心のつぶやき

美しいものを一枚の写真に残したい。

詩歌

2008-10-28 | つれづれなるままに

自分の感受性くらい   茨木のりこ

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ




顔 美の巡礼―柿沼和夫の肖像写真
柿沼 和夫,谷川 俊太郎
阪急コミュニケーションズ

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