ヒルネボウ

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『ひらがな暦』(新潮社)著者/おーなり由子

2024-12-10 01:08:10 | 評論

   『ひらがな暦』(新潮社)

   著者/おーなり由子

 こういうのを読んで、女たちは擽ったそうに、くすくす、笑うんだろうな。小学生も、ばあさんも。

急にやってきた友達に、おやつがなんにもなくて、里芋を蒸し器で蒸して出してみた。そうしたら、ふたを開けたとき、立ちのぼる湯気にうれしそうな顔。

熱いほうじ茶をたっぷり入れて、バターと塩でほくほくと食べる。

湯気ごと。

湯気って、ごちそうだったんだ。

(「十二月四日 湯気と里芋」)

湯気なんか、要らん。芋をくれ、芋を。

(終)


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