忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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【予習・復習用】映画「スパイダーマン:スパイダーバース」アメコミ好きもアニメ好きも全員劇場にGO

2023年06月13日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


▼【予習・復習用】映画「スパイダーマン:スパイダーバース」アメコミ好きもアニメ好きも全員劇場にGO


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*本記事は前作公開前の2019年3月にアップした当BLOGの過去記事
「映画「スパイダーマン:スパイダーバース」アメコミ好きもアニメ好きも全員劇場にGO」をgooから移転し、
若干の加筆・修正を加えたものです。


トム・ホランド主演の三代目スパイダーアンとは別の軸を立ち上げ
劇場用アニメーションとして製作されたのが「スパイダーマン:スパイダーバース」。
製作・脚本は私の大好きな映画「ブリグズビー・ベア」のフィル・ロード&クリストファー・ミラー。
ヒーローだったピーター・パーカーを失い落胆する世界を舞台に
2代目スパイダーマンとなった少年マイルス・モラレスが
違う次元からやってきたスパイダーマン達と協力して巨悪に立ち向かう爽快アクション。

”革新的”というフレーズが乱発されその価値が下落して久しい現代ではあるが
真に革新的という言葉が相応しい作品とは、本作のようなものを指すのだと思う。
アメイジング世代やアベンジャーズに組み込まれたトム・ホランドが気に入らないわけじゃない。
ただ俺達は初代のサム・ライミ版(トビー・マグワイア主演版)が大好きなんだとの
フィル・ロード&クリストファー・ミラーのメッセージがビシビシ伝わってくる。
アベンジャーズともチームバトルを展開できそうなバリエーション豊かな
スパイダーマン・ファミリーが大挙して押し寄せ、さらにアメコミ特有の動きやコマ割り、
吹き出しまで、製作陣が幼い頃から慣れ親しんだであろうコミックの魅力を
最新技術を駆使して隅々までアニメ化せんとするアメリカンなオタク魂に痺れる。

ゲーム好きに説明するならば、
トム・ホランド版の「スパイダーマン」はPS4版的な王道の楽しさの満漢全席であり、
「スパイダーバース」は「コミックスゾーン」「ジェットセットラジオ」
「ノーモアヒーローズ」といった一風変わった着眼点を持った楽しさで溢れている。
「ブリグズビー・ベア」を生み出したスタッフが紡ぐ物語なのだから
キッズ層はもちろん、いい歳した大人も熱狂するように作られているのは当たり前で
案の定私にとってもツボのど真ん中だった。

未熟な少年に「ヒーローとは何か」を問う成長物語を縦軸に、
「ベイマックス」の温かみと「アベンジャーズ」の共闘の楽しさを横軸に、
映像は思いつくアイディアを全てぶち込んだような117分間のアトラクション。
どれほど欲張っても破綻せず、スタン・リーへの泣けるメッセージまで盛り込んで
見事に着地させる脚本と演出の上手さはケチのつけようがない。
旅行先ではしゃぎ過ぎて倒れる子供のように、鑑賞後はどっと疲れた。

オスカーの長編アニメーション賞は言うに及ばず、
アニメーション映画のオスカーと呼ばれるアニー賞では
「長編アニメーション作品賞」「監督賞」「キャラクターアニメーション賞」
「キャラクターデザイン賞」「美術賞」「脚本賞」「編集賞」と
ノミネートされていた主要7部門全てで受賞する快挙を成し遂げた。
「ヴェノム」の最後で流れた少し長めのチラ見せ映像で
あれほど不安になったのは一体何だったのかと思うほどの鮮やかな逆転ホームランに
エンドロール後思わず拍手してしまった。

日本のアニメも、スタジオ4℃が「マインド・ゲーム」や「鉄コン筋クリート」で
新たなアニメの映像表現を模索していたし、「マインド・ゲーム」の湯浅政明監督は
従来の「デビルマン」のイメージを覆す「DEVILMAN crybaby」を
Netflixで発表したりもしているのだが、こういった攻めた作品は日本では大ヒットには至らない。
表現方法の追求よりもキャラクター人気がどうしても先行してしまう日本は
「スパイダーバース」の世界的な大ヒットによってアニメの後進国になってしまった感すらある。
一連のマーベル作品は言わずもがな、巨匠 ロバート・ロドリゲスが「銃夢」のアニメ化に挑んだ
「アリータ:バトル・エンジェル」に挑戦状を叩き付け、
アニメーションでしか表現出来ない映像表現を執拗なまでに追及し、
可能性を見出すどころか一気に完成形まで持っていった世紀の大傑作。
トム・ホランド版「ノー・ウェイ・ホーム」のストーリーにもマルチバースを導入しており
実写版だけを追っている「スパイダーマン」ファンもチェックしておきたい。



▼「スパイダーバース」はここから生まれた(かも知れない)映画「ブリグズビー・ベア」とは


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私の2018年に鑑賞した映画のNo.1として選んだのが、この「ブリグズビー・ベア」だった。
制作を「LEGOムービー」のフィル・ロード&クリストファー・ミラーが務め
アメリカの人気バラエティ番組で活躍するGOOD NEIGHBORのメンバーである
カイル・ムーニーが脚本と主演を務め、別のメンバーのデイヴ・マッカリーが監督を務めたヒューマンドラマ。
共演はクレア・デインズ、マーク・ハミル、グレッグ・キニア。



生みの親(被害者)の歯痒さ、育ての親(加害者)の一途さに囲まれながら
自分を導いてくれたブリグズビー・ベアを頼りに、少しずつ世界を広げてゆく姿に胸を打たれる。
こんなに愛おしく感じる作品は年間何本も出てこない。
「ラースと、その彼女」「FRANK -フランク-」あたりが
お好きな方なら生涯のランキングにも入ってくるであろう名作。
この話でマーク・ハミルがキャスティングされているだけでも
涙腺が緩むが、劇中でマークが言う台詞がまた泣ける。
大人子供である私にとって、「スター・ウォーズ」でルークを演じたマークに
こんなことを言われたら泣くしかない。
加齢と共に汚れという名の衣を増やしてきた私にとって
無垢なまま大人になった男の成長物語はとても羨ましく、温かかった。



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