顔合わせの「シークレットウインドウ」でも満たされることはなかった。
しかし、オーストラリアが生んだ若干27歳の若手監督が私の心を鷲掴みにした。

「SAW」は、「π」「メメント」「ブレアウィッチプロジェクト」など、
ホラー、サスペンスの傑作を見出すことに置いては一目置かれているサンダンス映画祭で絶賛された作品である。
そのためか、広告記事には「CUBE」や「セブン」の名前がよく引き合いに出されている。
言いたいことは分からないでもないが、私に言わせればちょっと違う。
これはズバ抜けて出来の良い「フォーンブース」(コリン・ファレル)ではないか。
薄汚れたバスルームで目覚めた二人の男。
どうやら”ジグゾウ”と名乗る男に監禁されたらしいが、原因も目的も不明。
閉塞された空間で僅かな情報を頼りに脱出を図るが、ジグゾウは常に二人の先を読んでいる。。。
バスルームか電話BOXかの違いはあるが、やはり「フォーンブース」に似ている。

固定された空間で物語を展開していく手法はシチュエーションスリラーの定番だが
この映画はバスルームだけでは終わらない。
ジグゾウを追う警察や、ジグゾウが過去に狙ったターゲットなど、
バスルームを中心にしつつ周辺にもストーリーが広がっている。
ここの部分を「厚みが出た」と思うか「蛇足だ」と思うかは
観る人によって意見の分かれるところだと思うが、私的には「蛇足」だと思った。
いっそのこと警察関係者も出さず、過去のターゲットのエピソードも丸ごと削って
バスルームの二人 vs どこかで成り行きを見ているジグゾウ、という密室劇に的を絞った方が
遙かに緊迫感が上がったと思う。

映画(試写会)が始まる前の前説で、「監督が憧れる人物はデイヴィッド・リンチ。
大好きな作品は『シャイニング』だそうです」と言っていたが
この映画は上に挙げた巨匠達の影響をさほど強く受けているとは思えない。
リンチほどの美学は持っていないし、キューブリックほどの不可思議な魅力もない。
物語の組み立て方もヒッチコックやキング、デ・パルマにはまだまだ及ばない。

しかし、それでもこの映画は傑作である。

なぜか?

老練な監督には絶対に出せないスピード感に溢れているからだ。
ロケットスタートの映画なので中盤は絶対にダレると思っていたのだが
結局最後まで若さをバネにして走り通してしまった。
この辺の猪突猛進具合は「テキサスチェーンソー」などに通じるものがある。
撮影期間がたったの18日間というのも信じられないが、
だからこそ、これほどまでのスピード感が出たのかも知れない。

「あいつはずっと【最前列】にいる」

というチラシの言葉に秘められた謎。
その謎の意味を全て知った時、最高の快感を味わうことが出来るはずだ。
この手のジャンルは生理的に受け付けない、という人以外は是非劇場で観て欲しい。

【2024年10月追記 ネタバレ有り注意】

記念すべきシリーズ最初の作品で監督を務めたのが
「死霊館ユニバース」を始め今やホラー映画界を代表する売れっ子監督であるジェームズ・ワンである。
続く「2」ではダーレン・リン・バウズマンにバトンタッチし、ワンは製作総指揮としての参加になった。

地下に閉じ込められた男(アダム)と医師(ゴードン)、謎の遺体だけで進んでいく物語は
終盤になって驚くべき事実が発覚する。
目の前に転がっていた遺体は実は生きており、その男こそがゲームの指示を出していたジグソウだったのである。
そしてジグソウの正体は、ゴードンに末期の脳腫瘍と宣告された患者のジョン・クレイマーであった。




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【関連記事】饒舌なジグソウは嫌だ「SAW2/ソウ2」(2005年10月29日)

前作からきっちり1年で早くも「ソウ / SAW」の続編が登場した。
若干27歳で監督デビューを果たした前作の監督ジェームズ・ワンは今作で早くも製作に回り
新人のダーレン・リン・バウズマンを抜擢している。
「SAW」の鮮度を保つには馴れ合いはいかん、というジェームズ・ワンのこだわりなのであろうか。
これが吉と出たか、凶と出たかと言えば・・・

前作を観終えた時、私はこの作品は続編は無いだろうと思っていた。
無い、というか、「作らないで欲しい」といった方が適切か。
「ソウ / SAW」のオチは、一度きりだからこそ許されるものだったからだ。
既に切ってしまった「とっておきのカード」を封印されながらも、
キャッチコピーにはまたしても「最前列」の文字が。
この時点でオチの半分は読めてしまったので、残り半分をどう見せてくれるかに
私の興味は移ったのだが、全体的に前作のようなスピード感がなく、どうにももたもたしている。

原因は「ソウ / SAW」の緊張感の肝になっていた「密室」というキーワードが崩れてしまったからに他ならない。
今回はジグソウを問いつめる刑事達と、モニターに映る若者達がザッピングしつつ同時進行するため、
どうしても場面転換が頻繁になり、その都度緊張感が途切れてしまうのだ。
前作ですら、「いっそバスルームだけに限定してはどうか」と書いた私にとって
今回の登場人物の増加と複数箇所での同時進行は贅肉としか思えなかった。
捕われる若者達の人数も多い割には描き切れておらず、ならばいっそ減らせばと思ってしまった。

また、今作では序盤からジグソウが登場し、
尋問する刑事と延々と会話をするのだが、これも必要なかったように思う。
レクター博士のように犯罪に美学を求める人物ならまだしも、ジグソウはいわゆる「キ印」の人間である。
「キ印」の人間だからこそ、何をするかわからない怖さがあるのだ。
人生観を饒舌に語るジグソウなど、「ソウ / SAW」のファンが観たかったとは思えないのだが・・・

大オチは読めていたとはいえ、後半の展開と「ある仕掛け」だけはなかなか上手く
駄作は免れたものの前半のもたもたが勿体無かった。

気になる部分ばかり書いたが、決して失敗作ではない。
あれだけのインパクトを残した作品の続編でここまで出来れば上等の部類だ。
「CUBE2」のような面汚しの続編ではないので、過度の期待さえ持たなければ普通に楽しめると思う。
ただし「前作より遥かに残虐シーンが増えている」「前作を観ていなければ面白さ半減」なので
ショッキングな映像が苦手な方と、今作から観ようと思っている方は要注意。

【2024年10月追記 ネタバレ有り注意】

ジグソウとして凶行に及ぶジョン・クレイマーを捉えるべく
捜査を進めている刑事のエリックは、ついにジョンの捕獲に成功。
しかしそれはジグソウの罠であり、新しいゲームの参加者にはエリックの息子のダニエルも含まれていた。
ダニエルを救出すべく必死に捜索するエリックだが、逆に謎の人物に捕らえられてしまう。
目を醒ましたエリックの前に立っていたのは、ダニエルと共にゲームに参加していたアマンダという女性。
アマンダは実はジグソウの熱烈な信奉者であり、病魔に蝕まれ行動力の衰えた彼に代わりゲームを動かしていたのだ。
ゲームの映像はライブではなく録画で、エリックがジョンを捕まえた時には既にゲームは終了していた。
全てを知ったエリックに向かい、ジグソウの決め台詞「ゲームオーバー」を告げるアマンダで終了。





2024年10月18日公開■洋画:ソウX

シリーズ最新作の「X」では1作目と2作目の中間が描かれる。
末期の脳腫瘍を宣告され、自らの死をはっきりと自覚したジョン・クレイマー(ジグソウ)は
生きながらえる道を模索するあまり、悪質な詐欺治療の被害に遭ってしまう。
「命の大切さを説く」という適当なお題目を掲げ、余計なお世話を焼き続けるジグソウは
詐欺集団にデスゲームでこっぴどくお仕置きをするのだった、というストーリーらしい。

監督はシリーズ6作目と7作目で監督を務めたケヴィン・グルタート。
製作総指揮はジェームズ・ワンとリー・ワネル。
ジグソウ役のトビン・ベル、アマンダ役のショウニー・スミスも再登板と顔ぶれは文句なし。


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