『ひらがな暦』(新潮社)
著者/おーなり由子
こういうのを読んで、女たちは擽ったそうに、くすくす、笑うんだろうな。小学生も、ばあさんも。
*
急にやってきた友達に、おやつがなんにもなくて、里芋を蒸し器で蒸して出してみた。そうしたら、ふたを開けたとき、立ちのぼる湯気にうれしそうな顔。
熱いほうじ茶をたっぷり入れて、バターと塩でほくほくと食べる。
湯気ごと。
湯気って、ごちそうだったんだ。
(「十二月四日 湯気と里芋」)
*
湯気なんか、要らん。芋をくれ、芋を。
(終)
『ひらがな暦』(新潮社)
著者/おーなり由子
こういうのを読んで、女たちは擽ったそうに、くすくす、笑うんだろうな。小学生も、ばあさんも。
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急にやってきた友達に、おやつがなんにもなくて、里芋を蒸し器で蒸して出してみた。そうしたら、ふたを開けたとき、立ちのぼる湯気にうれしそうな顔。
熱いほうじ茶をたっぷり入れて、バターと塩でほくほくと食べる。
湯気ごと。
湯気って、ごちそうだったんだ。
(「十二月四日 湯気と里芋」)
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湯気なんか、要らん。芋をくれ、芋を。
(終)