文量がかなりありますので、続きの後半を。
おっしゃるように、体の不自由な高齢者にとって乗り換えはとても大変で、「足が不自由なのに乗り換えるのか」という酷な話ですが、これは人情や思いやりの気持ちだけで簡単に送迎サービスを伸ばすわけにはいきません。
送迎サービスやデマンドタクシーの前提条件は、あくまで既存の幹線公共交通を侵害しない条件の下、成り立っているものであり、仮に要望通り東邦まで利用できるようになると、今度は久留里線やバスとのバランスの問題が出てきます。制限なくどこまでも利用できると、久留里線やバスの利用者が更に減る可能性があり、簡単にいいよとすぐ決定できる簡単な話じゃないです。いきいきサポートの収入だけで賄えない分は市が運行経費や車両費を補助しているため、経費が大幅にアップする可能性もあります。1台しか車がないため、近隣他市の病院まで行けるようにすると台数が足りない可能性も出てきます。市の財源にも限界があり、どこまでも際限なく負担することはできないでしょう。
利害調整の難しい問題がたくさんありますが、人の命が関わっているのにそんな悠長なこと言ってられない気持ちもあります。何とかバランスを保てるように調整してほしいものです。片輪だけでは交通は成り立ちません、両輪のように支えあっていかなければ、公共交通すべてが倒れてしまいます。
富津や館山のタクシー会社が撤退したことを踏まえ、横田を地盤にしている石原タクシーの経営実態について、市に問い合わせしました。
その回答がありましたので下記に掲載します。回答を踏まえて、市の企画課の担当者と直接面会して話をしました。改めて伺い、市でもきちんと実情を把握しておくことが必要だとお願いしましたが、市では回答の通り各社の詳しい状況は把握しておらず、今後も当面は調査やヒアリングする予定はないそうです。回答は袖ケ浦市内のタクシー会社の現状に則ったものではなく、全国的に見たタクシー業界についての状況を踏まえたもので、全国的にはこうだというものでした。市に市内タクシーの現実に対する危機感が薄いとすごく感じました。
岩瀬タクシーや館山中央交通のように、撤退が決まってから慌てても遅すぎます。それでは、地域の交通弱者を守ることはできません。袖ケ浦市内のタクシー会社のうち、ウルマタクシーや姉ヶ崎タクシーは、市原市内にも営業拠点を持つ大きなタクシー会社で、姉ヶ崎タクシーは小湊鉄道グループで、経営規模的にすぐ撤退に至る心配はないと思いますが、石原タクシーはあまりにも零細規模の会社です。何とか持ちこたえていますが、経営は厳しいと思いますよ。大貫で撤退した岩瀬タクシーと、規模はそれほど変わらないと思います。私たちがタクシー会社に直接経営について聞くのは語弊があり、聞きづらいことです。市が音頭を取ってくれないと困ります。
日東交通や小湊鉄道といったバス会社は、路線バスの赤字補填を出している関係があり、市と連絡を取り合う機会は多いですが、タクシー会社と市は普段から連絡を取り合うことはほとんどないようです。補助金を出していないから、連絡を取り合うことはなく民間の経営任せだというのでしょうか。バスもタクシーも利用している人がいることに変わりなく、各公共交通が繋がりを持っていかなければ、独りよがりでは改善は望めないでしょう。それぞれのしがらみある利害関係をまとめるのも、行政や監督省庁が率いてくれなければなかなかできません。改善に向けた音頭取りがなければ前に進みません。私たちだけでは何もできません。行政の頑張りに期待するしかないのです。
【市長への手紙】
(一部改変してあります。)市のホームページには原文がそのまま載るはずです。
平川地区のタクシーの現状について伺う。近隣を見てみると、富津市では大貫駅で営業していた岩瀬タクシーが撤退し、館山では中央交通が5月15日をもって撤退した。
このように近隣市では撤退が現実となり、石原タクシーは今後どうなっていくのか、気になっている。
横田に本社を置くタクシー会社で、横田駅と馬来田駅で営業していますが、この両駅だけで営業しているエリアはあまりに厳しい経営環境です。安房地域の中心市の館山でも、中堅のタクシー会社であった中央交通が撤退しており、それを考えると横田と馬来田だけで営業している環境は厳しいでしょう。
市のデマンドタクシーの運行や、久留里線や路線バスの利用状況でもわかるように、平川地区は医療機関が地域内で完結することが少なく、木更津や姉ヶ崎に出ることになることや、親子2・3世代で同居している家が多い地域のため、おじいさん・おばあさんを子息や親戚で送っていく場合が多く、それに加えて高齢化しても運転を続ける人もいるという地域柄です。公共交通の利用も後述するように少ない地域です。タクシーを利用する人というのは更に少ないでしょう。
家内に高齢者がいても、デイサービスや老人ホームといった福祉の域に転じていたり、動ける人でも子息や親戚が病院に直接、車で連れて行ったり、自力で運転して行ったりするため、私の住む地区では横田駅も川挟んで離れており、近所の人で久留里線を生活交通として利用している高齢者はほとんどいない。路線バスにしても同じだ。私の住む地区でタクシーを見たことがほとんどない。
こういった地域柄なので、タクシーの生活利用はほとんどない一方、カメリアヒルズは高級志向のゴルフ場でタクシー需要がある。木更津のかずさ交通がカメリアヒルズへの呼び出しを多く受けている。待機場所が木更津駅以外にいくつかあり、近いところでオークラアカデミアホテルやアピタ、いない場合は清見台や木更津駅から迎えに行く。
石原タクシーはクレジットカードやタクシーチケットが利用できないため、カメリアヒルズではかずさ交通を指定会社として案内している。けっこうな件数で予約・迎車を受ける。木更津駅や袖ケ浦バスターミナルはもちろん、東京や横浜までの遠距離利用のお客様もいる。ドイツ村にもタクシーの電話番号が貼ってあるが、姉ヶ崎タクシーとウルマタクシーが書いてあり、石原タクシーは案内していない。
ゴルフ場やドイツ村といった観光施設でも石原タクシーを案内していないため、観光客が利用することもほとんどないと思う。生活利用もほとんど少ない、観光利用もほとんど少ないでは、石原タクシーを利用してる人はほとんどいないんじゃないか?
久留里線も利用者数の多くは圧倒的に高校生で、病院や買い物の生活利用は少ない。横田駅の乗車人員はJR東日本で200人と公表されているが、そのうちの151人が定期券客で、定期外の客は49人しかいないことからも、利用者はほぼ固定化しており、圧倒的に高校生の定期客が多いことが予想がつく。公共交通があまりない不便な地域柄でも、生活利用で久留里線を使う人は意外に少ないということだ。
そういう地域柄なので、市の運営するデマンドタクシーが成り立たなかったのも頷ける。「市長が語るわがまちの今・これから」平川公民館で、東邦病院にいきいきサポートが行ってほしいと要望があり、そういう人が潜在的にいる一方、家内で直接送ってしまう人やデイサービスのお世話になっている人も多いというのも現状だ。
市が運営し、運賃が安いデマンドタクシーでさえこういう状況だったので、石原タクシーの利用者は更に少なく、経営はとても厳しいと思うが、同社の経営状況について、今後の事業の見通しについて伺いたい。
【回答文】
企画財政部長
この度、ご提言いただきました内容についてお答えいたします。石原タクシーの経営状況及び今後の事業の見通しについて伺いたいとのことですが、本市では、石原タクシーをはじめ市内のタクシー事業者の経営状況や事業の見通しについては、把握しておりません。なお、タクシー業界では、自家用車の普及、鉄道・バスなどの都市交通の整備、人口減少などの要因により、タクシー需要が近年減少傾向にあり、さらに、運転者の高齢化や人材不足が深刻化しており、労働者不足が懸念されるなどの状況にあるとの資料も公表されております。この度は、貴重なご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。
(関係リンク)
「平川いきいきサポート」
http://takegaku.life.coocan.jp/index.html
(トップページ)
http://takegaku.life.coocan.jp/activity.html
(活動内容)
「5月20日 わがまちの今・これから 議事録」
http://www.city.sodegaura.lg.jp/uploaded/attachment/13504.pdf
私より
読んでいて、私の地元の南房総市と重なる部分がある。
市町村内で完結と既存の事業者の阻害しない範囲。結果、思うような交通網を組むのを困難にしている点です。
袖ヶ浦市は地域公共交通会議があります。タクシー会社も公共交通の一員。なぜ、詳細な情報収集をしないか疑問であります。
計画の策定準備にかかっている館山市には、かなり、参考になる文面です。
福祉有償輸送の実態も含め、袖ヶ浦市でもなんらかの施策計画は策定はすべきと考えます。